【地方都市】福岡市民なら首がもげるほどにうなずくであろう記事。
体調はすこぶる悪いが、隔離されるほどの悪さではなかった。だから家の中ではふだんと変わらず元気にふるまい、いつも通り仕事に繰り出す。我ながら頑張ってると思う。
今朝、札幌市内中心部の地下街を歩くべく、地上から地下に降りるための下りのエスカレーターに乗った。
私の前には女子高生2人組の後ろ姿があった。私は33歳のおっさんだから、この2人との距離感には気を遣う。
あまり彼女たちにくっつきすぎると「キショすぎてムサすぎるおっさんが背後にきたわ」と警戒させることになりかねない。かといってここで距離を取りすぎると、私の後ろにいるであろう別の誰かに「うわ、こいつ、前の女子高生に警戒されたくないからって、距離とっとるやん」と思われるのもシャクだ。
なのでエスカレーターの階段の数でいえば4段あけた。これであれば近すぎないし、かといって遠すぎもしない。いくら札幌市内の中心部のエスカレーターといえど、人であふれているわけでもないから、4段あけたところで後ろの人たちのスムーズなエスカレーターエンターの動作に支障をきたすこともない。
前にいる女子高生はスクールバックを背中ごしにかけており、そのスクールバックには見慣れない「青いカード」が透明なカードケースに入ってぶら下がっていた。
ICOCAである。これは主に関西圏で使用される交通系ICカードだ。女子高生のカバンにぶらさがるICOCAを見て「そういやICOCAは持ってへんなぁ」と思った。
全国に流通する交通系ICカードの王者といえばSuicaであろうと思う。関西はICOCAだが、日本全国地域ごとに交通系ICカードの名称は異なりデザインも異なる。
ちなみに北海道。JR系ではKitacaであり、札幌市営地下鉄ではSAPICAだ。Kitacaの色はSuicaと同じ緑色であり、SAPICAの色はピンク色。
これをお読みの方は日本全国の各地域にお住まいのことと思うので、媚びへつらうために書いておくと、名古屋の交通系ICカードはmanacaで色は黄色。
これはたしか名古屋が中京圏という日本のど真ん中だから「まんなか」をもじっているとどこかで読んだことがある。プライドの高い名古屋ならではのとても横柄な名前である。
それから福岡市交通局の場合は「はやかけん」という名称で、この色は水色とグレー。
......はやかけん。
......「はやかけん」ときた。
はっきり言おう、センスがない。
福岡以外の地域の交通系ICカードが「Suica」「ICOCA」「manaca」「Kitaca」「SAPICA」ほか、であるのに対して、福岡だけは「はやかけん」というひらがなの名称。これはもう絶望的にセンスがない。救いようがない。
ちなみに大学時代の私は北海道にいたからKitacaを使う、と思ったら大間違い。
日本の中心「太平洋ベルト」からはるか北の地方在住者あることの劣等感は当時からビンビンのビンであったから、東京旅行に出かけたときにSuicaを購入し「おれぁSuicaだぜ」とイキっていた。年月を経てKitacaもSAPICAも手に入れたが、基本的にはSuicaを使う。いまはスマホだけど。
さらにちなみにでいうと、昔付き合っていた人からなぜか名古屋でフラれた私は「この悔しさ忘れおくべきか」ということで、帰りの道すがら駅の窓口でmanacaを購入した。涙涙のmanacaである。
今でもmanacaは家にあるが、あれを見るとどうしようもない名古屋失恋旅行を思い出せる。
で、はやかけん。
30歳を超えて福岡に初めて行ったときには、もちろん「はやかけん」を購入した。コレクターなのだ。
しかし、何度も書くがネーミングセンスがダサい。「はやかけん」と文字にして書くとき、全部がひらがなだから視認性を意識して「カッコ」を使わなければならないじゃないか。これはひどい。
北海道のKitacaの由来はおそらく「北のカード」だからKitacaで、札幌のSAPICAは「札幌のカード」だからSAPICAであろう。
日本の王者Suicaは「スイスイ行けるカード」だからおそらくSuicaで、関西のICOCAは関西弁の「ほないこか」とかかっていて悪くない。
名古屋のmanacaに関してはその横柄さに少々思うところはあるのだけど「真ん中のカード」ということで「カード」は踏襲しているわけで。
それに対して、福岡さん。
「はやかけん」である。もう「カッコ」を書くのが面倒くさい。全国に流通する交通系ICカードのうち、唯一のひらがな表記で、しかも「けん」がつく。「カード」を意味する「ca」で終わらない。
これはおそらく「券」を意味する「けん」と、博多方面の方言である「けん」のダブルミーニングなのだろうけど、何度もいうが絶望的にダサい。
それであれば「Hayaca」でいいじゃないかと思うのである。
おそらくなのだが、この「はやかけん」のネーミングを決定したであろう人物たちは、よほど博多愛というか福岡愛が強いに違いない。
日本各地、数あれど、福岡市民の福岡愛はちょっと引く。おそらく同じ福岡でも久留米と北九州の人は「ちょっと福岡市どうなの」と思ってるはずだ。
私は札幌市民であるから同じ地方都市である福岡はどうしてもディスりの対象になってしまうのである。
福岡さん、大好きです。
福岡さんはダサくないです。
でも「はやかけん」はダサいです。
きっと「はやかけん」ネーミング会議では「Hayacaでいいのでは?」という派閥と「いやいや『けん』も入れたいけん!」という派閥で分かれ、それで血みどろの多数決の結果「はやかけん」と決まったのであろうと思われる。
ネーミング会議の際、少なくとも1人は言ったはずだ。
「全国の交通系ICはローマ字の『ca』で終わるのに、福岡はひらがなで『はやかけん』って! 本当にそれでいいとですか!?」
きっと「はやかけん」派は言ったはずだ。
「うるさい! いいけん!」
......
...
話は戻るが、あの女子高生......
なんでICOCA持ってんねやろ。
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