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自分がクソ客になっている可能性について。

週末はフードデリバリーサービスを使うことが多い。

札幌市はUberイーツよりもWoltのほうがシェアが高く、我が家もWoltを使う。デリバリーしてもらうものは、マクドナルドのハンバーガーとか吉野家の牛丼であることがほとんど。


ちなみにきょうも使った。きょうはマクドナルドの商品を運んでもらった。ありがとう。デリバリー。

はじめてあのサービスを使ったとき、こりゃすごいサービスだ、と夫婦2人で感動した。希望の食べ物を注文すれば、家を出ることなく謎の誰かが届けてくれる。まるで魔法。自宅のインターフォンがピンパオンとなり「はーい」と出ると謎の誰かが「Woltで〜す」と言う。

それでオートロックを開けてしばらく時間が経ったあとに確認すると、マンションの部屋の前には食べ物が入った袋が置かれている。通称「置き配」だ。どんな人が届けてくれたのかはわからない。それってほぼサンタやんけ。



できるだけ速くご飯にありつきたい。


何度目かの利用のときから、私はデリバリー反射神経バトルをするようになった。Woltの配達員の人がインターフォンを鳴らしたときにどれだけ速く「はい」とインターフォンに出られるかの勝負を1人でするようになったのである。タイムロスがいやなのだ。

WoltにしてもUberイーツにしても、配達員がいまどこにいるかがアプリでわかる。

妻に「いまどこ?」と確認して「家の前についた」と言われたら、私はいそいそとインターフォンの前にスタンバイする。ピンポンの「ピ」の字、なんならPingPongの「P」の字が鳴ったと同時に「は〜い!」と言ってオートロックを開けるためだ。

これをやるときの私はインターフォンの前で中腰になっており「さぁ、こいっ!」とモロを仕留めんとするエボシのような心構えでいる。これをやると、配達員さんは虚をつかれたかのように「あ、え、あ、Woltで〜す」と言う。



もっと速くご飯にありつきたい。

あるときから「置き配」がタイムロスだと考えるようになった。置き配を選ぶと、配達員が家の前にきて、部屋番号を確認して食べ物入りの袋を床に置く。仕事を終えた配達員はエレベーターのほうに戻る。

受け取る私は、配達員と鉢合わせをしたくないから、ドアの覗き穴から配達員の動きを息を殺して覗く。中腰で。変態の気分だ。変態だろこれ。配達員の姿が見えなくなってからやっとそ〜っとドアを開き、床に置かれた袋をハァハァ言いながら手に取る。

ここまで何秒? 

下手したら1分かかっている。ロスだ。これはいただけない。


なので何度目かの利用から、あらかじめドアを開けてWoltの配達員を待つことにした。これなら直接受け取れるわけだから、時間は大幅に短縮される。しかも、忙しい配達員さんに「ありがとうございま〜す」とお礼を言うこともできる。

何度かこれをやった。

デリバリー反射神経バトルをやって、すぐにドアを開けて待つ。エレベーターの方角から配達員さんが歩いてくる。あの人だ。「あ、ありがとうございます、イトーです」と言うと、配達員さんは「あ……どうぞ」と言って袋をくれる。


何回かそれをやっていて気づいたことがあった。

配達員さんから直接袋を受け取るとき、目が合わないのである。「あ、ありがとうございます」と言っても、配達員さんは私を見ない。それが男性でも女性でも、若くても年齢を重ねていても。とにかく目が合わない。なぜか考えた。

そうか、配達員の仕事を選ぶ人の属性があるのかもしれない。人と関わらなくていいと期待してその仕事を選んでいる可能性があるのではないか。

そう気づいて、妻に言ってみた。


「Woltの人と目が合わないんだよね」

こう言うと妻は笑って「旦那がやってることは迷惑だからねぇ」と言う。え、と思って聞けば、「だって、置き配なのにドアの前で待たれてごらんよ? びっくりするじゃん。誰にも会わなくていいから配達してるのにさ」と妻は言う。


「え、ずっとそう思って見てたの?」と聞くと妻は「旦那がいつその行動の迷惑さに気づくかなぁと思って見てた」と笑う。それで続けて言うのだ。

「きっとWoltの中でも共有されてるよ。『あの客はドアの前で待ってる迷惑タイプのヤツだから注意』って」

「え、でもありがとうって直接伝えられるよ?」

「旦那ね、それは陽キャの発想だよ」

「えーーーーーーーー」


それから私はまた変態に戻り、ドアの覗き穴を中腰で覗くようになった。


<あとがき>
もちろん中には明るいタイプの配達員さんもいるのですが、どちらかというとそうではない方のほうが多い気がします。いまはなんでもデリバリーできますから便利な世の中です。妻は思っていても私を泳がせるので怖いです。これが迷惑行為だと気づくまでかなりの日数がかかりました。ほんと申し訳ないなぁと思います。今日も最後までありがとうございました。

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