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西加奈子さん「わたしに会いたい」を読んで

西加奈子さんが乳がん治療を経てから出版された短編集「わたしに会いたい」。

心の奥を刺激されるような強さを感じる本だった。

自分の考えてること、やってること、毎日の自分のことを1番よく見てるのは、周りにいる誰かじゃなくて、自分自身。だからこそ自分が一番味方でいてあげたい、というようなことを思いながら読み終わった。

よく見てるから、ずるいところだって知ってるし、手を抜いたところだって見てるから、ついつい自分で自分にダメ出ししたくなる。

今日も集まりがあって、和気藹々とする中、ただただ笑う人になっていた自分が恥ずかしいやら情けないやらで、「あーー」とか「わーー」とか「はあーぁ」とか心の声がただもれになってしまう気持ちになっていたところ。
でもふと落ち着いた時に、よしよしがんばった、と肩をぽんぽんたたいたり、ぎゅぎゅーっと出来るような気持ちでいたいなぁと。自分で自分のダメ出し、さんざんしてきたから余計に思う。

この本の中でも、世の中の常識、基準、ものさしや人の言葉などにこだわって、自分のことをまるごと受け入れられなくてもがいていた人たちが出てくるけど、その納得いかない気持ちに怒ったり文句言ったり毒吐いたりしながらも、自分で自分のことを応援する気持ち、味方でいる気持ちを取り戻していく姿に、いいぞいいぞと強い力を感じた。

本の表紙になっているイラストは、西加奈子さん自身が描いたものだそうで、パワフルで思いがぐーっと迫ってくるような凝縮されたような強い絵だなぁと思った。

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