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よしもとばなな「すばらしい日々」を読んで

よしもとばななさんの書く文章が好き。

すごくわかりやすく噛み砕かれて書かれているけど、とても深い大事なことがぎゅっと濃縮されていて、すーっと心の奥深くに浸透するように入り込んでくる。

ご両親を亡くされたことなど、少ししんみりする話が多いエッセイだけど、今とても読みたかった。

たとえばとてもつらいことがあって、眠れない日が続いたり、落ち込んでごはんも食べられなくなったり、笑うことも出来なくなる日が続いていても、ずーっとそういう状態が続くわけじゃない。

つらい中にもほっと安心する時間があるし、くすりと思わず笑ってしまう時間もあるし、くだらない話をするし、きれいな景色もある。

そんなつまらないことも、きれいなことも、どうでもいいようなことも、全部ひっくるめて平凡なすばらしい日々だな、と思えるエッセイだった。

ここからは私の個人的な話。

私の父親は今年の春から半年近く入院していた。母親は4年前ぐらいに1ヶ月ほど入院した。

2人とも病気の元も解決して、回復して、今は退院して元気に毎日過ごしているけれど、どちらも一時危ない状態になった。万が一を覚悟してくださいとお医者さんから言われた。

祈るような気持ちで過ごしたこと、こわかったこと、消したくなる思いがちらちらよぎってしまうこと、毎日会いに行くたびにやせていってしまったり、体が弱ってしまう姿を見ること。

こちらはお医者さんから説明うけたり、いろいろ調べたりしてこわくなっていたけど、本人は案外けろりとしていて、治る、治す、退院する、と当たり前に思えていたので、その気力があったから、つらい治療も乗り越えられたんだと思う。

そういうことと向かう時間は、これから必ずやってくるんだろうなと思う。あまり考えたくないことだけど。

でもだからこそ、元気に会えるうちに、会いたい時に会いに行って、一緒の時間を過ごすことを大事にしなくちゃなぁと思う。

両親だけじゃなく、身近な誰かもいつ会えなくなってしまうかなんてわからないから、同じように当たり前の時間を大事にしなくちゃなぁと。

つい忘れちゃって、どうでもいいことで怒ったりしてしまうけど。

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