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とある起業家の失敗談 #1      ~金融機関でのできごと~

失敗から学ぶこと。起業でとても大事なことだ。

自分の失敗はもちろん、先輩起業家の失敗から学べることはとても多い。

しかし、成功談は話したくても失敗談は話したくない、というのが人間というもので、なかなか失敗談を聞くチャンスは少ない。

今日は、普段あまり聞くことができない先輩起業家の失敗談について、マイノート添削キャンペーンフォローアップセミナーで先輩起業家にお話しいただいた貴重な体験談をシェアしたい。

今日の”とある起業家”
吉岡 優太さん(POCKET LAB株式会社 代表取締役)
静岡県島田市生まれ

東京で理容師として働くかたわら、東京創業ステーションに通い起業準備。2019年6月に地元静岡県島田市でヘアサロン「MR.CLIP」を開店、2020年6月にはレンタルスペース事業を同市内で開始。
現在は静岡県・東京都で8か所のヘアサロン・レンタルスペースを展開。

趣味はランニング。レンタルスペースの1件目・2件目の物件はランニング中に発見する目利きと健脚の持ち主。

https://note.com/pocket_lab/n/nd196cf84eb08

先輩起業家 吉岡さんの記事はこちら!

※以下は、9月8日に開催した起業ライダーマモルマイノート添削キャンペーンフォローアップセミナーにおいて、吉岡さんの講演内容を編集したものです。記事公開については吉岡さんのご了承を頂いております。

先輩起業家の失敗談~吉岡さんの場合~

(吉岡さん)ある金融機関で、融資の相談をした時の話です。

もともと、創業当初は日本政策金融公庫の創業融資を利用していましたが、事業が順調に拡大し、新規にレンタルサロンを立ち上げることになり、その際に新しく地元の金融機関から融資を受けることにしました。

取引先を増やす必要は必ずしもなかったのですが、”地元の金融機関と取引があった方が、今後ビジネスの助けになる”というアドバイスもあったため、地元のある金融機関を訪れ、口座を開設。融資の相談をスタートしました。

金融機関で融資を受けるためには、事業計画書を提出し、事業計画や収支計画・返済計画・借入条件などについて担当者の方と相談をして進めていく必要があります。

融資の実行後も、定期的に経営状況の報告や事業方針を相談したり、金融機関が主催する商談会やマッチングへの参加など、担当者の方とは融資に限らずさまざまなビジネスの相談をしていく間柄になります。

担当者は若手職員と経験豊富なベテラン職員。相談が進むにつれて、ひとつの疑問が。

私の担当は若い職員さんとベテランで相当な地位にいらっしゃる職員さんの2人チームでした。おそらく、若い職員さんに経験を積ませるためにチーム体制にしていたのだと思います。

こちらとしては担当者として紹介された方でしたので、特に疑問を持たずにそのまま相談を始めたのですが、振り返ってみるとこれが失敗だったと思います。

相談中、二人のチームの様子を見ていると、ベテランの職員さんは厳しい、というよりはかなりきつい態度で若い職員さんに指図をしていました。いわゆる”アゴで使う”という表現に近いイメージです。

相談を重ねるなかでも、著名人の方が自分の顧客であることを匂わせる様な会話・言動をされたりと、驚くと同時に違和感を感じる場面が多くなり、”この担当者とビジネスを続けることができるのか”という疑問が相談が進むにつれて大きくなっていきました。

結局、もう少しで融資決定という段階ではありましたが、融資を受けることをこちらからお断りをすることにしました。それからが大変です。

取引をお断りをすると、担当者の態度が急変。取引のクローズに大変な時間と労力を要することに。

融資をお断りすることを伝えると、それまでと態度が変わり、これまでの準備を無にすることに対しての不満や、事業計画に対する辛辣な指摘を繰り返され、果ては今回の融資とは直接関係のないヘアサロンについて”地方で、こんな数字(売上)は上げるのは無理”と批判される始末です。

結局、この件を収集するために相当な時間と労力を要し、新しいレンタルサロンのOPENは当初の計画より大幅に遅れ、事業に少なからず影響を及ぼす結果になりました。

苦い経験だったが、良い失敗だった。

今回の出来事はビジネス的でも精神的な面でもダメージはありましたが、今になってみると、経験できて良かったと思えるようになっています。

金融機関の担当者は、単に融資取引の窓口であるだけでなく、今後のビジネスを展開するにあたっての資金面における重要なパートナーで、お付き合いは長い期間に渡ります。

ビジネスの将来を左右する事業計画を相談する相手なわけですから、自分が信頼できると思える人を選ぶべきです。そういった意味で、苦い経験にはなりましたが、取引が始まる前に勇気を出してお断りして良かったと思っています。

もし、生じた疑問に目をつむり、そのまま融資を受けていれば、トラブルは起きず、レンタルサロンは計画通りの時期にOPENできたかもしれません。

しかし、今後、長い付き合いをする相手として、この担当者に大切な事業計画を相談できるかというと疑問です。仮に相談しても良いアドバイスを得て、良い成果を挙げることができるか、ということについてはなおさらだと思います。

教訓:自分で、信頼できるパートナーを選ぶ。

その後、別の地域金融機関から融資を受けることができ、レンタルサロンは無事にOPENすることができました。こちらの金融機関の担当の方とは今後、長くお付き合いができると思っています。

事業も順調に成長し、”こんな数字(売上)届くわけない" という指摘をされた売上計画についても、サロン単体の売上額だけで計画を大きく上回り、レンタルサロンの売上額を加えると計画の2倍を超える売上を上げることができました。

”どーだ!”とは思っていませんが、その金融機関はもったいない事したな、と思っています👍笑

みなさんには起業準備の段階から、パートナーを”自分で選ぶ”ことの大切さをお伝えしたいと思います。

地銀・信金などの金融機関は、たいていどの街にも複数はあるので、必ず何軒か回ってみて、担当の方と実際に話してみて、信頼できると思える担当者の方がいる金融機関を選ぶようにしてほしいと思います。

長い目で見たときに、自分の信頼できる人を選ぶということを大切にすることは、ビジネスにおいて必ず自分の助けになると思っています。

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信頼できるパートナーを”自分で選ぶ”こと。

実は起業する前でも同じことがいえる場面がある。それは起業の相談相手を選ぶときだ。金融機関や創業支援機関の相談担当者は自分で、複数の候補から選ぶことをおススメしたい。

起業準備では、自分が”次回もこの人に相談したい”と思えるようなパートナーを見つけることが大事だ。相談のしやすさが、苦しい時のモチベーションを大きく左右することだってある。

何回か話してみて、どうしてもフィーリングや考え方が合わないようであれば勇気を出して担当者の変更をお願いするか、別の金融機関・創業支援機関を訪れてみよう。

キミの起業、応援しているぞ。

~終わり

参考記事

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