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『“ふるさと起業”のメリットとデメリット&補助金』


いきなりだが、働き方が多様化している。
それに合わせて働く場所も多様化している。

リモートワークや在宅勤務などはその代表例だが、なかには思い切ってビジネスの拠点を自分のふるさとや地方へ移し、それぞれの地域を基盤として事業を展開していく者も存在する。

人材派遣事業などを展開する株式会社パソナが、本社機能の一部を淡路島(兵庫県)へ移していることは有名だが、こうした動きは大企業に限った話ではない。

ユーザーのみんなからも、こんな声をよく聞く。
「いつか地元の●●県〇市で起業し、ふるさとに貢献したい」
「東京と地元を往復しながら、双方のかけ橋となる仕事をしたい」

なかには、「すこし先だが、退職後、身に着けたスキルを活かしてふるさとに恩返ししたい」「生まれは都市圏だが、通勤ストレスや住まいの環境を改善するために、将来的には地方で起業したい」といったお話を聞くこともある。

そこで今回は、『ふるさと起業』という選択肢を概観するとともに、移住を支援する補助金や、先輩起業家の事例を確認してみたい。みんなの「いつか」が現実に近づくよう、すこしでも役に立てるとうれしい。

◆補助金の事例紹介:地方でのチャレンジを応援!~移住起業等をした方への補助金

早速だが、「聞いた百より読む一つ」だ。移住などを支援する公的補助金の事例を2つご紹介したい。要点を箇条書きで抜粋しているが、いずれも1分程度で読めてしまう内容なので、是非「こんな補助金もあるんだ!」的に目を通してみてほしい。

【事例① 栃木市移住支援補助金(とちぎWORKWORK就職促進プロジェクト事業)】
https://www.city.tochigi.lg.jp/site/iju/18823.html

■東京圏(※東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)から栃木市に移住して就職・テレワーク・起業する方に補助金を支給
■世帯での移住:100万円(令和4年4月1日以降に18歳未満の子供を帯同して世帯で移住された場合、18歳未満の子供1人につき30万円を加算​)を支給
■単身での移住:60万円を支給
※ただし、補助金はその実施要綱に沿った内容でないと利用することはできず、「移住支援金の申請日から3年未満に移住支援金を受給した市町から転出した場合」などは移住支援金を返還しなくてはならない(雇用企業の倒産、災害、病気等のやむを得ない事情がある場合を除く)。

【事例② 半田市移住者就業起業促進事業費補助金】
https://www.city.handa.lg.jp/keizai/shoko/jigyosha/shokogyo/kee/izyu.html

■東京一極集中の是正、地方の担い手不足に対処するため、予算の範囲内において、東京23区からの移住者に「移住支援金」を支給する
■世帯の場合1世帯につき100万円:18歳未満の世帯員を帯同して移住する場合は18歳未満の者一人につき30万円を加算。※加算は令和4年4月1日以降の転入者から適用
■単身の場合1人につき60万円
※ただし、補助金はその交付要綱に沿った内容でないと利用することはできず、「移住支援金の申請日から3年未満に移住支援金を受給した市町から転出した場合」などは移住支援金を返還しなくてはならない(雇用企業の倒産、災害、病気等のやむを得ない事情がある場合を除く)。

一定要件をきちんと満たすことで『100万円』。ここでご紹介したのはほんの一例だ。さまざまな自治体で同様の補助金が展開されている。これは国の地方創生起業支援事業の一環だが、こうした補助金が整備されているのは、「いつか」を考えるみんなにはありがたい限りだよな。

◆先輩起業家の体験談『ふるさと起業のメリット・デメリット』

実際に『ふるさと起業』を実践した先輩起業家は、率直にどのように感じているのか。ここでは、ふるさとの岐阜県で起業した先輩起業家のAさんに、そのメリット・デメリットについて伺ってみた。

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<Aさんの『ふるさと起業』体験談>
みなさんこんにちは。私は最初から「ふるさと起業」を目指したというより、家族の都合もあって東京から帰省して時間ができ、「どうせなら自分でやってみよう」という気持ちでサービス業をはじめました。出足から「ふるさとに貢献!」という感じではないので恐縮ですが、地方(田舎)ならではの良いところ、う~ん・・というところがありますので、ご参考になれば嬉しいです。

<メリット>
・通勤ストレス激減。万事が安い、広い、ゆとりがある。
⇒地方・ふるさと起業家みんなが実感するところと思っています。東京(大都会)とは比較になりません。事業に掛かる経費(家賃、広告宣伝費など)も軽減できます。
・同業者が少ない。
⇒東京は同業者だらけですが、地元には1社しかありませんでした。競争がきびしくないので、市場も小さいですが、売上を確保できています。
・補助制度がいろいろある
⇒田舎なので、都会と比べて数がすくない起業家を大切にしてくれます。家賃の補助など手厚い補助制度があり、自治体の方もじっくりと相談にのってくれます。

<デメリット>
・市場が小さい
⇒同業者が少ないというメリットの裏返しですが、そもそも人口が少ないので、お客様も少なく、売上の大きな伸長は見込めないと思っています。
・スタッフの確保がむずかしい
⇒若い方が少なく、特に特定スキルが必要な場合、アルバイト等の確保がむずかしいです。

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・・Aさん、貴重なお話をどうもありがとう!

「ふるさと起業」を考えたとき、そのメリットを原動力にすることも大事だが、デメリットについても検討しておきたい。だが、日本政策金融公庫のアンケート結果によると、移住創業に当たって、相談した相手が「特にいない」という人が72.4%と大多数を占めるようだ(日本政策金融公庫総合研究所「2020年度起業と起業意識に関する調査(特別調査)」)。
たとえ移住予定地に知り合いがいなかったとしても、準備段階から地域の自治体が用意している窓口などを活用し、不明点や不安をしっかりと解消しておきたいよな。

「ふるさと」という選択肢を含めたみんなのチャレンジ、応援しているぜ!

≪参考≫

▼日本政策金融公庫総合研究所『調査月報7』2022 No.166 中小企業の今とこれから
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/tyousa_gttupou_2207.pdf

▼内閣官房・内閣府総合サイト「地方へ移住しよう 地方で起業しよう」
https://www.chisou.go.jp/sousei/shienkin_index.html

おわり