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あなたはお気に入りのお人形を持っていますか?

こんにちは、ぱんだごろごろです。

お人形なんて、すべて処分してしまったわ、という方も多いとは思いますが・・・。
私も子供時代に遊んだ、リカちゃんやナンシーちゃんやタミーちゃんとはとうの昔にお別れしましたが、今も部屋の片隅に、小さな人形用の椅子に、二体のお人形が座っています。

小公女が好きだ、と言っていることからも、おわかり頂けるかもしれませんが、私は中学生になっても高校生になっても、セーラにとってのエミリーのような人形が欲しくて、ずっと探し続けていました。

私が読んでいた「小公女」は、伊藤整訳の新潮社の文庫本で、伊藤整の訳は素晴らしいのですが、やはりさすがに時代が古くて、彼の言葉を、自分なりに翻訳しながら、読まなくてはならない箇所もありました。
例えば、「肉まんじゅう→ミートパイ」「やきパン→トースト」などです。
(後に原書を手に入れて読んだところ、「やいたパン」が「トースト」で、「やきパン」は「マフィン」だということがわかりました。ついでに言えば、「ジャム菓子」は「ジャムタルト」でした)

「小公女」のエミリーの衣裳


話がそれましたが、セーラとお父さんとは、エミリーをおもちゃ屋さんで買ったあと、何と「子ども服屋」へと連れて行きます。
そこで、服屋は、人形のサイズを大まじめに測って、人形のために、レースやベルベットやモスリンの洋服や、美しいレースの縁取りの付いた下着を作り、帽子やコートや手袋、ハンカチや毛皮を用意した、と言うわけです。

最初に読んだ時には、何とも奇妙な気がしたのですが(だって、普通、人形のためにそこまでする?)、段々私も知恵がついてくると、(セーラ(の父)はそこまで、お金持ちということなのだろう)プラス(当時は既製服というものがあまり普及していなくてオーダーで服を作るのなら、七才用の服も、人形用の服も、そう変わらないのかも知れない)と思うようになり、大学生になり、ジュモーのビスクドールに興味がある、という友人が出来ると、(なるほど、当時は流行の服を広めるために、人形に流行の服を着せて、言わば現物見本というか、小さなマネキンのような役割をさせていたから、人形の服を洋服屋さんがまじめに作るのは、当たり前のことなんだわ)と、納得するようになったのです。

「人形の家」の人形とお道具類


その後、横浜の元町近くにある、「人形の家」へ行ったところ、その昔(大正から昭和初期の頃でしょうか)日本に来ていた外国人事業家の妻であり、母である女性が、小さな娘のために手作りした、人形の服や小物が、その人形と一緒に展示されていました。
私はこういう物を見ると、夢中になってしまうのです。
また、別の時に見た、西洋人形には、人形用のトランクだとか、小さなハンガー、パラソル、ブーツ、手袋、ビーズのバッグや本まで、付属品が何から何まで揃っていました。
小公女のエミリーも、自分のお茶道具(ティーセット)を持っていましたね。
エミリーのティーカップには、青い花模様が描かれていました。

こういうミニチュアの服や道具には、下手をすると、人形本体よりも惹かれることがあります。
おひな様のお人形そのものよりも、その漆塗りの金蒔絵のお道具類に、私は魅了されたものでした。
西洋のドールハウスが置いてあると、つい覗いてしまうのも、そういうところからかもしれません。
のばらの村(ジル・バークレム作)の、住居の断面図にも惹かれますし、ケーキやクッキーが所狭しと置かれた、台所の光景も大好きです。
たまに百貨店のおもちゃ売り場に迷い込むと、私はリカちゃんやバービー人形よりも、その着せ替え用の服やら付属品やらをせっせと眺めるのです。

本物の、自分が身に着ける服よりも、着たり管理したりする面倒のない、ただ眺めていれば良い、豪華で夢のようなワードローブが欲しいのでしょうか。
でも、矢沢あいの「パラダイス・キス」で、ジョージが紫のために残して行った、ドレスぎっしり、アクセサリー、靴、バッグ、帽子フル装備の貸し倉庫(ワードローブ)を見てもときめくので、等身大の物がいや、というわけでもなさそうです。

アナスタシアとマドレーヌをご紹介します


さて、話を戻して、私の部屋にいる、二体のお人形をご紹介しましょう。
ひとり目は、私が大学の卒業旅行の時に、パリのオペラ座通りの店で買ってきたお人形。
栗色の髪に、同色の瞳、レースのブラウスに、ジャンパースカートを着ています。
名前は、アナスタシア・ソフィア・アレクサンドラ・マリ・ヘレナ・オルガ・エリザベス
気が付いた方は、いらっしゃいますか?
そう、アガサ・クリスティの短編、「車中の娘」に出て来る、カトニア国の皇女の名前から取ったものです。

その昔、どの雑誌に掲載されていたのかも覚えていないのですが、漫画家の竹宮惠子のごく短い作品に、老婦人が長年大切にしてきた人形を、幼い少女に譲る、という内容のものがあって、そこに出てきた人形の名が、アナスタシアでした。
そのアナスタシアに因み、カトニア国の皇女と同じ名をもらった私のアナスタシアは、息子が小さい頃に、投げて、一部が割れてしまったのですが、幸い夫の修理の腕が良く、外からはわからない程度で済み、何とか生き長らえています。

ふたり目は、マドレーヌです。
絵本に出て来る、盲腸の手術の跡のある人形で、着せ替えの衣装も揃っています。
ひざの上には、犬のジェヌビエーブ。

まとめます。

あなたはもう、お人形遊びをする年齢ではありませんが、仲の良い、大切なお人形はいませんか?
セーラは、屋根裏部屋にいる時も、エミリーと一緒でした。
私は自分のエミリーを探し続けて来ましたが、結局手許に残ったのは、偶然旅先で出会い、通り過ぎることが出来ずに買った人形と、娘と着せ替え遊びをするために買った人形の二体でした。
あなたにも、どこかで偶然の出会いがあるかもしれません。
そうやって買い求めたお人形は、あなたにご縁があり、あなたを護ってくれる存在です。どうぞ大切にしてくださいね。

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