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秒速5センチメートルの大好きなことばたち


※「秒速5センチメートル」作品がただ好きな人間のメモ書きです。作品の紹介もないし、感想もあまり書いてないし、そのわりにとんでもないネタバレです。。

※以降の引用の出典、全部同じです。w



どれほどの速さで生きれば、
きみにまた会えるのか。

秒速5センチメートル


新海誠監督「秒速5センチメートル」(2007)のキャッチフレーズ。あまりにもあまりにも美しい一言だ。

15歳でこの作品に出会い、心を奪われ、25歳の今でもずっと監督の作品を追いかけ続けている。

全セリフを覚えている。
覚えていても、展開を知っていても、それでも見るときの自分の状況や年齢によって、本当に受け取り方が変わる作品なのだ。

だからいまの自分がこの作品をどう受けとめているか、も書きたいし、村上春樹著「国境の南、太陽の西」と照らし合わせた書評みたいなものも書きたいけれど、まずは好きなセリフを書き留めていきたい。いや全部好きなんだけどね。

宝物を集める作業です。


桜花抄(第1話)

明里との約束の当日は、昼過ぎから雪になった。

桜花抄/秒速5センチメートル

美しい。なぜかわからないけど、でもはっきりと、貴樹くんの声が脳裏に再生される。何回見ても、このセリフがこの後の展開を想起させて、胸が苦しくなる。雪に、なったんだよ…

予告編の冒頭、明里と高樹の交互のセリフ、その後のピアノの入り、、本当に美しい。


僕たちの前には未だ巨大すぎる人生が、茫漠とした時間が、どうしようもなく横たわっていた。

桜花抄/秒速5センチメートル

中学生から見えるこれからの未来の世界は、あまりにも深くて広い。2人のささやかな関係なんて呆気なく覆してしまうような。

このセリフは、1番と言っていいくらい大好きです。ふとしたときに思い出すほど。
人生を「巨大」と、時間を「茫漠」と、形容できる言葉の美しさ。そんな美しい言葉による、暴力的な絶望の表し方。



コスモナウト(第2話)

彼は優しい。
ときどき、泣いてしまいそうになる。

コスモナウト/秒速5センチメートル

「泣いてしまいそうになる」優しさって、もう、胸が苦しくて、でも幸せで、やっぱり苦しいんだと思う。
そしてこの優しい彼、貴樹くんは貴樹くんで、必死に生きて、もがいていたのだと、今はなんとなく分かるようになった。15歳の私(kigo)はそれに気づけていなかったなということも、今になって分かった。


秒速5センチメートル(第3話)

ただ、生活をしているだけで、悲しみはそこここに積もる。日に干したシーツにも、洗面所の歯ブラシにも、携帯電話の履歴にも。

秒速5センチメートル/秒速5センチメートル

なんでもない日常のなんでもないシーンを切り取って、それだけで、やるせなさのようなものが伝わってくる。それだけだから、かもしれない。

そして、ここだけじゃないけど、私はこの作品から「日常は美しい」ということを認識させられ、今生きているこの瞬間のことを、ありありとした実感を、受け止められるようになったように思う。




「日常は美しい」

「あなたはきっと大丈夫」


そんな2つのプレゼントをくれた作品です。これからもずっと自分の中で生き続けてくれる、大事な大事な作品です。

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