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カナヅチと浮き輪。

5年ぶりに整形外科に通っている。

「いやぁ〜レントゲン写真見ても
別段、悪いところはないですねぇ〜」

「なんとも言えませんなぁ〜」

「何か思い当たること、ないですか?」

と、久しぶりに会う先生は白髪が目立ち始めて
いたが、相変わらず口調が穏やかで優しい。

思い当たると言えば、
体型の変化。
私の腹周りを侵食している「浮き輪肉」である。

(注; 浮き輪肉とは、腹、背中、腰まわりに付く
体脂肪のことです。)

それが影響してるのではないでしょうか、、、
とは、言えなかった。


英語を学び始めたのは
60歳を過ぎでからであるが、

それと時を同じくして水泳も始めた。

シンプルに泳げるようになりたいと
思っただけだったが、
この「スポーツジム」の世界が
なんとも言いがたいものだった。

プールから出ると浴室があるのだが、
個室シャワールームではなく、、、

普通に「銭湯」だった。(笑)

しかも、
暇持て余した富裕層中高年の集まりだった。

すでに、しっかりと仲間が出来上がっていて
和気あいあい、楽しげな世界が
湯気の中で繰り広げられていたのである。

笑えない。

私は、全裸のまま、ポツンと湯おけを持ち
立ち尽くしてしまった。

これは、いったいどうしたものか。

それで、それで、、、、と話の中に
割り込む勇気もなければ、その気もない。

彼女たちの話題は、もっぱら
車、ゴルフ、海外旅行、リフォームである。

ん、ん、ん、、、、I have nothing、、グスっ。

そんなことは、まあどうでも良い、、、
ような、、、良くないような、、、(複雑)

プールは5レーンしかなく、
左端はウォーキング用。
右端は初心者用。
真ん中の3レーンは上級者用となっている。

つまり私は、右の1レーンしか使用できない。
誰かが使っていたら、待つか諦めるか。

だから、台風接近、大雪、大雨など
天候の悪い日はイソイソ出かけた。
何故なら、誰も来ないからだ。
ある意味、危険を孕む行動だけどね。

そんな苦労と努力の結果、
浮くことすら出来なかった私が、
バックストロークで
25m泳げるようになったのである。

快挙である(笑)


長いカナヅチ人生にさよならを告げて
すっかり気を良くした私は、
よしっ!Next!

クロールを練習すべく個人レッスンを
お願いした、、、、、が、、、。

世の中とは、思いがけないことが起きるものだ。


なんと、
毎日通い詰めたスポーツジムは閉店。廃業。

えっ?  レッスンは?  クロールは?

「本当にごめんなさいね。私、来月から石垣島で
働くことになっちゃって、、、」

と、個人レッスンをお願いしたインストラクターの女性が、申し訳なさそうに言った。

チーム富裕層も解散である(笑)

泳ぐことが出来なくなり、皮肉なことに
「浮き輪肉」が付き始めたのである。


水泳を辞めたことと整形外科通院に
因果関係があるのか、ないのか、
よく分からない。

ただ、生活のリズムが乱れたことは、
間違いない。

新しくジムを探し始めたが、プール併設は
なかなか見当たらない。

「プールなしでも、いいんじゃない?」
「もう、前の水着、無理なんじゃない?」

と、夫が
せんべいをバリっと食べながら言った。

エへ、へ、へ、、、バレたか!

毎日、暑いですね。

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