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眠れる森の老女(仮)

私は、結婚式に13回ほど臨席している。

でも、親族や友達、会社の同僚の式に
招かれた訳ではない。

勤務していた大学を定年退職後、
ハローワークで、
たまたま見つけたアルバイト先が
ブライダルメイクの会社だった。

たかがアルバイトでも、経験なしのシニアを
採用するだろうか、、、

正直言って、どうでも良かった、、が、

意外なことに、面接日、即日採用となった。
だが、これがクセモノであった。

簡単に採用される仕事は、 
一度落ち着いて熟考すべきである。


女社長はきついわ、
メイクアップアーティストは意地悪だわ、
カメラマンは性格が悪いわ、
式場スタッフは人の悪口ばかりだわ、、

これは、もう、
おばあさんに変装したオオカミになるしかない。

ウォーーゥーーーン。

おめでたい勤務場所の、
めでたくない仕事内容であった。

結婚披露宴と言えば、
赤ちゃんと年寄り以外のゲストは、
スマホ片手の撮影に夢中である。

その状況でですね。

その写真の中に、我々スタッフの姿が
絶対に写ってはいけない。

それ、難しくない? 

私の仕事は、花嫁のアテンダントである。

手袋を渡したり、受け取ったり
ドレスの裾を直したり、肩にかついだり(重い)
ブーケを持たせたり、水につけたり、、と
まあ、忙しい。

挙げ句に、パンプスを履いての仕事だ。
足の皮膚が破れ血が滲んだ。

もう、なんでもええやん、、、とさえ思えたが、
新郎新婦にとっては、ハレの日。

頑張りましょう、、、(泣)

この仕事をして
ひとつだけ分かったことがある。

「花嫁はみんな美しくなれる」、、、、よ。

そして、
結婚式の仕事をした夜は、
10時間に渡り眠りこけてしまった程である。


仕事疲れとはいえ、
過去には、ぐっすり眠れてたはずなのに、、、、


最近、眠れない。

草木も眠る丑三つ時、、、と言えば
午前2時から2時半のことらしい。
この時刻に目が覚めてしまう。

これが高齢者が陥る中途覚醒という症状か。

2時半、お隣に住まいされる方の玄関ドアが
キキィーと開いて出勤される時間である。
夜更けの出勤。
人の命を守る職業に従事されてる立派な方だ。

粉雪舞い散る冬の夜など、
お疲れさまです、、と和菓子付き熱いお茶などを
差し上げたいくらいである。

喉が乾いたので、
冷蔵庫を開けて、アセロラドリンクを飲み、
トイレに行き、フッと鏡を見ると
唇の端からアセロラドリンクが一筋、
垂れていて、
一瞬、太ったドラキュラかと思ってしまった。

アセロラはビタミンCが豊富で美肌効果、
老化防止を期待できると聞いていたのに、

老化を超えてゾンビになってどうする(笑)

3時半、新聞配達の原付エンジン音を
遠くに聴きながら、
やっと眠りに落ちていくのを感じた。


ところで、

我が家には先祖代々の墓などと、
気の利いたものはない。
なので、
終活の最終段階、霊園探しプロジェクトに
取り掛かっている。

そもそも私は何事も決断は早い。
早すぎて時々、失敗する。

だが、
霊園に関しては、私の独断で決められない。

八ヶ岳連峰を望む森の中の霊園や、
木曽の山々を見渡せる自然豊かな霊園などの
パンフレットを取り寄せた。

そのうちの一社から電話があった。

あーまだー私ー死にかけてーとかーないですがー

「えーえー分かってます。もちろん。
お声がお若いですもの、、ね、、
生前に契約していただいてもですね、
大丈夫ですよ。
30年でも40年でも、お待ちしておりますぅ」

100歳越え(笑)

樹々や花に囲まれた素敵エリア、、、だが
30年40年後は、雑草伸び放題とか?

どうでもいっか。どうせ私は分からない。


だけど、まだまだ、家族の了承を得られない。

あくまで仮の状態のままである。

考えていたら、また眠れなくなった。
ぐっすり眠ることにさえ、
無駄にエネルギーがいる今日この頃である。

永遠の眠りはいつだ?
..................................by sleeping beauty.(笑)

ぐっすり眠りたい。

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