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土用とうなぎ

緊急事態宣言があけて6月から、コロナ感染者数の数が鰻登りに増えております。検査数が多くなったからということもあるかもしれませんが、しかし私個人的な感覚としましては、どうもライトアップイベントなどで中途半端に「ひと段落した」感が出てしまい、油断が生じたためのようにも感じてしまいます。

実際のところ、普段の生活の中にあってのコロナに対する注意度合いのテンションはいかがでしょうか。
自戒を込めて書きますが、私自身としては緊急事態宣言下と今の度合いが同じかと問われますと、少し緩んでいるように感じます。

「緊急事態宣言」とその施策に関しては議論の余地はあると思いますが、とはいえ人はなんらかの枠組みに影響されやすいところがあるものです。

「緊急事態宣言」、あるいはこれに準ずる枠組みを、補償などとあわせてうまく運用していただいて、なんとか今の状況が収まればと思います。

そんな中、明日8月2日は土用の丑の日。
「うなぎを食べて精力をつけてコロナに対する免疫力をあげよう!」

なんていう言葉がスーパーに踊っているのが目に見えるようですが、今日はそんな土用とうなぎについて少し書いてみようと思います。

土用

夏になると「土用のうなぎ」を意識しておりますが、まずこの「土用」をみてゆきましょう。

土用(どよう)とは、五行に由来する暦の雑節である。1年のうち不連続な4つの期間で、四立(立夏・立秋・立冬・立春)の直前約18日間ずつである。
(wikipediaより)

これまで何度かこのコラムでも暦の面白さを書いておりますが、この「土用」も暦的にみますととても興味深く感じられます。

まず、上にありますように「土用」は四立(立夏・立秋・立冬・立春)の直前の期間とされております。そもそもこれは土用が「季節の変わり目の移行期間」という概念によるためです。

例えば、立夏の前の土曜は、春から夏への移行期間というわけです。
「移行期間」ですので、立夏の前の土用は厳密には春にも夏にも属しません。つまり土用はいずれも春夏秋冬どれにも属さない独立した時期なのです。

そんな土用ですが、年間を通じた日数を計算してみますと、各土用期間はおよそ18日ですので、

18 × 4 = 72

となり、年間72日間が土用に相当するということになります。
一年365日からこれを引いて残ったのが春夏秋冬となるわけですが、春夏秋冬、すなわち四季それぞれの日数は季節による違いはないとしますと、春夏秋冬それぞれの期間の日数は、

(365 - 72 [=土用日数] ) ÷ 4 [=四季] = 73.25(日)

となると思います。

こうしてみますと、春夏秋冬それぞれの日数と土用の期間全体の日数は大体同じになることがわかります。

つまり、今でこそ、春夏秋冬として「四季」と申しておりますが、一年はこれに土用を加えて5つのシーズンに分かれているとも言えるでしょう。

元々、五行思想では、春=木・夏=火・秋=金・冬=水としております。
ですがこれだけですと五行の要素に1つ足りません。

土用は文字通り「土」の期間です。
春夏秋冬に土用を加えて五行全て揃うことを考えますと、上の日数配分はとても理にかなっており、上手にまとめてあるものだと改めて感心いたします。

土用は五黄

ある意味隠れた季節とも言える土用ですが、この土用という時期はいずれも五行の「土」の気が強くなる期間です。

そこでワンポイントです。

土用に強くなる土の気。土の気といえばやはりその筆頭はこのコラムでもよく出てくる五黄土星です。

土用は特にこの五黄土星の気が強くなっております。

そういうわけで、この時期に土に触るということは五黄土星に触れるのと同じ意味を持ちます。

五黄土星に触れる、即ち、五黄殺です。

ですので、土用の期間中は土いじりや基礎工事など、地面に手を入れる行為は避けておきましょう。

今と昔、暦が違いますのでピンとこないかもしれませんが、昔はこの土用の期間は兎角お祭りなどが多かったと言います。

昔はお百姓さんなどが多かったはずですが、そうした人たちが田畑の土に触れないように人の動きをお祭りなどという形で制御していたというわけです。とても興味深いと思います。

そしてまた逆に、五黄土星とは中央に鎮座している星ですので、その性質に倣って土用の時期はあまりバタバタと動かずに家の中で読書をしたり考え事をするのに向いている時期でもあることも覚えておいていただければと思います。

土用のうなぎ

こうしてみてまいりますと、土用の丑の日にうなぎを食すという行動は特に気学思想もしくは五行思想などとは特に関連のないことが薄々見えてまいります。

かの平賀源内先生によるコマーシャリズムであるという話は有名ですが、改めて述べるまでもなく、この風習は平賀源内起因のもの(かもしれない)というお話以上の何者でもありません。

実際のところ、うなぎの旬は脂が乗ってくる秋から冬のころですので、夏にうなぎを食べるのが良いというのは(うなぎはそもそも栄養価は高いものかもしれませんが)栄養学的な見地でも「この時期だからこそ」という有力な根拠はありません。

ですが、この「夏土用の丑の日にうなぎを食べる」というものは200年間続いて出来上がった一つの文化的枠組みであり、日本の夏の風物詩として切ってもきれないものになってまいりました。

梅雨も明けていよいよ夏本番。

「土用のうなぎ」は今や夏の風情を楽しむための一つの要素です。
小難しいお話はひとまずこの際脇に置いて、
時には夏の青空の下、冷えたビールを片手に土用のうなぎで夏の風情を思い切り楽しんでみるなんてとても素敵ですね。

今年は七赤金星の年です。

コロナのせいでもちろん配慮は必要ですし、うなぎなどという気分になれない時もあるかもしれません。

ですが、2020年、中宮にいる七赤金星は「楽しんでご覧」と言っています。
楽しいところに幸せ・お金がついてくるというが今年のテーマですので、積極的に楽しめる時は心から楽しみ、流れに乗ってゆきましょう。

そうすればきっとコロナによる鬱々とした気分も晴れてくるかと思います。

みなさまもどうぞご自愛の上、素敵な夏をお過ごしくださいませ。


次回は8月7日の更新です。

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