見出し画像

戦になった時点で同じ穴の狢|ウクライナ停戦交渉を観る

みなさんこんにちは。気学Style西島です。

ロシアがウクライナに侵攻して数日。
この時代にまさか軍事行動を起こすとは…と改めて驚かされます。

当事者となる国、あるいはそれを取り巻く国、それぞれにそれぞれの正義があり、一概に誰が悪いという話はできないにせよ、
しかしながら戦火があって苦しむのはいつの時代もそこに住む普通の人々です。

ただそこにあるがままにあるはずだった日常を奪う軍事侵攻を起こしたロシアはもとより、それを引き起こす事態・流れを作ってしまったウクライナにもその咎はあるでしょう。

世界情勢に照らして考えて参りますと様々な問題を孕む今回のウクライナ侵攻ではありますが、

しかしながら今は机上の話は置いておき、
今まさにこの時に、あるべからざる戦禍によって苦難を強いられているウクライナ・ロシア全ての方へ、
早く戦火が収まり元の日常が戻ってくるように心からお祈り申し上げるばかりです。

ウクライナに攻め込んだロシア・プーチン
徹底抗戦を呼びかけるウクライナ・ゼレンスキー

自分の軍隊も含め、人の命を戦禍に晒すという意味では、いかにそこに大義があるように見えても、私にとってみれば両指導者は結局は同じ穴の狢にすぎないように思えます。

今回まずは二つの引用をもって両指導者への私の批判といたしておきます。

兵は不祥の器

夫(そ)れ兵は不祥(ふしょう)の器、物或(ある)いはこれを悪(にく)む、
故(ゆえ)に有道者(ゆうどうしゃ)は処(お)らず。
兵は不祥の器にして、君子の器にあらず。已(や)むを得ずしてこれを用うれば、恬惔(てんたん)なるを上なす。勝ちて而(しか)も美ならず、
而るにこれを美とする者は、これ人を殺すを楽しむなり。
夫れ人を殺すを楽しむ者は、則ち以(も)って志を天下に得べからず。
吉事には左を尚(たっと)び、凶事には右を尚ぶ。
偏将軍(へんしょうぐん)は左に居り、上将軍(じょうしょうぐん)は右に居る。
喪礼(そうれい)を以ってこれに処るを言うなり。
人を殺すことの衆(おお)きには、悲哀を以ってこれを泣き、
戦い勝てば、喪礼を以ってこれに処る。

老子:三十一章(一部略)

軍隊というものは不吉な道具であり、多くの人がこれを嫌うものだ。
だから「道」を知った人間は軍隊には近寄ろうとはしない。
軍隊は不吉な道具であるので、人の上に立つ様な人々が本来使うものではないのだ。
やむを得ない理由で使わねばならない時には、あっさり使って長く使わない事だ。
勝利を善い事だとしてはいけない。
勝利を善い事だとする人間は人殺しを楽しむ人間だ。
そんな人間が天下を得られる筈が無い。

一般に吉事では左を上座にするが凶事では右を上座にする。
軍隊でも将軍は右に座り、副将軍が左に座る。つまり葬儀の作法に従っている訳だ。
戦いによって多くの命が失われたらたとえ勝利を収めたとしても、
葬儀の作法に従って悲しみの心で涙を流すべきである。

戦争:師、貞。丈人吉。无咎。

師は貞なり。丈人は吉。咎はなし。

易経7:地水師

「師」、即ち軍隊を用いるにあってはそもそも貞(正しい)ということを根底に置くべきだ。
即ち、天の声に従い、衆望に沿って悪を討つ正義の戦であらねばなならない。
ゆえに、丈人は吉と説く。
「丈人」は大人物のこと。
軍隊や組織を引っ張るものが人間性を成熟させた人格者ならば、問題は起こらず良いとはいえよう。

ゼレンスキー・プーチンを観る

さて、今まさにウクライナ・ロシアの間で停戦交渉が行われております。
午後6時から始まったとされていますが、今の時間を持ってもまだその結果のニュースが飛び込んでこないところを見るとかなり難航しているのでしょう。

上首尾に交渉がまとまり、軍事的な脅威がなくなればと祈ってはおりますものの、どうなってゆくのかとても気がかりです。

今回の騒動の中心人物の流れ、易と気学で見てみましょう。

大壮、利貞。|プーチン

大壮は、貞しきに利あり。

易経34:雷天大壮

易経に出てくる34番目の卦、「大壮」とは、天の上に雷が轟き、勢いやエネルギーの強い様、即ち物事が大きく発展する時を迎えていることを示します。勢い的には極めて強く、大きな仕事が完成する時でもあるかもしれません。

「大」きく・「壮」さかんな時、そんな時に注意したいのは、発展の勢いに振り回されて慢心しないことでもありましょう。
調子に乗って独断専行したり、自分を抑えねばならない時にその限界が見えないままにやり過ぎれば大きな失敗につながることは明白です。

また、こうした運勢の強い時には攻撃的なメンタルにもなりやすいものです。自分に反対する者から学ぶ姿勢を失うどころか、逆にそれを叩き潰そうとするのも間違いの元と言えるでしょう。

この卦は自分が発展の只中にいながら、一方で戦いの心・慢心をいさめて優しく柔らかい精神のなかに身を置くことを進めてもいるのです。
それもそのはずで、この卦はよくみれば全体で大きな七赤金星ともみて取れます。

「発展途中にいる今こそ慢心を抑え、思い上がりをなくして自省の心で物事に当たることこそがさらなる成果を得る秘訣」
だというのがこの卦のメッセージ。
故に即ち、「貞(ただ)しきに利あり」ということになるわけです。

2月、プーチンはこの卦の示す流れの中にいるのですが、果たしてその動き、「大壮」に沿ったものになっているのでしょうか。

謙、亨。君子有終吉。|ゼレンスキー

謙は亨る。君子終わりありて吉。

易経15:地山謙

そして易経の15番目に「謙」という卦がございます。

この卦の時、謙虚に人と付き合えば物事はうまくいくというのが示唆のまず一つ。
立場が高くなるほど、自分を低きに置くことが成果をもたらすコツだとこの卦は述べます。

さて、この「謙」という卦にはもう一つの側面がございます。

自分の立場が高くなればなるほど、身を低くし人に接する…
即ち、高きにあって自己を見失わずいる状況、上に述べたものでまずはこれが一つ目。

そしてもう一つ、自分が低いところにいるときは山の如く目標を高く持ち、自己の尊厳を失うべからずという謂もこの「謙」には含まれております。

「謙」という卦、あるいは「謙虚」という言葉の本質は、

今の自分の立ち位置によって高慢にも卑屈にもならず、ただあるがままの自分を差し出す

ことにあると言っても良いでしょう。
「己の立ち位置により生きる道をしっかりと歩む」
…これが人の生きる道であり、この卦によって示される人生の歩み方の知恵なのです。

だからこそ、この「謙」という卦は、
・「享る」=願い事は叶う
・「終わりありて吉」=終わりをすばらしく全うすることができる
(終わりまで乱れることなく立派に幕引きができる)
ので良い=吉となるわけです。

苦境にあるウクライナのゼレンスキー大統領。
2月はこの「謙」の示す流れの中にいます。

果たしてその動き、「謙」に足るものでしょうか。
あるいは、ロシアという大国・プーチンという難敵を相手に、
「謙」の如く立ち回れるでしょうか。

大壮 vs 謙

こうしてみて参りますと、プーチン大統領が大壮の流れにあってその形にいなさそうなことはうっすらと見えて参ります。

そうなりますとあとはゼレンスキー大統領の振舞いがキーになってきそうですね。

自分の信念をしっかり丁寧に貫き通すのか、あるいは無為なヒロイズムに酔うのか。
無論、ロシア相手に思う通りの交渉ができるとは思えませんが、しかしながら「謙」のスタンスに居れば酷い結果にはなることはないでしょう。

交渉結果がとても興味深いところです。

2月28日の停戦交渉

また、そんな二人(厳密には代理でしょうけれども)が2月28日に交渉を行うのですが、これはやはりそれなりに意味がありそうです。

以前にも述べましたが、

・ゼレンスキー大統領:五黄土星
・プーチン大統領:三碧木星

という本命を持っております。

2月28日の盤面においてこの二人を見て参りますと、
真ん中の4(四緑木星)を挟んで三碧木星と五黄土星が向き合っている形になっております。

四緑木星とは物事を整えるというテーマを持つ星ですが、この28日の盤面を見ておりますと、

ゼレンスキーとプーチンが今の戦局・情勢を整えるために向かい合っている

という、そのまんまの形です。

盤面で見ておりますと、今日(28日)のところといたしましては

プーチン的にはいろんな意味で大きな厄介ごとがあり、当初の思惑通りにゆきづらい感覚がありそうですし、
ゼレンスキー的にははっきり大きな目標はあるものの、光が見えてくるまでは予想外に時間がかかりそうな雰囲気に見えます。

28日の交渉は、ある意味向かい合うべくして向かい合っているとは言えますが、しかしながら時間はだいぶかかりそうですね。
両者の勢いも拮抗している感じですので尚のことでしょう。

とは言え「四緑木星が真ん中にいる」という形的には、
何か決まり事は出てきそうにも見えますから全く空振りと言うふうにもならないと思います。

いずれにいたしましても、一刻も早く、
兵士にせよ市民にせよ、命を脅かされない状況になることを祈るばかりです。

「不祥の器」を持ち出してしまった以上、もはやいかに正義ぶっても「君子」の道からは遠ざかってしまった大統領二人ですが、
それでもこれ以上人が傷ついたり死なないように取り計らうことぐらいは早くやっていただきたいものです。



…今回の一件、「君子とは」を改めて少し考えさせられるものでもありました。
皆さんにとってはいかがでしたでしょうか。

もちろん平和は願うものの、折々このようなことが起こり学びを得られることにもありがたく思います。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


次回の投稿は3月6日です。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?