日本人しぐさ(満員電車編)
こんにちは。
写真を撮るのが世界一ヘタなアラフィフです。
気付かないうちに手が震えてるのでしょうか?止まっている絵すらもブレブレです。
夏に京都で見た村上隆展。風神可愛い。
京都などの有名観光地に限らず、日本の都会は人口密度が高いので、結構人混みに身を置く機会は多いものです。
特に平日の朝、私が利用する地下鉄の路線は、日本有数の乗降客数と言われるだけあり、毎日すし詰めです。
乗り降りの度に前後左右、みんな自分の向かいたい方向へ進むために、静かなる攻防を繰り広げているのです。
会社員としての生活が四半世紀にもなろうという私は、電車の中での過ごし方にかけて、一定の経験を積んだベテラン日本人です。
駅で電車を待つ際は、2列縦隊で整然と並び、ドアが開くやいなや、ジリジリと前の人に続いて詰めます。ただし、自分が最前列の時にはドアに近づきすぎてはいけません。降りる人が前方だけでなく左右にも出られるように、人が通れるだけの幅を確保して、注意深く待つのです。
この幅を作らず、ドアぎりぎりまで攻めると、降りたあと左右のどちらかに行きたい人は、降りたドア前の2列縦隊と、となりのドア前の2列縦隊の間を延々と歩いて迂回する羽目になり、朝の貴重な時間を無駄にするので注意が必要です。
また、せっかく2列縦隊で並んでいたのに、ドアが開いた瞬間、左右1列ずつに分かれて花道を作るのも同様に避けたいものです。
時々、脱出に手間取った人が遅れて降りてくることもあるので、車内の乗客の誰とも目が合わないように細心の注意を払いつつ、降りる人が完全にいなくなったら速やかに乗車します。
ただでさえうんざりする満員電車で他人と目を合わせるのは要らぬトラブルの元になりかねないので、とにかく視線は常に無機物に注ぐのです。
決して前の人に遅れることなく歩を進め、目はしっかりと車内のどのポジションを陣取るべきか見極めなくてはいけません。
毎朝同じドア前に並んでいても、微妙にメンバーも順序も異なるため、その日によって戦略は変わります。
もっとも良いのは、座席前の通路で、出来れば3人がけシート前がベストです。
この位置は満員電車でも、ぎゅうぎゅう詰めではなく比較的ゆったりと立っていられるためです。
座席が空いたら座る?
とんでもない!こんな地獄の満員電車で座った日には脱出が大変です。
座席は必要としている人に積極的に譲りたいものです。
さして長い旅ではないのですから、己の足でしっかり立って、吊り革につかまらず体幹を鍛えるのです。
しかし、ホームでの並び位置が後ろの方だった場合は3人がけシート前の確保は厳しい。
となれば7人がけシート前が次なる候補ですが、ここも取れなかった場合は、黙ってドアとドアの間の溜まりに佇むのみ。この場所が通勤時間一番の地獄です。
全方位的に密着度が高くなりがちなのはやむを得ません。
ここでは立つ時の向きが快適性の向上に重要な要素です。
なぜか一人だけ向かい合うように立っている人がいたら、出来るだけ距離を取り、自分の前にその人が来るのは回避しましょう。
あら最悪、向かい合ってしまった。という時も諦めることはありません。
次の駅でいったんドアの外に降りればリセットのチャンスです。
ホームに降りる時はあまりドアから離れる必要はありません。ホームに並んでいる人の最前列の辺りで降りる人を待っても、誰も責めたりしません。次こそは変な向きで立っている人を避けて再び車内へ乗り込むのです。
ついに自分が降りる駅に着いたら、突っ立っている人の間をうまくすり抜けて、出来るだけカバンや服が触れないようにドアまで移動します。
自分が降りる時は、他の乗客が降りる人の邪魔にならないようみんなホームに降りると思ったら大間違いです。
満員電車歴が浅い人も大勢乗っているし、テコでも動かない主義者もいるのですから。
満員電車のベテランとして、人とぶつからずに降車する匠の技を繰り出すのみです。
階段を上って乗り換えるときにも、人とぶつからないで歩調を変えるのです。
決して人の顔を見てはいけません。
見ても良いのは足元だけ。そうすれば相手が進む向きや歩く早さを読み間違うことはありません。
自分の進むべき方向へ向かって最適な早さで歩くのみ。
こうして今日も順調に目的地に到着したのでした。
日本の鉄道が正確なのは鉄道会社のおかげももちろんですが、こういうベテラン乗客が山ほど乗ってるからというのも結構大きいかも。
ではまた。