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ベトナム最大級のサッカースクールはサッカースクールではなかった/北口遥基さん(アミティエ・スポーツクラブベトナム)

メインパーソナリティ:
四方 健太郎(よもけんたろう)/ヨモケン
【鎌倉インターナショナルFCオーナー】
1979年生まれ。立教大学経済学部を卒業後、アクセンチュア株式会社の東京事務所にて、主に通信・ハイテク産業の業務改革・ITシステム構築に従事。2006年より中国(大連・上海)に業務拠点を移し、中華圏の日系企業に対するコンサルティング業務にあたる。独立後、1年かけてサッカーワールドカップ2010年大会に出場する32カ国を巡る『世界一蹴の旅』を遂行し、同名著書を上梓。(あわせて、経済界社より『世界はジャパンをどう見たか?』を上梓。)現在は、日本の大手企業のビジネスパーソン向けに、東南アジアなど新興国でグローバル人材育成/海外研修事業などを行う株式会社スパイスアップ・ジャパンなど国内外のグループ企業数社を経営。2018年に神奈川県鎌倉市をベースとする「徹頭徹尾国際化を意識したサッカークラブ」、鎌倉インターナショナルFCを立ち上げる。シンガポール在住。
鎌倉インターナショナルFC:https://kamakura-inter.com/
スパイスアップ・ジャパン:https://spiceup.jp/
今回のゲスト:
北口 遥基(きたぐち はるき)さん
【アミティエ・スポーツクラブベトナム】
1985年、北海道士別市生まれ。旭川実業高校、大阪体育大学卒。学生時代よりサッカーをはじめ、スポーツを通じて学んだことを子どもたちに伝えていきたいという想いからNPO法人「アミティエ・スポーツクラブ」に就職。同クラブのサッカースクール指導者、社会人チームの選手として活躍。2014年1月、ホーチミン市にてベトナム人向けのサッカースクールを開設を皮切りに、現在ではハノイでのサッカースクールやホーチミンでのチアダンススクールも運営する。

ベトナム最大級のサッカースクールはサッカースクールではなかった

(ヨモケン)
今回のゲストは、ベトナム最大のサッカースクール事業を展開するアミティエ・スポーツクラブベトナム代表の北口遥基さんです。
北口さんよろしくお願いします!

(北口さん)
よろしくお願いします!北口と申します。
私は、2013年からベトナムに渡って、サッカースクールの事業を行なっています。
今会員が大体3,000名ほどで、今ベトナム最大とご紹介されましたが、もしかするとそれより会員数が多いクラブがあるかもしれないので、最大級ということでお願いします(笑)
我々のスクールは、サッカーの技術を上げるというよりは「最後まで諦めない」「どんなことにも意欲的に取り組む」といった、子供達が大人になった時に色んな世界で活躍するために必要な力を身に付けることをモットーに活動しています。

(ヨモケン)
僕らは4年くらい前に知り合いましたよね。
共通の仲間からの紹介でベトナムのホーチミンのカフェで会って、そこでお互いサッカー好きとか、北口さんからサッカースクールで人を育成したいという話を聞きました。
僕は人材育成の仕事をしていて、グローバルに活躍できる人のアセスメントツールを作っていたんですけど、それをサッカースクールで使えないか、みたいな話をしましたね。
そこで話が盛り上がって、気付いたら3時間くらいお茶をしましたよね(笑)

(北口さん)
14時くらいから始まって、気付けば17時か18時でしたよね(笑)

(ヨモケン)
その時の北口さんは、スクールを1つの事業としてやっていて、どうやったら売上を伸ばすことができるのか?という話の中で、日本に遠征して日本の子供達との交流企画をしたらいいかもね、という話をしました。
それがきっかけで、2017年から2019年の間で北海道とか鎌倉に来てもらいました。
そんなアミティエ・スポーツクラブベトナムは、どのようにして最大級になったんですか?またその秘訣は何ですか?

(北口さん)
我々のスクールはサッカースクールだけど、教育が大事という想いがあって、それを知ってもらうためのブランディング戦略は徹底的にやってきたと思います。
あとは、商品クオリティを追求するための組織マネジメントも徹底してやってきました。
なので、人材への教育は相当にやってきました。
ベトナムでサッカースクールをやっている話をすると「サッカーは人気ですもんね」と言われるんですけど、半分正解で、半分そうではありません。
我々がスクールをスタートしたのは、2014年の頭で今みたいなサッカー人気はありませんでした。

今でこそ、テレビCMにスター選手が出てて、子供をサッカー選手にさせたい親が増えましたけど、それまではプロサッカー選手の待遇が低くかったです。

(ヨモケン)
日本でいうJリーグが始まる前の時代みたいな感じですよね。

(北口さん)
そうですね。プロの一部の選手でも月給5万円とか6万円のレベルでした。
なので、子供をサッカー選手にさせたい親は全然いなくて、そんな当時はサッカースクールという市場が全くありませんでした。
そういった前提条件があったので、教育というものを重視して、大人になってから社会で活躍するための手段をサッカーとしました。
ですので、それを納得してもらうための商品の作り込みを徹底しました。

(ヨモケン)
日本にもアミティエサッカースクールがありますが、日本では教育とか人材育成を前面に出されている印象はあまりなかった記憶ですが。

(北口さん)
実は、ベトナムのスクールほどではないんですけど、元々日本でも人材の育成はやっていました。

話は変わるんですけど、鎌倉インテルは非常に魅力的な活動をしていると思うんですけど、最終的に目指すビジョンとかミッションは何ですか?
鎌倉インテルの活動が世の中にどう影響を与えていくのか、それを実現するためにクラブをどういう状態にしたいのかが気になりました。

(ヨモケン)
僕の原体験も影響しているんですけど、僕はもっと世の中でサッカーの価値が認められてもいいと思っています。
僕自身、サッカーボールがあることで、色んな世界中の人達と繋がれたという体験があって、そこにものすごく価値を感じました。
ただ、世の中でサッカーはスポーツの中のただの1つと思われていて、そこが僕の中でもどかしいところです。
例えば、社会的に評価されるビジネスや教育、経済とかは普遍的に価値があると思います。
それに比べてスポーツの位置はまだまだ低いので、鎌倉インテルではそれを解決できるクラブにしたいと思っています。
ただ、これは僕らのクラブだけがそうなれば良いというわけではなくて、鎌倉インテルみたいなクラブが増えて、日本におけるスポーツやサッカーの位置が上がってほしいと思っています。

(北口さん)
鎌倉インテルがおこなっているあらゆる活動を通じて、スポーツの価値を再定義する、更にそれをアップデートしていくということですね。

(ヨモケン)
はい。それを表現できたらいいなと思っています。
その中で、選手に求めることは何ですか?と聞かれることがよくあります。必ずしもクラブが掲げているビジョンに対して、選手とかスタッフが100%理解して体現することは難しいと思いますが、僕はそこを求めたいと思っています。
北口さんも組織の代表として、全コーチングスタッフの理解を100%に近づける努力をしていこうと思っていますよね。

(北口さん)
はい。人によって原体験とかバックボーンが違いますけど、組織としてここは絶対に曲げてはいけないというところは、限りなく100%に近づけたいと思っています。

(ヨモケン)
多少、人によって表現の仕方が変わるのはしょうがないですけど、そこは組織として大事な部分ですよね。

ベトナム最大級のサッカースクールはサッカー村から離れたときに生まれた

(ヨモケン)
そもそも北口さんはなぜベトナムに来ようと思ったんですか?

(北口さん)
実は、海外には高校の修学旅行とサッカーの遠征で行っただけで、28歳まで韓国以外行ったことがありませんでした。
きっかけは、社会に出て仕事を一生懸命していく中で、ゼロからイチを生み出す新たな仕事にチャレンジしたいと思うようになったことです。
その時に、新たなチャレンジができるならどこでもいいと思って、とりあえずベトナムに来たという感じです(笑)
僕はずっとサッカーをしてきて、日本のサッカー村みたいなところでしか育ってきませんでした。
今までは、そのサッカー村の中で共通の話題があって、楽しく盛り上がれたんですけど、ベトナムに来るとサッカー村ではない日本人の方が多くて、話している内容についていけませんでした。
そこで、自分が狭い世界で生きてきたことを痛感しました。
ただ今思うと、海外に出てそれを痛感できたことは本当に良かったと思っています。

(ヨモケン)
その体験の中で、ベトナムの子供達の人間性を育むことにフォーカスしたのはどういう繋がりがあるんですか?

(北口さん)
元々、海外に全然行ったことがなかったので、ベトナムに来た時色んなことが衝撃でした。
例えば、空港に着いて両替をしようとして列に並んでいたら横入りされたり、街中で平気でゴミを捨てたりする人がいて驚きました。
自分のことはすごく考えているんだけど、他の人のことを考えていないんだなと感じました。
ベトナムは経済がすごく伸びていますけど、それはただの人口ボーナスでしかなくて、それが止まった時に更に伸ばし続けられるかは、その国にいる一人ひとりの強さだと思います。
その時に、直感的に今のままではダメだと思い、これは自分がやるしかないなと勝手に思いました(笑)
それで、幼少の頃からスポーツを通じて人間性の形成をやるべきだと思って、今のサッカースクールを始めました。

(ヨモケン)
直感的にビビッときたんですね。
実際にスクールを通じて、子供達は何か変わってきたんでしょうか?

(北口さん)
やっぱり人は成長するんだなと感じるシーンがすごい多くなりました。
日本だと、僕らみたいな第三者機関がそこまで入り込まなくても、ある程度子供が育つ環境があると思います。
ただベトナムだと、家庭教育で子供をものすごく甘やかしますし、学校教育では勉強は教えられるけど、人としてどう生きるのかを100%伝えられる先生がなかなかいません。
そういった中で、僕らが入り込んで改善出来る余地は日本に比べて相当大きいと思っています。
すごい傲慢ですけど、自分達がこの国でこの事業をやったことで、ベトナム社会の教育が一歩でも進んだのではないかと錯覚しています(笑)

(ヨモケン)
ベトナム最大級の規模でこれからも続いていくと思いますし、アミティエを卒業した子供達がこれから社会に出るようになって、その子供達が活躍してくれるといいですよね。
そうなると、今後の北口さんへの期待値は大きそうですね。

(北口さん)
今の活動の輪をもっと広げていって、たくさんの子供達の成長に貢献することができれば、ベトナム社会の発展にも貢献できると思います。

(ヨモケン)
鎌倉インテルでも子供達のスクールを始めて、地域に対して良い影響を与えたいと思っています。
そうすることで、周囲に鎌倉インテルのモデルって良いよねと言われ、そのモデルが日本に伝搬していけばいいなと思います。

安住の地から飛び出し、逆境を乗り越えた先に成長がある

(ヨモケン)
北口さんから鎌倉インテルについて、ここが気になるという質問があるみたいなので、ご紹介お願いします!

(北口さん)
鎌倉インテルを運営している中で、やって良かったとか、楽しいなという瞬間はどんな時なのかを聞きたいです!

(ヨモケン)
僕がそもそも鎌倉インテルをやるきっかけになったのが、今まで自分がやってきたことの集大成として表現できるのが鎌倉インテルでした。
ビジョンを作る時も、僕が幼少から育ってきた背景や原体験、今思っていることをぶつけて、こうなったら世界や日本が良くなるということを体現しました。
そこで20年前の大学の同級生とか、ビジネス上で会ったことがある人が集まってきて、鎌倉インテルでもう一回重なる瞬間が楽しかったり嬉しかったりするんですよね。
それが鎌倉インテルの新しいうねりだったり、アクションに繋がったりすることがすごく楽しい瞬間です。
だからこそ、このビジョンに共鳴した人は仲間に加わってもらって、僕と同じような経験をしてもらいたいなと思っています。
特に若い選手だと、まだその経験値が少ないので、きっかけを与えることは出来ると思っています。

(北口さん)
色んな巡り合わせで人が集まっているのは、過去に四方さんが周りの人に与えた影響とか、鎌倉インテルの魅力というものに人が集まってきていると思います。
それでその人達が成長してくれれば嬉しいですよね。

(ヨモケン)
そうですね。同じような体験とか経験値を色んな人に持ってもらいたいと思っています。
北口さんはベトナムで長い間生活と仕事をしていますけど、日本では起こらなかった大変なことはありますか?

(北口さん)
何が大変なことがわからないくらい麻痺しているところはありますね(笑)
あるとすれば、何事も予定調和にいかないところですね。
例えば、仕事で取引先と打ち合わせする時に時間通りに来てくれないとか、役所の手続きをする時に、前に言ってたことと全然違うことを言われるとか、こんなことは日常茶飯事ですね(笑)
その時はイラッとしますけど、それも半分以上楽しんでいますし、予定調和でいかないからこそ自分の頭で考えて、意思決定をする経験は積めたと思います。
よく大変なことありますよね、と言われるんですけど、今振り返ると本当に大変なことは意外とないかもしれないですね。

(ヨモケン)
日本に戻ると、全てが予定調和でそれが快適だなと思う一方、もの足りなさを感じてしまう時はありますよね。
なぜ予定調和ではないことが楽しくなってしまうんですかね?

(北口さん)
目の前で起きたことに対して、どれだけ全力で楽しめるのかが重要だと思います。
あとは、与えられて試練に対して、ゲームのように乗り越えて成長することを楽しめるとか、そういうところになってくると思います。

(ヨモケン)
これは僕の持論なんですけど、人間は安住の地があると怠けてしまって、易きに流れてしまうと思っています。
海外は安定しないので、何とかしがみついて解決するための努力をしたり、考えたりしないと溺れますよね。

(北口さん)
僕も7年前にベトナムに乗り込んだ時の何もない自分と、多少なりとも、いまは最大級のスクールと言ってもらえるようになった今の自分を比べると、戦っているのは7年前の自分ですね。

(ヨモケン)
それこそ、今回のコロナの影響でものすごい荒波がきたと思うんですけど、そんな中でも、ワクワクしてたりするんですか?

(北口さん)
不謹慎な話しかもしれないんですけど、少し心の中でワクワクしている自分もいますね。

(ヨモケン)
その気持ちすごいわかります。

これからの北口さんのアミティエとしての野望や目標は何ですか?

(北口さん)
我々のメソッドを通じて、たくさんの子供達の成長に貢献することですね。
その成長というのは、社会に出て苦しいことがあった時にそれをどう乗り越えていくのか、苦手な事でも積極的にチャレンジするとか、そういうマインドを持った人達を作ることが国の発展に繋がっていくと思います。
今はベトナム内でホーチミンとハノイの2拠点しかスクールがないんですけど、このメソッドを通じてベトナム全土の子供達の成長に貢献したいと思っています。
あとは、教育が必要という点においてタイやマレーシア、ミャンマーとかでも同じ課題感があると思うので、他の国の子供達の成長にも貢献出来たら死にたいです(笑)

(ヨモケン)
そこまでですか(笑)
それを達成できるのは何歳くらいのイメージですか?

(北口さん)
いつまでこれをやっているかわからないですけど、70歳くらいまでのイメージですかね。
今自分が一番やりたいことなので、全力でそれに向かって頑張っていきたいですね。

(ヨモケン)
積極的に新たなことにチャレンジする子供になってほしいという話がありましたが、これから新しいことにチャレンジしたいけど一歩踏み出せないという人達にアドバイスをお願いします。

(北口さん)
自分が人生で成し遂げたいものを見つけて、それに向かって邁進してほしいです。
これを聞くと、やりたいことがないという人が多いと思うんですけど、最初から夢なんてあるわけないと思います。
僕自身20歳くらいの時は、まさか35歳の時に海外にいるなんて思ってもいまでした。
ですけど、目の前の与えられたことをしっかりこなして、出来ることをやっていくと、周りの人から褒められて次第にそれが好きに変わって、更にそれが自分の人生でやるべきことに繋がっていくと思います。
もしそれでもやりたいことが見つからないという人は、目の前のやるべきことを全力で取り組んでその先を見つけてほしいと思います。

(ヨモケン)
ありがとうございます。
どういう形になるか想像できないですけど、いつの日か北口さんとどこかで重なって、同じベクトルに向えたら最高に楽しいだろうなと思っています。
僕らベトナムの子供達を日本に呼ぶという企画を一緒にやっていますけど、これもこれからどういう形で発展していくか非常に楽しみですよね。
今年はコロナでやれませんでしたけど、お互いやれることをやりつつ、来年はバージョンアップしてまた企画をやりたいと思っています!
北口さん今日はありがとうございました!

(北口さん)
ありがとうございました!


ビジョナリーサッカークラブのつくり方 鎌倉インターナショナルFC、創設初年度の軌跡

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