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壱劇屋『Supermarket!!!』の感想

劇団壱劇屋本公演『supermarket!!!』を見てきた。
感想をざっくりと。
 
壱劇屋さんを観劇するのは随分久しぶりだなぁ。
ウィキペディアの公演履歴を眺めたが、なんと最後に見たのは2015年の第26回公演「MASHUP PROJECT VOL.1 GOLD BANG BANG!!」だった。
7年前じゃないか。こりゃあ久しぶりだわ。
 
それにしても、7年前の時点で壱劇屋さんはあの企画をしていたのかと思うと、そのエネルギッシュさに脱帽する。そりゃコンニチの壱劇屋さんがあるわなと。東京と大阪に別れ、新陳代謝し続けているのも、本当にすごいこと。
 
ゴールドバンバンはくそおもんなくて大嫌いだったけど。
ま、正確に言うと、くそおもんないから大嫌い、というわけじゃなくて。
「(うーん。俺はおもんないと思う)」と思った中で、万雷のトリプルコールが鳴り響いて、とっとと劇場を出たいのに一向に出られず、クソほどイライラが募って、劇場を出た瞬間、電柱をぶん殴ったのだ。(のちに、この姿を劇団員の杉原に見られていたことを知る。)
だから正確には、「自分と客席の感性に大いに差があることをまざまざと知り、それに打ちのめされるという体験丸ごと」が、「大嫌い」だった。
すごく悔しかった。当時25歳。…電柱を殴るエネルギーがもはや恋しい。たぶんもう、僕はどれだけ面白い作品、つまらない作品に出会っても、モノに当たるほどのエネルギーを得ることはないだろうな。もう死んだわ。クリエイターとして。弔ってくれ。
 
それに、なんなら今思い出すと、ゴールドバンバン、けっこう面白かった気さえする。
時の流れは恐ろしい。(あるいはもはや自分が恐ろしい。)
卒団された坪坂さんが両手をあげてグネグネしていた動きを繰り返していたのを、なぜか強烈に覚えている。ストーリーは覚えてないが、キャストパレードと坪坂さんのグネグネだけはしっかりと頭に残っている。
あれ見て入った劇団員の方もいらっしゃるんだろうな。
 
あと今書いてて思い出したけど、そもそも最後に見たのはその次の「VOL.2 Windows5000」だったわ。石畑出てたし。これはもう、美術以外何も覚えてない。
だからもう、見てないに等しい。
おもろいとかおもんないの前に、自分の脳が壊れ過ぎてて話になれへんわ。
 
さて。今回の『supermarket!!!』。
 
脚本提供の依頼が来て、面白そうだからやってみようかと。
「story for two」というラジオ番組が終わって、こういうショートドラマを作る機会が減っていたので、その熱量は溜まっていた。
(これマジでもっかい始まらんの?)
(やってくれや、ラヴィーナ&メゾンさんよォ)
 
たぶん僕は2時間の作品を1つ生み出すよりも、10分の作品を12個生み出すほうが得意なタイプだ。こういう機会をいただけて、本当に嬉しかった。大熊さんLOVE。
(でも、これからも大熊さんのことを嫌っていると言い続けます)
(これはもう理由とかはないです。意地です)
 
オファーを受けて、「(俺の短編自体はまあ心配ないとして、作品全体を通して面白いものになるのかしら。こういうのって、結構緻密にやらないと厳しいと思うけどなぁ)」と不安だったりもした。
複数の作家で何かをつくるときは、なによりもディレクションがものを言う。単に9つのタイトルがばらばらと並んでいるだけじゃ、短編集にしかならない。
 
で、見た感想としては、「(あ、ハナから短編集としてのツクリなのね)」って感じだった。複数のタイトルがもっと有機的に絡み合っているようなものを想像したが、さすがにそこまでは難しかったんだろう。
登場人物が同じだとしても、基本的にはカメオ出演的な面白さにとどまっており、「多角的にその人物を掘り下げられる」という気持ちよさは若干低めだった。
 
とはいえ、ディレクションはちゃんとモノを言ってた。大熊さんの仕事がしっかり見えて、いい作品だった。あとは個々の感想を手短に。

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