つきのうた(It's my song, It's your song)/セルフライナーノート

◆はじめに


作詞家の葉月リョウヘイ/Ryohei Hadukiです。
こちらの楽曲のセルフライナーノートを書き綴りたいと思います。

いつもお世話になっているボーカリスト、月乃さんのバースデーライブ
Lunatic SelenadeⅡ- Ruby moon & Sapphire moon -のテーマソングの作詞をさせていただきました。
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月乃さんは僕が所属してる「U-RASIA」というサークルで歌唱してくれたり、その縁もあってか彼女個人のアルバムにも作家として何度か参加させていただきました。
今回、このような貴重な機会をいただけたことをとても光栄に思います。
当日ライブを拝見したんですがホントただただ良かったです、、

なんかもう、とにかくめちゃくちゃ思い入れの強い楽曲になりました。
とはいえこういった趣旨の楽曲は、僕個人がいろいろ言わない方がいいのかなって思ってたんです。
ただまあありがたいことに本人がこう仰るので、、

というわけで書いていきます。
歌詞やフレーズの解説をするつもりはほぼなくて、込めた思いとかそういう話になると思います。
かつ長い(約5,000字)のでご容赦くださいませ。


◆きっかけの話

最初にお伝えしておくと、僕の中で構想とタイトル(副題込み)は2年前に既にあったんです。
そのあたりから話そうかと。

僕が月乃さんのことを知ったのは2019年のことです。
「U-RASIA」ではじめてM3に出た時に、ご挨拶に来てくださったのが最初でした。
今でもそうですが、同人音楽あんまり詳しくないので、最初は「Twitterでよく見るすごい人だ」って印象でした(語彙力2)。

翌年にU-RASIAで歌唱を頼んだりして、そのご縁もあって本人から直接「アルバム用の歌詞を書いて欲しい」という依頼を受けました。
それがこちらのCDに入っている「愛昧」という楽曲です。

このコラボに僕自身とても手応えを感じました。
新しい可能性を広げてくれる…とかもそうなんですが、単純にもっと聞いてみたい。
僕の歌詞を彼女が歌うのをもっとやりたいと思ったんです。

そして1番に感じたのは
「彼女自身のことを書いた歌詞を書いてみたい」
ということでした。
ボーカリストのパーソナルな部分にフォーカスをあてた歌詞は今までほとんど書いてこなかったので。ただただいい曲になる予感しかしなかったんだと思います。

この時にタイトルと内容だけはだいたい思いつきまして。
どうしても伝えたくて本人にめっちゃ長文でそんなことを送り付けたんですが、今見返しても怪文書にしか見えません笑
当時20歳の女の子にこんなことしてるのやばくね?って今でも思います。

そんなこんなで月日が流れ。
この想いを再燃させるような出来事が起こりました。
今年3月のワンマンライブ、DOLです。

ライブを見るの自体は2度目だったんですが、とても感動したのを覚えてます。
本当に素晴らしいライブだった。
一個人の人生を見ている、そんな風にさえ感じました。

この帰り、取りつかれたかのように僕はiPhoneのメモに思いついたフレーズを書き並べてました。

10分以内にこれ全部思いついた。使ってないフレーズ多いけど。

まだ卵の中で生まれるのを待っている言葉たち。
それを解放できたのが今回の件でした。

まとめると、この歌は「葉月リョウヘイがずっと書きたかった歌」なんです。
加えて僕自身が作詞家としてやりたかったことの中に、
「誕生日に向けた曲をやりたい」
「ライブやイベントのテーマソングをやりたい」
というのがあったので、3ついっぺんに叶ったことになります。
そりゃもうガッツポーズですよね笑

月乃さんが覚えてくれてたことが何より嬉しかったし、
「まさに今、あの歌を書いて欲しい時が来たんです」って言われた時は泣きそうになりました。

いつだって全力だけど、この歌詞は今まで1番覚悟がいる作詞になると思いました。

もうこの時点でなげえ…


◆ポリシーの話

さて、そんな経緯で作詞した楽曲なんですが、、
エゴサしてると「リスナーに向けた想いが伝ってくる」といった旨の感想がたくさん出てきて。
こういったテーマの曲ですし、否定はしないんですけど、
「リスナーに向けて」というより「僕が書きたい言葉、聞きたい言葉」って思いで書いてます。
こういうの書かない方がいいんでしょうけどね、、笑

前述のような思い入れももちろん理由ですが、
元より僕の作詞のポリシーとして、「聞き手を意識した歌詞を書かない」というのがあります。
それは決してファンの皆様に対してネガティブな意味を持つものではなく、むしろ逆で。
それが誠意ではないのかなと。

聞き手を意識しすぎると、自分がいなくなる気がしてならないんです。
言葉を選ばずに言うなら、嘘が混じるというか。
そういう意識で書いたって、きっと彼女への愛が深いつきおたの皆様にはすぐ見抜かれてしまうでしょう。
そんなの、むしろ失礼だとすら僕は思います。

でも、自分が書きたいこと聞きたいことなら、
そこに嘘も隠し事もないじゃないですか。

特に今回のようなボーカリスト自身に書き下ろすというのは、その人の人生を書くことだと思っています。
だから生半可な覚悟ではなく、作詞家としての全てを、隠さず躊躇わずにぶつけるくらいでなければならない。

「期待通り」「100点」じゃなく、「期待以上」「150点」でなければ意味がない。
作詞家が歌詞を書くって、そういうことなんですよ。

でも、つきおたのみなさんがそのように感じてくれるのは嬉しいです。
それは、1人のファンである僕が「聞きたい」と感じて書いた歌が、みなさんの想いとシンクロしたってことだと思うので。
「解釈が一致した」という感想をいただきましたが本当にそれですね。


◆想いの話

では歌詞そのものについて。ここまでがなげえ、、

真っ直ぐな歌詞を意識して書きました。
気をてらったり、難しいフレーズ使うのはそんなに好きじゃないんですよね。昔から。
「リョウヘイさんらしい歌詞」って何人かに言われました。

前に送った文章や思いついたフレーズを眺めながら改めて考えてました。
「僕は彼女にどんなことを書きたくて、どんなことを歌ってほしくて、どうあってほしいんだろう?」
と。

まとめるのは難しいんですが、それでも一言で言うなら、
「大好きなことを想うままにやってほしい」ってことでした。
だから歌詞の1番最初はこう始まるんです。

ずっと歌い続けよう 想うままに

つきのうた(It's my song, It's your song)

ファンの皆さんのことを彼女が大事にしているのはとても伝わってきます。
でも、自分が「好き」じゃなきゃ活動は続けられないと思うんです。
活動を通じてみなさんが喜んでくれるのが、“目的”ではなく“結果”であってほしいと思います。
これが今回のタイトルでもあり、彼女の名前にある「月」の話に繋がってきます。

月ってただそこにあるだけで一定の影響を及ぼしますよね。
引力による潮の満ち引きとか。
学生時代授業で聞いた時に「月と潮の満ち引きが関係あるの?」ってずっと思ってました。

それと同じで、一見全然関係ないことでも繋がりがあったりして。
月乃さんを通じてファン同士の方が繋がったって結構多いんじゃないかなって思います。
それは僕らクリエイター側もそうで。
僕自身、例えばわかたろうさん(愛昧/つきのうたの作曲担当)とは月乃さんを通じて共作をするようになりました。

自分が楽しいからやってる事が、別の新たな化学反応を産む。
これって凄いことだと思うし、こういった出会いがかけがえのないものになる。
彼女にはそういう存在になってほしいと思ってます。

だから僕はこの歌詞に「こうなりたい」とか「こうありたい」とか、
そんな感じのフレーズを1つも使ってないんですけれど気づきましたか?

偶然も奇跡も運命も願いも祈りも、この曲には必要ない。
そこにあるのは確信と必然だけでいい。
これを象徴するのがCメロです。

どんな時も暗闇を照らすような
月になるんだ
私がなるんだ

つきのうた(It's my song, It's your song)

ここが好きって言ってくれる人多くて嬉しいです。
でも、たとえばここが「月になりたい」だったら印象違いますよね?
「月になりたい」と「月になるんだ」だったら、そこにはそれこそ天と地ほどの差があるんです。
僕が聞きたいのは後者だった。
それだけのことです。

この曲の裏テーマは僕が彼女に送る手紙&プレゼントです。
だから、とても大袈裟で、滑稽で、傲慢な話だけど

僕の歌詞が、この歌が、
彼女を輝かせる月になってみせるって

そんな思いを込めてるんです。

たとえ月乃さんがどんな闇の中にいようとも
彼女自身が輝くことを諦めてしまいそうでも
この歌が光になって
諦めることを諦めさせてしまうような
そんな歌の歌詞を僕は書きたかったんです。
書かなきゃならないんです。

僕自身は何もできません。
彼女が困っていても何の助けにもならないし、役に立たない。
謙遜ではなく事実として。
だって、僕の人生ではないのですから。

でも、僕の歌詞は、僕が携わった最高の作品をそうだとは言いたくない。
むしろ作詞という分野なら、僕はほかのどんなクリエイターよりも彼女を輝かせることができる。
何の根拠もないけど、それこそ確信しております。

だから、上述した「月になるんだ 私がなるんだ」ってのは
僕自身の決意表明でもあるんです。

僕自身は、別の月乃さんの全部をわかった気なんて全くないです。
というか彼女のことをぶっちゃけ僕はあまり知らないし、そんなに知りたいとも思わない。
書きたいと知りたいは別なので。

でも、たくさんもらった分、今度は僕が“何か”したくて。
そういうことを書きたかった。
それが最後のフレーズです。

数えきれないたくさんの「ありがとう」
この歌で 数えきれないほど伝えるから

つきのうた(It's my song, It's your song)

ここまで書いた後に見るとすごい直球ですよね笑
だから最後にもってきたんだと思います。

楽曲っていうのはクリエイターの手を離れていくものです。
だから、皆様がどのように感じても、それ1つ1つが正解です。
ここまで曝け出したら信用できないでしょうけど…笑

そういう意味でこの曲は「月の歌」で、かつ「月乃の歌」で。
そして「僕の歌」で、「君の歌」なんです。
ライブでこの曲を聴いて特にそう感じて。
歌い終わった後に、思わずわかたろうさんと拳を突き合わせました笑

1つ言えるのは、言いたいのは。
この歌詞は僕にしか書けなくて、彼女にしか歌えない。
そんな歌になったかなって強く思います。

◆終わりに

長くね?????
最後まで読んでくれた方いるんですかねって疑問に思うレベル。
(いたらありがとうございます)

多分今までで1番自分語りしました。
この歌詞自体、曝け出しすぎて嫌われたってかまわないって思いで書いたので(実際に嫌われたら泣くけど)。

最後に。
僕自身、作詞家としては非常にエゴが強いタイプだと分析しております。
というのも、他人への理解とか配慮とか、感情を汲み取ることが昔から本当に苦手で。
これはリアルの僕を知る自他問わずの評価です。

誰かのことなんて僕はわからないし、知らないし、わかる気も知る気もない。
だから思ったように、感じたままにやるしかないんですよね。
単純にそれが1番楽しいし。

それなのに、歌詞を提供していると
自分の思ってたことを全部言ってくれた」とか
心の中をのぞかれているみたいだった」とかたまに言われます。それこそ月乃さんにも言われました。
僕的には狙ったわけでもないので、上述した「解釈の一致」ってのが近いんです。
嬉しいけど、とても不思議に思いますね。

ただ、そういう感想をいただけるのは
僕が僕のスタンスを曲げずにやってるからなのかなって。
それ自体はただの“結果”なんだってことを忘れたら、僕は堕ちるだけですから笑
他人事くらいでちょうどいいんです。

長くなりましたがこれで終わります。
この歌に携わった、聞いてくれた全ての皆様に
改めて御礼申し上げます。
ありがとうございました。


大好きです。


葉月リョウヘイ/Ryohei Haduki
from U-RASIA