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食物アレルギー:どうやって起こる?皮ふから成立?予防は?

どのようにして食物アレルギーは「発症・成立」するのか?どうして食物アレルギーは「お子さんに多い」のか?食物アレルギーは「どうやって予防」すれば良いのか?そのような食物アレルギーの「基礎知識」について、書いてみます。


食物アレルギーの症状はどうやって起こる?

食物アレルギーの症状は、腸より吸収された「タンパク質」により起こります。通常、タンパク質は、消化液など含めた消化管の機能により、小さく、「アミノ酸に分解」されます。また、腸の表面のバリア機能により、タンパク質が大きいままでは腸から体内に吸収されないように、ブロックされております。つまり、出来るだけタンパク質のままで体内へは吸収されないように機能しております。

また、そのタンパク質がどのようにアレルギー反応を起こすかですが、肥満細胞という細胞の表面ににくっ付いた、隣り合わせの2個のIgE(アレルギー反応を起こす抗体)の所に、「橋渡しにタンパク質が結合」することでアレルギー反応が始まります。アミノ酸にまで分解することでサイズが小さくなり、IgEとIgEの間に結合しなくなってアレルギー反応を起こさなくなります。

つまり、お子さんに食物アレルギーが多いのは、「タンパク質の消化機能が低く、腸のバリア機能も低い」ために、食物が大きいタンパク質のままで体内に吸収されてしまい、アレルギー反応を起こしやすくなっているせいと考えられております

ただ、実は、成人でも、数%のタンパク質は大きいタンパク質のまま腸から吸収されております。それなのに、異物である食物タンパク質が体内に入っても攻撃されないのは、(アレルギー反応とは違う)生体防御の機能として、「その食物は敵でない」と判別する、別の免疫システムがあるためです(経口免疫寛容)。小さいお子さんは、「その免疫能力も未熟」であり、アレルギー反応を起こしやすくなっております。「食べると覚える、食べると慣れる」というのは、ある意味事実だと考えられております。

逆に言うと、子供の食物アレルギーが成長により治るのは、このような「消化機能の発達」、「免疫機能の発達(敵じゃないと覚える)」、などによるところが大きい、ということになります。消化機能も免疫機能も3-4歳までに大きく成長していきます。全く食べていなくても治るお子さんは、より「消化機能の発達により治る」という要素が強いと考えられます。

また、一般的には、重症なアレルギーのお子さんほど治りにくくなっておりますので、なんとか食物アレルギーを予防する、食物アレルギーを重症化させないことが重要です。

アレルギーの成立のメカニズムは?

結論から言うと、食物アレルギーにしろ、花粉症や動物アレルギーにしろ、アレルゲンは、主に「荒れた皮ふや湿疹、粘膜などから体内に入り込み、アレルギー準備状態が成立(感作)」するメカニズムがメインです。

通常、皮ふから侵入してくる物体というものは、通常、細菌やウイルスなどの「敵」ですので、抗体(武器)を作って攻撃することは生物にとって有益な免疫反応です。特に湿疹の部分では「免疫細胞が過敏な状態」になっておりますので、いわば混乱状態で、入り込んできた物体を安易に「敵」だと勘違いして、抗体を作ってしまいがちということになります。実は成人でも、手の湿疹がある状態で、職業柄などで、頻繁に特定の食材に触れることで、もともと食べれていたのに、後に食物アレルギーを発症してしまうことはあります。以前、「茶のしずく石鹸」で多くの小麦アレルギーの患者さんが出てしまったのも、同様に「皮ふから感作」してしまったためです。

*細菌やウイルスを倒す抗体とアレルギーを起こす抗体の種類は異なります。わかりやすくするための表現となります。

食物アレルギーを予防するには?


以上からもわかるように、アレルギーの予防の一つとして、皮ふからの「敵」の侵入を減らすことが重要で、そのためには、「皮ふの状態をより良くする(入りにくくする)」、「周囲のアレルゲンの量を減らす(入る量を減らす)」ことが重要です。当然、食物アレルギーの予防や治療も同様で、皮ふをより良い状態に保つことが重要だと考えられております。

さらに、食物アレルギーの予防や治療には、もう一つ、「症状が出ない範囲で食べ進める」ことも重要となります。これは主に先ほどの「敵じゃないと覚える」免疫を成長させるためです。また、「食物アレルギーを重症化させないためにも、皮ふの状態を良くしておく、安全に食べられる範囲で食べて覚えていくことが重要」です。1回食べたらOKではなくて、少しずつ食べ進めて「慣らす」「覚える」必要があります。次の欄でもう少し説明します。

*現在のところ、確実な予防の方法は確立されておりません。また、事前に本当に予防出来たかどうかもしっかりと証明することはなかなか難しいかとも思われます。しかし、スキンケアやアレルゲン対策がお子さんにとってプラスになる可能性は充分にあってもマイナスになることはまずありませんので、ぜひがんばって頂けると良いかと思います。

食物アレルギーの食事管理、食べても良い?

食物アレルギーの症状は「タンパク質にて起こす」と書きましたが、もう少し突っ込むと、そのお子さんのアレルギーの出る量、許容量(いき値)を超えるとアレルギー症状が出ます。少ない量は大丈夫でも、多くなると症状が出ることがあり得ます。あくまで、「食べた量に関係して症状が起こる、食べた量が多いと症状が強くなる」傾向です。

現在の食物アレルギーの食事管理の基本は、「必要最小限の除去」、つまり、「症状が出る食物」、「症状が出る量」、だけを除去するということとなります。食物アレルギーのお子さんでも、「症状が出ない量は食べて良いですし、むしろその量まではどんどん食べていくと良い」でしょう。「心配だから除去」を出来るだけ無くした方が良いということになります。逆に、食べて症状が出てしまう量は、「きちんと除去すべき」です。

*食べ始めの進め方、アレルギーに配慮した離乳食の進め方に関しては、こちらを参考にしてください↓


また、「口の周りに付いて赤くなるだけ」であれば、大丈夫なこともあります(下記記事参照)


また、食物アレルギーで頻度が高いのは、「鶏卵」、「牛乳」、「小麦」です。

参考に記事を付けておきます↓


⚠️アレルギーがご心配な場合、安全に食べられる量が不明な場合は、ぜひ専門医で相談しましょう

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