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木戸雄一
2022年5月10日 15:15
1890年代の地方における文芸と言論の混淆 少しさかのぼって1890年代の文芸を扱う地方雑誌を見てみよう。小木曽旭晃『地方文芸史』(教育新聞発行所、1910)は、1900年代の地方で文学活動をしていた当事者による同時代史としてほぼ唯一のものである。旭晃は序で日清戦後を「明治文学の発展第二期」ととらえて「地方文壇」が活動を始めた時期とし、「日清戦役以後現在に至る十五六年間は将に地方文壇の全盛時代」