『結婚前夜』　91/100

結婚式の前の日の夜
めっちゃ緊張しつつ、
母のいるリビングへ行く

わたしが中学生の時に、父が病気で亡くなってから
女手ひとつで育ててくれた母…
本当は繊細で弱い人なのに
そんな部分は絶対見せず
いつも優しく笑わせてくれた

ドキドキしながら、

『母さん…あのさ』

と、話しかけた途端、

『あー、駄目駄目、それ、言わなくていいから！』

と、激しく止められた。

頑張って言わなきゃ！と思って
意気込んで行ったところ
出鼻をくじかれた感じになってしまった。

結局、
その先は言えず。

でも、
そんな母さんのキモチが
逆に、切なかった

きっと照れくさいから
止めただけなんだろうけど、

もしかしたら、
わたしの【そのセリフ】を聞いたら
色んな想いが溢れて
大変なことになるかもしれない…

そうなりたくないから
言わせてくれなかったんだろう

きっと、そうだ
そう思うことにした

ありがとう、大好きだよ母さん

わたし、絶対、幸せになるからね

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