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第77回 マンション防災を考えよう

マンション防災 防災と評価

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。
このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという集合住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。

今回はマンション防災と評価についてです。
昨年(2023年)の4月から、マンションの評価制度がスタートしています。それも2つ同時に。
一つはマンション管理業協会の「マンション管理適正評価制度」です。これは、マンションの管理体制、建築設備の状況、管理組合収支、耐震診断関係、生活関連状況を点数で評価し、星0~5の6段階で評価するものです。この評価が高いと、管理組合で借りるローンの金利に違いが出るなどのメリットを増やしている途中です。また中古市場での価格評価に影響を与えるという面も期待されています。
もう一つは、国土交通省の「マンション管理計画認定制度」です。これは、マンション管理適正化法に基づき、管理組合の運営、管理規約、管理組合の経理、長期修繕計画の作成・見直し等、その他の項目で評価し、認定もしくは非認定のどちらかになります。
そして、この2つの評価制度は、両方の申請をする場合に手続きなどを簡素化できるなどの仕組みもあり、管理組合サイドの利便性も加味されています。

さて、ではこの評価制度、認定制度がマンション防災とどう関わってくるのでしょうか。
実は、どちらも「防災」というものが評価、認定を勝ち取るにあたり、ポイントになってきているのです。
管理適正評価制度の場合、評価項目カテゴリーに「生活関連」というものがありますが、その中身に防災にかかわるものが入っています。そしてその細かい評価項目は、マンションに義務付けられている年に1回の消防訓練(避難、通報、消化訓練)では満点がとれないようになっています。
ちなみに、他の評価項目の修繕積立金のレベルや管理状況などで点が取れないマンション(管理組合)では、この生活関連のところで少しでも点を取りたいと考えるところが多くあるようです。実は、そのことがあるために私が販売にかかわっている災害時の情報共有SNS『ゆいぽた』はこの部分をカバーできるので、問い合わせが増えています。

もう一つの管理計画認定制度では、この国土交通省が定めた評価項目に対し、各自治体が自らの自治体に所在するマンションの評価に独自の項目を上乗せできる仕組みになっており、その上乗せ項目に「防災活動の有無」などを設定している自治体がそこそこ多くあります。
これは、特に近年の災害の多発に端を発し、自助(自治体からすると各家庭レベルだけでなくマンション管理組合も自助)の活動を重要視しているという事情があります。それだけ公助のレベルが期待できないということの裏返しでもあります。

以上のように、マンションを評価する際にその防災活動の有無や活動の内容までが評価される状況になってきているので、今後はさらにマンションでの防災活動がトレンドとしてクローズアップされてくると考えています。

このようなことも考慮しながら、ましてや自分のマンションがどちらかの評価制度に申請をしようとしている場合には、マンションの防災活動の活動を進める、または始めましょう。

ということで、今回はここまでです。次回は、その他の防災活動評価制度について考えてみたいと思います。またよろしくお願いいたします。

マンション防災研究所 所長
防災士 福祉住環境コーディネーター
城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングなどのご依頼をお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。

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