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第94回 マンション防災を考えよう

防災組織創りとリーダー

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。
このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという集合住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。

前回、マンション内のユルいコミュニティをベースとして、管理組合の中に防災委員会を作る、もしくは自治会等での防災会を作ったうえで管理組合との予算的な連携をすることが防災組織創りの基本的な形だと考えました。またもちろんその他の自主防災組織でも結構ですが、管理くまいとの連携を図り、予算を使える環境を整えるということも同時に考えました。

今回は、その組織創りの方法と、リーダーについて考えてみます。
まず、防災活動を始める、進めるにあたり、熱心に活動をしているマンションでは共通の特徴があります。それは、防災に関して危機感を持ったリーダーがいるということです。
もちろん組織ができた後の活動はメンバーみんなで行っていきますし、意識、方向性を共有した者同士での合議での決定を前提として組織として活動を推進していきますが、初期段階、組織創りの段階では防災に関する危機感と自マンションでの対策の必要性を強く認識して「何かしなくては!」と強い意志を持ったリーダーが存在し、組織を創ったり活動を先導したりと防災活動が軌道に乗るまで主導されることが非常に多くあります。

そのリーダーは普段はお仕事をもった現役世代の場合もありますし、活動や勉強にも時間がとりやすくなったリタイヤ(定年退職)された方の世代の場合もあります。過去に災害被災者の経験があったり、なにかのきっかけでマンションの防災に不安を覚えた方であったり、理由はさまざまです。それでも共通しているのは、自分の命、家族、財産、生活を守るために何かをしなければという危機感を持った人であるということです。そして、その危機感からマンション防災を勉強する、考えるということをしたときに、どうしても組織を創ってマンション全体として活動しなければマンションの防災は成り立たないということに気づいた人たちなのです。

そのような人たちは、まず仲間を集めるところから始めます。たまたま管理組合理事の持ち回り担当が来た時の同じ役員の方たちであったり、趣味の仲間であったり、なかには管理組合の組織で、防災ではなく他の名目の委員会で活動をしていたという場合もあります。
同じようにマンション防災の活動が必要だということを説明、理解してもらい、一緒に理事会を通して管理組合にアプローチをしたり、自主防災会として活動を始め、管理組合役員を巻き込み、のちに管理組合との連携を認めてもらったり、活動の始め方もさまざまです。

こうして始めた活動が管理組合の承認を得て正式に活動を始めると、次はさらに拡大するための仲間集めです。正式な活動という背景を基に居住者の皆さんに啓発活動を行い、一人でも仲間を増やすことを考えます。そして次にその活動が継続できるような仕組みを創りことが必要です。
強力な意思を持ったリーダーが組織創りまでを先導して、そのまま永く主導していく場合もありますが、マンションという集合住宅では、できるだけ合意形成を図り住民総意の活動としていかなければ、組織が長続きしません。またいろいろな方が防災に関わることで、マンション居住者全体の防災意識が高まるという効果もあります。そのため、リーダーは残ってもその他の方はできるだけ広くメンバーを集め、交代で活動を行い、長年続く組織にするというのが理想です。

マンションの防災というのは組織の組成や管理組合との関係に関わる規約や、マンション内設備、地域内での防災活動単位のことなど、少し専門知識が必要な部分もありますので、リーダーは知恵袋としての役割を担ってもいいかもしれません。また行政との関係づくりや、専門家とのパイプなど、永く担当者が変わらない方がいい場合もありますので、そのあたりの担当も組織内で話し合って適材適所を考えてみてください。

防災活動というのは、ある程度軌道に乗ってくると、やることはたくさんありますし、続けることが目的になっても良いという部分もあります。皆さんのマンションや居住者の環境により、いろいろ考えて初めていただければと思います。

今日はここまでです。次回は防災組織で行うこと、防災組織の役割について振り返りを含めて考えてみます。

マンション防災研究所 所長
防災士 福祉住環境コーディネーター
城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングなどのご依頼をお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。

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