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第53回 マンション防災を考えよう

管理規約と防災

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。

このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという集合住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。

前回は「第三者管理者方式(管理者管理方式)」の防災上のリスクと解決策について考えました。
今回は、防災に関わる管理規約との関係です。

分譲マンションでは、区分所有者が土地、建物などマンション全体を共有しており、管理組合がその管理を行うため、管理組合員(区分所有者)の中から理事会を設置して管理者を選任し、運営管理を行います。
その管理運営は区分所有法などいくつかの法に則りマンションで管理規約、使用細則を設けてルールとして使用します。

管理規約は国土交通省より「マンション標準管理規約」というモデルが示されていて、多くのマンションがそれを基本としてマンションそれぞれの事情を加味して決定します。その管理規約の変更は管理組合総会での特別決議(区分所有者数および議決権総数の各4分の3による多数決)が必要なほど重要なもので、マンションの憲法とも言われます。

ところが、その管理規約には災害時の活動、事前の準備活動などについての規定がありません。緊急時、必要がある場合に理事長の専有部への立ち入りや管理組合費の使用など、いくつかの緊急事態に対応する文言はありますが、自然災害などについての具体的な記述はありません。

そこで、管理組合全体で防災活動を行う場合は、そのあたりの」項目を設定しておくことが必要になります。なぜなら、マンション管理規約で想定していない状態になってしまった際に、管理者、理事もイチ居住者であり、防災に関する専門知識を持っているわけではなく、責任を取る事ができないという状態なので、活動の内容をある程度規定し、責任を取れないことを事前に管理組合全体で確認しておくことが必要だからです。

また、防災活動というのは管理組合の中で一部の人が準備、実行をすればよいのではなく、賃借人を含めたすべての居住者に関わる事なので、意識をきちんと持ってもらい、ある程度の強制力を持ってマンションの公式な活動とすることが大変重要です。

このようなことは、管理規約でなく使用細則で規定しても良い場合も多数あります。例えば、毎年の管理費会計の予算組に組み込むことや、委員会を設置して持ち回りでの防災担当を設けることなどは管理規約、防災活動への参加、資機材の使用、その他の活動は使用細則などとしてよろしいかと思います。

マンション管理士等へ相談し、実行する予定の活動と照らし合わせて方針を決めていくことをお奨めします。

本日はここまでです。次回以降はこれまで考えた内容の中から、少し補足や豆知識なども加えて考える回にしていこうと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました。また次回以降もご覧いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

マンション防災研究所 所長 城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングのご依頼をおまちしております。よろしくお願い申し上げます。

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