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第50回 マンション防災を考えよう

マンション防災と第三者管理2

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。

このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという共同住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。

おかげさまで、「マンション防災を考えよう」は第50回を迎えました。
これもひとえに皆様のおかげと、改めて感謝申し上げますとともに、これからも何卒よろしくお願い申し上げます。

さて、前回はちょうど11月5日ということで、津波防災の日を話題として取り上げましたが、今日は通常に戻り、「第三者管理方式(管理者管理方式)」についての2回目です。前回は第三者管理とはどういうものか、ということを考えました。今回からはその方式のメリット、デメリットや防災について考えてみましょう。

第三者管理方式は管理者管理方式とも言い、委託された管理者が区分所有者からの希望やその他の意見を聞き、「いい感じに」管理をしていくという形式です。理事会も無くしてしまう場合が多いようですが、管理組合は存在しますし、年1回の定期総会も実施されます。そして区分所有者は普段はほとんど管理組合活動に時間を取られないようになります。

さて、この方式のメリットデメリットは何でしょうか。

■メリット
第三者管理方式では、外部の委託された管理者がマンションの運営管理を行うことになりますが、その受託者は、現在の主流はマンション管理士やマンション管理会社です。
マンション管理士は国家資格を持った専門家ですし、マンション管理会社はマンションの管理運営全般を受託する専門会社ですから、やはりプロです。
※管理会社の場合、法人としては受けられないので、その社員が受託する形式をとるようです。ちなみに、やはりマンション管理士やマンション管理主任者の資格を持った社員が担当するようで、俗に言うフロント担当(各マンションの担当者)は別に存在する形のようです。

このような場合、大きなメリットは「マンション管理のプロフェッショナル」が管理をするようになる。ということです。専門知識を持った、高品質な管理の実施が期待できます。(実際にはレベル胃の違いはありますが一般的には素人が行うより高レベルになるはずです。)
もちろん委託料がかかりますので少し経費は高くなるようですが、マンション管理会社の場合はフロント担当の理事会対応などが必要なくなりますので、人件費分だけ管理委託費が下がる傾向にあり、その分との相殺されるケースもあるようです。
そして何より、区分所有者が日々、年々、の理事会、理事長を務めることが無くなるため、負担が減るということです。

■デメリット
これは、各区分所有者がどう考えるか、その受け取り方にもよるところはありますが、以下のようなものが懸念されています。
第一に、委託される管理者がマンション管理会社であった場合、管理者はその社員で、管理全般の実行を委託されているのも同じ管理会社になるので、利益相反の可能性が指摘されています。
どういうことかと言うと、管理の実行者がそれにかかる費用を請求する相手の決定者が、同じ会社になるということで、互いに示し合わせることで管理費を自由に使い、勝手な操作をしてしまうのでは、という懸念です。
これについては国土交通省、マンション管理業協会もまだ正式な方針、見解などが示されておらず、今後の議論が待たれるところです。
一部では「信義誠実の義務」が国土交通省のマンション標準管理委託契約書にも表記されており、それに違反した場合は契約違反になるという解釈もあるようですが、まだいろいろ確定していません。
第三者管理方式を取り入れようとしている管理会社ではその懸念を払拭するために、会計監査法人をセットする場合や、外部のマンション管理士を管理者として立てる、別法人を作って対応する、などの工夫をしようとしているようです。

実はもう一つ、大きなデメリットの懸念があるのですが、今回も長くなりましたので次回にしたいと思います。
ということで、次回以降、この第三者管理方式のデメリットのもう一つと、その中で防災の視点で考えたときの問題点と解決策を考えていこうと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました。また次回以降もご覧いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

マンション防災研究所 所長 城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングのご依頼をおまちしております。よろしくお願い申し上げます。

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