第40回 マンション防災を考えよう
災害時の情報共有システム11
皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。
このマンション防災を考えようのシリーズも今回で40回を迎えました。ここまでお読みいただいた方に改めて感謝申し上げますとともに、今後もよろしくお願い申し上げます。
さて、その中で引き続き災害時の情報共有システムの利用について考えていきますが、今回は災害時の情報共有システムのいろいろな機能の中で「住戸間での連絡」をどう使っていくのかです。
これは、以前にも書いたことですが、特に分譲マンションという集合住宅では、同じ資産を共有している区分所有者が大多数を占める居住者同士でも、隣近所との交流はあまりない場合が多いので、災害時に住戸間で連絡を取りたいことができても連絡先を知らず連絡、お願いなどができないという状態に陥ります。
マンションにより、非常にコミュニティが密で互いに連絡先などを知っているという場合もありますが、そういうマンションの場合はそもそも災害時の情報共有システムなどを導入する必要がありません。しかしながらそのようなケースは総戸数が多いマンションではあまりなく、一般的な50戸程度のマンションでもコミュニティの形成は難しいものです。
だからこそいざという時に住戸間での連絡機能が必要になるのです。
ちなみに復習をかねて、どのような場合に住戸間の連絡機能が必要になるのかを考えてみましょう。
例の一つとして、「家族を自宅に残して外出している際に災害が発生し、自宅の家族の様子を誰かに(マンション内の知人や隣近所の人)に確認してほしい、救助をはじめとして援助をしてほしい場合」です。家族の中ではLINEで安否確認などができる世の中ですが、そのLINEでけがをして助けてと言われても、すぐには帰宅できないので、そのような際に必要になるのです。
また、要配慮者や小さなお子さんなどがいらっしゃる場合など、災害時に一時的に預かっている場合なども、相互に連絡しあう必要が出てきます。
その他、旅行などでその住戸の方が全員マンションに居ない、帰宅するまでに相当の時間がかかってしまう場合など、管理者や防災委員会などのマンション側から個別に連絡を取りたい場合なども考えられます。
このような場合を想定して、災害対策本部活動、また被災生活上で利用することを前提とした訓練をするなど、準備をしておくことで災害時の連絡機能の一つとして役立ちます。
一つだけ注意をする点があります。むやみにこの機能を利用すると、住戸によっては不必要な連絡が頻繁に入ってくることで逆に気分を害する場合もありますので、この機能を使うべきか、掲示板のようにマンション全体に知らせるべき情報かを分けて利用することが必要なので、管理組合で事前に協議することも検討してください。
さて今日はここまでです。
次回はこの災害時の情報共有システムを組み込んだ「防災訓練」について考えていきます。
今回もお読みいただきありがとうございました。また次回以降もご覧いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
マンション防災研究所 所長 城戸 学
マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングのご依頼をおまちしております。よろしくお願い申し上げます。
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