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第67回 マンション防災を考えよう

マンション災害対策本部組織2

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。
このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという集合住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。

前回、災害対策本部(以降、災対本部)の構成について、本部長班、情報班、救護班、物資班の構成を考えました。そしてその各班には班長を任命し、災対本部に班長がいて、各所から入ってくる情報、状況を本部長班の副本部長を通して本部長に上げ判断を仰ぐ、または各班長が直接判断を下し、災対本部を運営していく位という形をとります。

では、その状況や情報を上げてくるのは誰からなのでしょうか。
ここでは高層マンション(概ね10階建て以上、20階を超えると超高層またはタワーマンションと呼ぶ)を例にとり、考えてみます。
エレベータの設置が必要な31mを超える建物にはエレベータが必要ですが、これをマンションの階数にすると、7階~10階に相当します。今のマンションはほとんどがこれに当てはまるので、10階を想定した場合で考えましょう。

10階建てのマンションで地震が発生した場合、エレベータが停止して10階にお住まいの人は買い物などの際や1階の掲示板に情報を取りに行った際にも、いちいち10階から降りてまた10階へ帰るのに階段での移動は非常に困難を伴います。ましては高齢者の場合は、ほぼ難しいでしょう。

同様に、災害時の安否確認やその他の活動を行う場合に、安否確認を行う担当者が1階から10階をすべて確認することは非常に大変ですし、複数のグループに分けて手分けして行うにしても、どこかのグループは10階まで上がって降りてくることになります。これでは負担が大きくなると同時に、移動距離や活動時間も長くなり2次災害の危険性も増してしまいます。
このようなことを避けるために、マンションでは3~5階ごとを「ブロック」として設定し、その中で安否確認などの活動を行い、その中で「ブロック長」を任命、おそらくは1階の集会室に設営される災対本部に報告を行うのです。こうすることで負担を分散し、中央へ情報を集める体制を作ります。

さらに、各ブロックの中に各階ごとに「フロア長」を任命、各階の中での活動や居住者の取りまとめを行うことで、段階的に情報を下ろしたり、逆に要望や状況を上げたりすることも円滑に、負担がかからず行うことができます。

もちろん災対本部と同様に、以前も書いたように階ごと、ブロックごとにFMB(First Mission Box)を作成、発災時にマンション内、各フロアにいた人だけで活動が開始できるようにしておきます。

事前に担当者を決めた組織表を作成して役割の負担、プレッシャーを普段から感じ、さらに発災時に不在であることで役割を果たせないという防災組織の欠点をカバーすると同時に、この体制をマンション内でうまくアピールすることで防災意識の維持向上、誰かがやってくれるというお任せではない、自分事としてとらえていただくことにもつながります。
組織創りを考える際には、ぜひ参考にしていただきたいと思います。

今回はここまでです。
また次回以降も引き続きご覧いただければ幸いです。

マンション防災研究所 所長
防災士 福祉住環境コーディネーター
城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングなどのご依頼をお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。

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