3年前の31句〜スピカ連載のまとめ

3年前、俳句のウェブマガジンスピカさんで7月の1ヶ月間、連載をしていました。

映画と俳句の連載で、俳句は後から見返しても恥ずかしくないので、ここにまとめてみます。

映画という元ネタがあってオリジナルの俳句とは言い切れないので、今後別の場所で発表できない俳句たちです。懐かしくて、すきな句もありました。

順番は掲載順です。



『レンタネコ』

オレンジのゼリーすくえば透けてゆく

『となりのトトロ』

さっきトトロみたよ緑のさす線路

『リリイ・シュシュのすべて』

凧あげの空になりたい女の子

『森崎書店の日々』

古書店の値段は手書きマフラー巻く

『ライチ☆光クラブ』

光などなくてライチの実の濡れて

『セトウツミ』

オカンとか猫とか濁る夏の川

『ソラニン』

じゃが芋を積んでくずれて同棲は

『大人ドロップ』

シャツで拭くトマトや無人販売所

『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』

懐中時計ループする日の枯れぬ花

『夜は短し歩けよ乙女』

りんご飴片手に巡る学園祭

『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』

空想はうさぎを顔に乗せてから

『海月姫』

海月と暮らすわたしたちのお城だった

『包帯クラブ』

ぶらんこに包帯きみの痛みに巻く

『ちはやふる』

閉ざされた襖に歌留多刺さりけり

『舟を編む』

下宿屋の一階に猫春の波

『ピースオブケイク』

ひまわりや髭こそばゆきキスをして

『奇跡の人』

ばらの花みずをしらない海をしりたい

『ミュウツーの逆襲』

満月はもうすぐミュウの睫毛ひかる

『ドライブイン蒲生』

着ぶくれて雑誌をめくる足の指

『ハチミツとクローバー』

四つ葉のクローバーきれいじゃなくてもいいの

『くちびるに歌を』

セーラーのリボンを海へ舟へ振る

『ジョゼと虎と魚たち』

熱帯魚、さかな、天井めまいのよう

『フィッシュストーリー』

夏の夜のB面の曲に救われる

『茶の味』

風呂場からじいちゃんの歌月が白い

『ジ、エクストリーム、スキヤキ』

だらっとしゃべって仏具屋は二階建て

『色即ぜねれいしょん』

ギターよりあの夏の砂神の旅

『ムーミン谷の彗星』

彗星のうわさココアは鍋のなか

『舞妓はレディ』

さくらさくら都の歌に迎えられ

『箱入り息子の恋』

長針に触れてつめたしあなたを待つ

『横道世之介』

分けあった西瓜を落とし笑いあう

『恋は五・七・五!』

あおむけにレモンを放つあらぬほうへ



映画館で近日公開の映画を観れるのを待っています。




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