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物語の舞台は「神社」

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マガジン:絵本「メルルとようかいのおしゃれやさん」制作秘話
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ようやく、絵本の発売日が決まりそうです。おそらく7月下旬になる模様。
出版が決まってから、発売日までだいぶ日にちがあいているように思いますが、出版社立ち上げからのクローズドコンペにて昨年10月に出版が決まったのは8作品。
私はその中に入っており、初期メンバーってやつなんですかね。
現在3作品が刊行されており、4月末までにあと2作品が出るそうです。
そして、私の絵本を含む残りの3作品は、年内に全て刊行される予定。
(現在刊行されている絵本はこちら

7月下旬の発売までまだ時間があるので、のんびりと今回の作品について書いて行こうと思います。

絵本「メルルとようかいのおしゃれやさん」のあらすじ
メルルはひとり遊びが好きな女の子。今日も裏山にある神社の境内で、お人形相手におしゃれやさんごっこをしていると、カッパがあらわれ、「ぼくもおしゃれをしてみたい!」というではありませんか。メルルの機転でおしゃれになったカッパは、よろこんで帰っていきました。
バカンスにいきたい天狗に、親子コーデしたい絡新婦……気がつくと、妖怪たちの大行列ができているではありませんか! とたんに大いそがしになったメルルは、一体どうなってしまうのでしょうか?

絵本の舞台となる「裏山の神社」には、モデルがあります。
岩手県遠野市にある伊豆神社という、遠野物語第二話に出てくる実在の場所です。

(2016年にお参りに行った時の写真)

大昔に女神あり、三人の娘を伴ひて此高原に来り、今の来内村の伊豆権現の社にある処に宿りし夜、今夜よき夢を見たらん娘によき山を与ふべしと母の神の語りて寝たりしに、夜深く天より霊華降りて姉の姫の胸の上に止まりしを、末の姫目覚めて窃かに之を取り、我胸の上に載せたりしかば、終に最も美しき早池峯の山を得、姉たちは六角牛と石神とを得たり。若き三人の女神各三の山に住し今も之を領したまふ故に、遠野の女どもは其妬を畏れて今も此山には遊ばずと云へり。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001566/files/52504_49667.html
(遠野物語 二より引用。リンクは青空文庫)

簡単に内容を説明すると、こうです。

大昔に女神がいた。三人の娘と一緒に今の遠野市来内にある伊豆権現の社がある場所に泊まり、「今夜良い夢を見た娘に、一番美しい山を与えましょう」と母神が言った。
夜中に天より霊華が降りて長女の胸の上に止まったが、末娘が気付いてひそかにそれを自分の胸の上に載せた。
すると、末娘は最も美しい早池峰山を得て、姉たちは六角牛山と石神山をそれぞれ得た。
若い三人の女神はそれぞれの山に住み、今も治めているがゆえに、遠野の女たちは女神の嫉妬を畏れて、今もこれらの山には入らないという。

遠野物語はたくさんの人が研究したり、現代語訳をしたり、漫画にしたり、絵本にしたりしていますが、この、いわば「遠野の神の始まり」を重視している作品はほとんどないように思います。
なので、私の創作絵本に自分なりに解釈を加えて引用したいなと思ったのです。

この伊豆神社のご祭神は瀬織津姫命(せおりつひめのみこと)という神様なのですが、大祓の祝詞に名前が出てくるだけで、詳細はわからない神様のようです。ただ、遠野の神の始まりの場所のご祭神となっているということは、祖先が大切にしていた神様なのだろうな、ということがわかります。
どういう理由で大切にされていたのか? 瀬織津姫命ってどういう神様なのか???
古事記にでも登場していれば、イサナギやイザナミといった有名な神様のようにストーリーを楽しめるというものですが、全くと言っていいほどわかりません。(遠野市の郷土資料を全て読み尽くせば書いてあるのだろうか……)

わからないのをいいことに(笑)、そこを舞台にメルルと妖怪たちの物語をつくりました。
絵本の中には伊豆神社や瀬瀬織津姫命の名称は出てこないのですが、絵本とnoteを見た人たちが実際にこの場所を訪れてくれたら嬉しいな〜と思ったりしています。

(狛犬がかわいい)

ちなみに。「遠野の女たちは女神の嫉妬を畏れて、今もこれらの山には入らないという。」の一文についてなのですが、
私は小学生の時に六角牛山に、中学生の時に早池峰山に登ったことがあります。特になんのバチも当たりませんでした(笑)
早池峰山の方が標高が高く、岩場が多かったりして険しいのですが、どちらも登りやすい山ではあります。
うちの子供達が成長したら、子供達も一緒にまた登りたいな〜。

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