うたとえ「惜春譜」及川恒平

うたとえ2023「惜春譜」及川恒平

曲・歌・作画/及川恒平 ピアノ/ウォン ウィンツァン
写真/森美千代 吉田一穂「海の聖母」より

==================================

ウォン ウィンツァン氏との馴れ初めは互いがまだ二十代のことである。
音楽業界の枠組みははっきりとしていて、
個人が好き勝手にやっていくスペースはあまりなかった。
私たち二人は悶々と日々を送っていた。
やがて離ればなれになってしまうのだが、、、
1990年代に再会してからは互いが視野に入る位置を保っている。
今回もそんな気安さから演奏をお願いした。
快い返事とともにピアノ録音を手渡してもらったが、
気安すぎるとも思う。
作品が佳ければ佳いほどそう思う。

森美千代さんを知ったのは詩人の松尾真由美さんを通してである。
三人で一緒に札幌で詩と写真と歌のコラボレーションもした。
以後関東でも三人の会を催した。刺激的な体験だった。
積極的に関わらない限り世界はどんどんせばまっていくものだ。
今回は「うたとえ」に作品を提供していただいた。
これはウォンさんと組んでもらうのが一番だと思った。

吉田一穂は半世紀ほど前の北海道の詩人である。
啄木ほどポピュラーでは無いかもしれないが、
私のまわりにはファンは多い。
北国の人間を魅了する力がたしかにある。
詩集は文庫本にもなっているからまだの方は読んでいただきたいものだ。
2022-1

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?