うたとえ2023ラスト「葉群れのかすかな晶度へと」 4 及川恒平 2024年1月1日 11:27 詩〜松尾真由美(写真家森美千代氏とのコラボより)曲・画面構成〜及川恒平演奏〜PAPERLAND 及川恒平Vo. 幸田実Bass 本田修二A.G Uku. A Gavilinker Cho.録音〜Stodio Pilliqua 他 2023年11月-12月==============================================「葉群れのかすかな晶度へと」松尾真由美誘われているよう やさしい繁みささやき その他開きつつあつまる葉のすべらかな肉感の密やかに入りこん だ香りの森で私はなにをなしたのだろうあてどない手の高揚すら月にのまれて無為の糧配されて配していて陽だまりの温みにまみれる ===============================================どうやら2023年内にすべりこんだ。今回はとくにむずかし道則だった。このことを知っていただくためには、じゃっかん内情を記さなければならない。正直なんといっても私が取り組んでいる言葉は、文字になっているものだということだ。それを歌にするのだから、多くの取りこぼしが生じる。たとえば同音異義語は避けてとおれない。前後の文脈からは察することができない場面によく出会う。わたしはその場合、だいだいはそのまま歌う。やまとことばなどに替えると意味だけは通じやすくなるケースでもだ。詩人の文字としての選択に介入する勇気はない。もし意味が通じにくい場合はそれで仕方がないとしている。これが自分の書いたものなら、即座に変えているのだけれど、安易な選択で取りこぼすものも少なからずあった。そして歌として「歌いやすい」ものに仕上げるのも、きわめて困難なことも多い。その場合も歌いやすさを優先することは少ない。譜割りをするときに、原作の文脈にはどうしてもならないことは、少なからずある。ある部分はたくさん言葉がつまっていたり、すかすかだったりもする。もしそうやっても、その工夫ではまだ足らない場合もあるのだ。さて、今回取り上げさせてもらった松尾真由美の話にしよう。この人は同音異義語をあえて楽しんでいることが、なんと多いことか!ご本人が愉しんでいるのなら、私が介入する必要などさらさらない。しかも最終アンサーとしての文字表記を省く歌となり、同音意味不明語として放られる運命をあゆむことになる。もうしわけない。と、誰に、何にあやまろうか。こうまでしても、私は詩人たちの言葉からはなれられない。歌が、とくにポピュラーソングがとりこぼしてきたゆたかな言葉になんとか接近したい。2024年も自作詞をおりまぜながら、詩人のことばと戯れたい。同行してくれる幸田くん、本田くん、ばくくんには感謝の念しかない。しんも将来はいよいよ詩の密林深く引き連れていく所存だ。 及川記 2023年 師走=====================================================- #詩 #音楽 #シンガーソングライター #ペーパーランド 4 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート