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お酒

私の両親はお酒好きである。

それが高じてなのか、意外と一般的なのかはよくわからないが、二十歳の誕生日プレゼントにはグラスとお酒が送られてきた。

グラスの方は「2021」という年が刻まれたバカラのグラスだった。地元のデパートで買ったらしい。あとで調べたら8,000円くらいだった。そんなグラス使ったことない。

お酒の方はカルーア(コーヒーリキュール)と碧Ao(ブレンドウイスキー)とヘネシー(ブランデー)だった。なんと3点盛り。

カルーアは牛乳と合わせてカルーアミルクとして飲むのが一般的だと思う。これは甘いし牛乳で割ってしまえば度数もそれほど高くないから比較的飲みやすい。

だが、ウイスキーとブランデーはそうはいかない。なぜ二十歳になりたてのお酒が飲めるかどうかもわからない息子にいきなりウイスキーとブランデーを送りつけてくるのか。

二十歳の誕生日で親から送られてきたお酒

これが血が繋がっているということなんだろうなと思った。自分たちがお酒が好きである程度強いから、子供である私もお酒が好きになるし強いはずだと当たり前のように思ったのだろう。

その考えは全く外れておらず、私はお酒が好きだしお酒に強い部類に入る。

とは言ってもいきなりそんな強いものを飲めるはずもなく、「とりあえずストレートで飲んでみろよ」と父親から言われて飲んだウイスキーはむせて何にもならなかった二十歳の誕生日だった。



親の企み通り(?)お酒にハマった私は、二十歳の誕生日から3ヶ月くらいは毎日のようにお酒を飲んでいた。一人で飲むのも嫌いではなかったが、高校の友達とオンラインで飲んだり、サークルの友達と宅飲みしていることが多かった。というか楽しかった。特にサークルの友達の中に私よりも誕生日が早い子が一人いてもっぱらその子と二人で飲むことが多かった。

お酒のことを全然知らないうちだったので、新しいお酒をいろいろ試したし、お酒に合いそうなつまみもいろんなものを試した。
そうやってダラダラと飲んでいるのが楽しかった。


だいたい3ヶ月くらい経つと少し飽きてきて、毎日飲むといったことはなくなった。特に一人で飲むことがほぼ無くなった。

それでもお酒は好きなので、友達と飲んだり先輩にバーのお店に連れて行ってもらって飲んだりしていた。


そのころになるとお酒の好みというのがはっきりしてきた。

まず、ウイスキーが好きだった。フルーティーなスコッチウイスキーを好んで飲んでいた。そしてブランデーも好きだった。
これらはロックで飲むことが多かった。

それから甘いお酒だとカシスオレンジなんかも好きだった。たぶん甘いお酒は全般的に好き。度数は特に関係なかった。

チョコレートも好きなので、バーに行くとアレキサンダーというブランデーとチョコレートリキュールのカクテルをよく頼んだ。

先輩に唆されてニコラシカというカクテルも飲んだ。これはショットグラスにストレートのブランデーが入っていてその上に輪切りのレモンがかぶさり砂糖が山積みになっているというものだ。山積み砂糖とレモンを口に入れショットグラスのブランデーを一気飲みする。ほぼストレートだしこんなの飲めるかよ、と思ったが、意外と飲めるしなんなら結構おいしいと思ってしまった。


逆に全く飲めなかったのは焼酎だ。父親と居酒屋に行った時に赤霧か黒霧かの熱燗を飲まされたが、これが全然おいしくなかった。殺虫剤みたいな匂いがして私にはダメだった。

あとはビールも全然飲めなかった。黒ビールが飲みやすいよと言われてそれを飲んで、これならなんとか飲めるかなという感じだった。
そのあと正月に親戚で集まった時に改めてビールを飲んだがやはりダメだった。
(ビールに関しては後に飲めるようになった。これは長くなるのでまた別の機会に。)

日本酒とワインは普通。とわけ好きというわけでもないし飲めない嫌いというわけでもない。料理に合えば飲もうという感じ。


そんな感じの私だが、最近はあまりお酒を飲まなくなっていた。

一番の理由は一緒に飲む相手がいなくなったからだと思う。人と一緒に飲むのが好きだった。

一人で飲まないのは、飲んでも気分が上がるとかそういうことがないからだ。ただただ手元が狂ってふらついて眠くなってくる。気力があればオールで飲めるが、アルコールが入って楽しくなるということはない。

ただ、お酒を優雅に飲むことには憧れを持っている。最近YouTubeで自分でちょっとしたおつまみを作ってハイボールを飲んでいる動画を見て憧れてしまった。あんなふうに優雅な時間を自分も持ちたい。

今はそんな暇がないけれど、もう少し頑張ったらそうやってゆっくりと時間を使いたいなと思っている。

あとはバーにいろんな人といろんなお酒に出会いたい。


お酒を嗜む余裕を持ちたいと思う今日この頃であった。

本を読んだり、舞台や演劇の鑑賞をしたり、ちょっとした旅行をしたりして、刺激を受けていきたいです。