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韓国Gaon Digital Chart 2021年第5週 ~ IUが初登場1位、10cm、キュヒョン、IZ*ONE、ヒョナなど新曲

今週のトップ10

Gaon Digital Chart 2021年5週目 (2021.1.24~2021.1.30)
()内は先週の順位
1 (NEW) IU 아이유 アイユー "Celebrity"
2 (NEW) 10cm シプセンチ "Borrow your night この夜を借りて言います 이 밤을 빌려 말해요 (Romance 101 正しい恋愛道しるべ 바른연애 길잡이 X 10CM)
3 (1) キョンソ KyoungSeo 경서  "夜空の星を 밤하늘의 별을(2020) Shiny Star "
4 (3) BTS 방탄소년단  "Dynamite"
5 (2) Mirani ミラニ, Munchman モンチメン, Khundi Panda クンディ・パンダ, MUSHVENOM マッシュヴェノム "VVS (Feat. JUSTHIS) (Prod. GroovyRoom)"
6 (4) チャン・ポムジュン 장범준 "잠이 오질 않네요 Can't Sleep"
7 (6) BLACKPINK "Lovesick Girls"
8 (7) サンドゥル 산들 "취기를 빌려 (취향저격 그녀 X 산들) Slightly Tipsy"
9 (5) (G)I-DLE (여자)아이들 "화(火花)"
10 (8) 임창정 イム・チャンジョン "힘든 건 사랑이 아니다 Love should not be harsh on you"
トップ100はSpotifyのプレイリストで聴くことができます。

IU "Celebrity" 自身20曲目の1位! 歌詞のテーマは..?

韓国を代表するポップスター、IUの新曲"Celebrity"が1位。27日18時に発表されて3日+6時間での1位ですからさすがです。IUはこれまで12年のキャリアで19曲のチャート1位曲(客演参加除く)を持っていて、韓国大衆音楽ではBTSの次に知っておいたほうがいい名前と言っても過言でないです。また、最近では"マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~"、"ホテルデルーナ〜月明かりの恋人"などのドラマでの俳優活動でも知られ、歌手としてではなく芸能人としても韓国でトップ級のスターです(2018年、2019年にスポーツ韓国のアンケート"好きな芸能人ランキング"で2年連続、コメディアンのユジェソクに続く2位!)
この曲は"Palette"以来実に4年ぶりとなるフルアルバムからの先行シングルです。間奏部分はトロピカルハウス風のリズム、歌メロの部分はThe Chainsmokersのヒット曲なんかも想起させるEDMポップ。作曲はIUの他に、最近はNCT 127 "Kick It", OH MY GIRL "Dolphin"などで知られるK-POPのヒットメーカー、ライアン・ジョンと彼のクルーであるデンマークの作曲家クロイ・ラティマが作曲、あとは、作曲・プロデュースにクレジットされているJeppe London Bilsby, Lauritz Emil Christiansenの2人もキーと思います。

ビジュアル、間奏部分のダンスもMVで楽しんでいただければと思いますが、ここでは曲のテーマ・歌詞について触れておきたいと思います。この曲は、周囲が作った基準に合っていないという理由で"変わっている"と思われ、疎外感を感じている人へのメッセージが込められていて、その人のことを自分が大切にしたい美しい存在=Celebrityと表現しています(IU本人は曲を作りながら"これは自分の話でもある"とも思うようになったそう)。コーラス部分(0:41~)の歌詞はこんな感じ。

잊지마 넌 흐린 어둠 사이 / 왼손으로 그린 별 하나
忘れないで 君は暗闇の中 左手で描いた星ひとつ
보이니 그 유일함이 얼마나 / 아름다운지 말야 / You are my Celebrity
見える? その唯一さがどれほど 美しいか あなたは私のCelebrity


ここで”左手で”という言葉を使っているのが気になりますが、左利き=少数派の人たちを意味しているようです。歌詞の中では服装、音楽の趣味もマイナーだ、と歌われています。また、公式の紹介文によるとアルバム・カバーのCelebrityの文字もIU本人が左手で書いたものらしいです。見てみると、決して綺麗な文字ではないですよね。それはきっと左利きでない彼女が書いたからであり、この曲が体現する誰かのユニークさ、不完全さを象徴しているようです。

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私はコーラスの部分の歌詞は、”自分のある部分について問題、欠陥のように感じているかもしれないけれど、それも認めて、肯定的に受け入れて見て。あなたしか持ってない個性、ユニークさだから美しいよ”というメッセージに読めました。Celebrityの歌詞を読んでやっぱりIUの歌詞の解釈は面白いなあと思いました。

また2度目のプレ・コーラス(1:38~)では”Blueming” (2019年発表、bloom + blueでできている)、“Love poem”と自らの過去の曲名をリファレンスしているんですね。英米のポップ・ソングを解析しているような面白さがあります!

넌 모르지 아직 못다 / 널 위해 쓰여진 오래된 사랑시
You have no idea, still not fully bloomed / Written for you (A bygone love poem)
君は知らないでしょ まだ咲ききらなかった / 君のために書かれた 古い愛の詩

2位は10cm(シプセンチ)。ウェブコミックのOSTとは?


2位はクォン・ジョンヨルによるソロ・バンド、10cmの"この夜を借りて言います Borrow your night"。NAVERのウェブトゥーン”正しい恋愛道しるべ”のOSTで、発表以来各種音源サイトでトップ3以内の大ヒットを記録し続けています。”正しい恋愛道しるべ”からはこれまでもLOCO, Standing Eggなど人気アーティストがOSTを発表していますが、これまでは特にチョクチェ (jukjae)の"나랑 같이 걸을래 Do you want to walk with me?"が最高位14位を記録していました。

さてこのウェブトゥーン、日本ではあまり馴染みがないと思いますが、いわゆるウェブ・コミックで、若者中心に人気で市場規模もかなり大きいと思います。Netflixでドラマ化されヒットした"梨泰院クラス"、"キム秘書がなぜそうなのか?"、"私のIDは江南美人"や最近のヒット作"スウィート・ホーム"なども元はウェブトゥーンです。人気ウェブトゥーンを読めるポータルサイトはNAVER、カカオペイジ、Daumが運営しているサイトなどがありますが、例えばNAVERのページに行くと曜日別で連載があって、なんとスクロールしていくと、各曜日50作前後あります。

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そして先週そのカカオペイジが音源の流通や芸能事務所などの機能を備えている会社、カカオMと合併するというニュースが話題になりました。カカオ発のウェブトゥーンがグローバルで広がるきっかけになるか?とも読まれています。

さて、脱線してしまいましたが、OSTというとテレビドラマの挿入歌をイメージすることが多いと思いますが、最近は漫画の内容にインスピレーション受けて作られたOSTもヒットしています(漫画読みながら流れてくるわけでもないのに、最初は不思議でした......)。中でも昨年夏頃からは”どストライクな彼女(취향저격 그녀She is My Type)”というウェブトゥーンからのOSTも大ヒットしています。B1A4のメンバー、サンドゥルによる今週も8位にランクインしている"Slightly Tipsy" (취기를 빌려)、Super Juniorのキュヒョンによる"The Moment My Heart Flinched" (내 마음이 움찔했던 순간)がそれぞれチャートで最高位2位、8位を記録していて、今回の10cmのヒットはそれに続く流れ、という感じです。とにかくウェブトゥーン、それ自体でも大きな市場規模を誇っていますが、こうして他のカルチャー、今後はグローバルに影響力を増していきそうです。

トップ10圏外注目曲 (キュヒョン、IZ*ONE、ヒョナなど)

30 (NEW) キュヒョン KYUHYUN "마지막 날에 Moving On"
35 (90) HYNN 박혜원 パク・へウォン "With and Without You 그대 없이 그대와"
72 (NEW) IZ*ONE "D-D-DANCE"
73 (NEW) HyunA "I'm Not Cool"
89 (NEW) Golden Child "Burn It 안아줄게"
139 (HOT) Olivia Rodrigo "drivers license"
150 (NEW) BOBBY "U MAD 야 우냐"
161 (NEW) Car, the garden "Doesn't Matter"


トップ10圏外では、30位にSUPER JUNIORのキュヒョン、35位にはバラード・シンガーのパク・へウォンがランクイン。
72位にアイズワンの新曲は彼女たちのプロジェクトというより"多様なオン・オフラインのファンダム(特定のファンの集まり)活動をモバイルを通じていつでも楽しめる新概念のK-POPエンターテインメントプラットフォーム"、UNIVERSEのプロジェクトで、今後も"Wanna One出身のカン・ダニエル、THE BOYZ、MONSTA X、Wanna One出身のパク・ジフン、CIX、ASTRO、(G)I-DLE、宇宙少女、AB6IX、ATEEZなど"がこのプロジェクトから新曲を発表するよう(記事)。ソングライターのFull8loomはこれまでもGOT7 "Lullaby"、TWICEの"The Best Thing I Ever Did"などを手掛けています。


73位は元4minuteのヒョナの新曲。作曲はユ・ゴンヒョン(유건형)とSPACE ONE。この2人はヒョナの前のシングル"FLOWER SHOWER"も手掛けています。またユ・ゴンヒョンはヒョナが所属する事務所、P NATIONを設立したサイ PSYとのコラボが多く、あのカンナム・スタイルやGentlemanも手掛けています。あとこのMVのダンスがクレヨンしんちゃんのダンスと似ていることからミームになっています。この曲は28日発表なので来週もっと順位を上げてくるはずです。ヒョナはニュー・アルバムから次の先行シングル"Good Girl"のMVもちょうど昨日公開しました。


89位には10人組グループ、Golden Childの今週アルバム・チャートで2位にランクインしたアルバム"YES."からのシングル、139位には欧米でチャート1位を席巻中のオリヴィア・ロドリゴが、150位にはiKONのバビの今週アルバム・チャートで4位にランクインしたソロ・アルバムからのタイトル曲、161位にインディ・レーベル、DooRooDooRoo Artist Company所属のカー・ザ・ガーデンの新EPからのタイトル曲がそれぞれランクインしました。
最後にチャートインはしていませんが、先週の注目曲ということでインディ・バンド、SIlica Gelの"HiBERNATION"を紹介して締めたいと思います。


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