「おもむくままに書いてみた 2」
「ホテルのプールサイドで日がな一日ダラダラする人生」
を夢想する友人が、突然もりもり働き出した。
空き時間が2時間あったら、バイトアプリで仕事を探して出向くというから何事なのか。
詳しくは知らないが、彼女に革命がおきていることは間違いない。
雷に打たれた、いや打たれなくても自分の電流は自分で変えられるんだな。
偶然にも、もうひとりの友人にも同じように革命が勃興している。
彼女は言った。
「はぐらかすのはもうやめようと思う」
だいじな局面に対峙すると、フワッと風のように翻すのが彼女の個性だとだいぶん前から認識していたけど、それを「正す」と言うのだからやはり革命である。
その彼女のパートナーが放った言葉が刺さった。
「向かう先をわかっていないとそこには辿り着けないんですよ」
くー。
自分が何を達成したいのかを知っていること。
革命があちこちでおきている。
そのほとんどがパートナーシップであるようです。
子育てが落ち着いたり、または仕事が軌道に乗ったりと、木星期はなにかと自分を顧みる時期なのだろう。(木星期は45歳から55歳くらい)
さて。
徹頭徹尾、夏である。
仕込み中に喉が渇き、氷たっぷりのアイスコーヒーに、ふと炭酸水を注いでみた。ようはエスプレッソトニックのようなさっぱりした飲みものを欲したのだ。
それがデージ不味くてよー、味覚にピシーッと戦慄が走るほどだった。
でもなんとか飲み干した。
というのは珈琲豆、豆は潤ちゃんが土鍋で夜なべして焙煎しているものだから無下に捨てるわけにはいかない。
でももしもパートナーシップになんらかの抵抗を感じていたら、毎日の暮らしが(パートナーの存在によって)うっすら濁ったり、冷たさが恒常化していたら、たぶんコーヒーソーダは捨てれるんだと思う。
シンクにざあっとグラスの中身を全部流して、「あー不味かった」と気を取り直し、新しいアイスコーヒーをなみなみと注ぐだろう。
そういう些細なことこそ顕著に現れるのかも。でもすぐにそんなことも忘れてしまうかも知れないが、塵のように積もってゆくこと。
______________________________
今朝も目がお岩さんであった。
というのは、節制の甲斐あって治りそうな予感の昨夜、ついうっかりアッコの晩酌のご相伴に預かってしまった!
美味しかった〜、カンティーナ・ジャルディーノのマグナム。
飲む前からわかっていたのだよ、また振り出しに戻ることを。
3歩進んで2歩下がる。
そういえば、小学生の卒業アルバムに書いた、「好きな言葉」は「ダメでもともと」だったことを思い出す。
なんとも弱さが滲み出る言葉じゃないか。
今日は試しに緑茶で目を洗ってみた。
熊本のアンナプルナ農園の「緑茶パウダー」で。
ラビとおとちゃん、ふたりが育てたお茶ならぜったい薬になるって確信して。
目からお茶を飲むみたいに何度も瞬きしてみたら、なんとなくスッキリした感じ。
わたしの目はどうやら「結膜浮腫」のようだ。
白目が卵の白身みたいに浮いて、目に異物感を感じる。つよく掻くことで悪化するし、なんなら紫外線も控えた方がいいらしい。
けど、そんなこともつゆ知らずに、海へ海へと導かれて何日も経過してる。
__________________________________
山田祐基くんの絵の展覧会が先日終わった。
期間中は、祐基くんの絵が店のあちこちにまるで星のように点在して、いつもと違う雰囲気だった。
やわらかく、やさしく、淡い。のだけれど、本人はますます自分を追い込んでいるような、絵とは真逆のベクトルに向かっているようだった。
真夏の沖縄での車中泊、海岸が祐基くんの寝床なので、いちにちが終わると「では、また明日」と浜辺へと帰っていく。
それは自分のなかの業を(静かにジリジリと)炙り出している行為みたいに見えて、こちらまでそのヒリヒリが伝わってきた。
その後しばらく、展覧会の打ち上げで久しぶりに祐基くんに会った。
今夜は祐基くんがみんなにお寿司を握ってくれるのだ。
祐基くんは益々、まるで線のように細くなっていて、喉が痛むのかほとんど目で会話をするくらいにひそやかだった。聞けば、熱中症気味だという。
でも「できます」と蚊の鳴くような声で言って、寿司を拵えた。
マチ(鯛)とハママーチ(琉球よもぎ)の握りはマルドンの結晶塩で。
島タコ、シークワーサーの皮の握り。
サーモンの握り、キハダマグロのづけ握り。
とってもきれいでとっても美味しかった。
その夜は、うちの布団で寝てもらった。それくらいはさせてくれ、と。
梅雨明けの沖縄はそれはそれは激暑。まだ身体もそれに慣れてないから殊更きついはず。
でも自分を無抵抗に追い詰めることによって、ようやく見えてくる世界があるとしたら。
それが祐基くんの描きたい「光」というものなのかな、と。
実に、冥王星的じゃないか。
_______________________________
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?