「ナイジェリア人の歯」
うずく歯があったので、歯医者に行かねば歯医者に行かねばーと、呪文のように心のなかで唱え続けてやっとこさ行けた。
あ、御多分に洩れず、子どもの頃から歯医者は最強の鬼門である。
今回、伺った歯科はネットの口コミで割と評判が良かったので決めた。
したがって人気なのかなんなのか、「うずくんです」と電話をしてから1ヶ月後にようやく診療にこぎつける、というタイムラグ。
「これでラクになるーありがたやー(涙)」と安堵して治療椅子に座ったのだが、「治療の前に歯石を取りましょうねー」とキリキリガリガリ、「はい、では次回は1ヶ月後!」と、無下にも町に放り出された。(そんな気分)
歯石をとって歯茎の状態をよくしてから治療開始、という運びらしい。
だから治ったわけではない。まだまだ序の口なのである。
で、その処置がてきめん、ただいま絶不調で口腔内がHSP状態である。
行く前が凪に感じるほど、現在は荒波である。
ちょっとでもたべものを含むと、「ギャー!」というモンクの叫びが聞こえる。知覚過敏なんてなま優しいものじゃなく、知覚針のむしろ。
そのことを歯科医に告げるも、「そんなもんですよー」くらいの対応だったんだけど、どんだけみなさん我慢強いのか。
痛みをなんとか緩和するために、クローヴ詰めたり、ヒマシ油でうがいをしたり、ホメオパシーのレメディを摂ったりしているが、速攻で効いてはいない。
ということで、ここ2、3日はやられっぱなしのボクサー気分だが、こういう状態だと無理して豆腐とかもなんだかねーで、むしろなんにも食べたくなくなるのが身体の素直で賢いところ。いい機会だからプチ断食するか、という塩梅である。
うちの歯磨き粉は、塩と重曹。
塩で歯茎を引き締め、重曹で口内をアルカリ性にする。
まいにちせっせと歯ブラシしていても、どうしても歯石が付着してしまう箇所があって、「あれ?」と思っていた。
歯医者に聞くと、「歯ブラシがちゃんとできてないからですねー」と、言う。わたしはデフォルトでテキトーだから、その言葉を額面通りに受け止め、肩身が狭い思いでうなだれる。
「で、ほんとに歯石って悪者なの?」と思いあぐねて、ネット調べをしてみたところ、このような記事を見つけた。
なるほど、ナイジェリア人の口腔内は、歯石ががっしりついているにも関わらず、虫歯も歯周病もないのか。
それに歯石の主成分はカルシウムで、人体の分泌液である、と書いてある。
弱っている歯の周りほど歯石がつきやすい、ということは、なかなか自然治癒めいている。根本的に食生活の違いはあるにせよ、なかなか興味深い内容だ。
こういう調査結果を知っている歯科医ってどれだけいるのだろうか。
保険診療の治療方針の、カウンターにある治療方針。
このサイトを「信じる」とかじゃなくて、自分の人体を通して心当たりがあるかどうか。
わたしはめっちゃある。
だからきっと、このサイトにある「日本咀嚼学会」の会長さんとも気が合うと思う。
わたしの夫である潤ちゃんは、小3から歯科矯正を10年続け、おかげできれいな歯並びを保持している。が、そのとき受けた苦痛のいろいろを、なぜか今、まるで昔の日記を押入れの奥で見つけたみたいにどんどん思い出している。
「寝る時にヘッドギアとかつけたりさ、あのときはほんとうに俺は可哀想だったんだよなー」と回想しては、子どもの時の潤ちゃんを自ら労っている。
そんなふうに、急に意識にポーンと立ち上がってくるって、ようやくそのことに向き合うタイミング、ということなのだろうか。
これまでは、みんなの「よかれ」に応えるために、「やってよかったんだ」という思い込みが勝っていたけど、子どもの自分の本音はそうじゃなかったのだ。それに気がついて、認める。なんと壮大な癒しだろう。
うちの長男の前歯が少し出ているのは、まさに潤ちゃんの遺伝だ。長男は「矯正はしないよ」と言っている。「持ってうまれた歯だからね」と。
先進国では歯並びで就職が有利になるとか、いい結婚相手と出会えるとか、健康面はさておき、「見た目」が優先される。
「よりよく生きるため」のカスタム推奨は巷に溢れかえっていて、それに伴う技術も向上し続けている。
それはそれですごいなと思うし、そこで見出せるしあわせもあるのだろう。
余談だが、コンビニで乃木坂46の巨大なポスターが貼ってあった。
子どもたちがアイスを買っている間、せっかくだからメンバーの顔をまじまじと見ることにした。
アイス片手に戻ってきた末っ子に「おかーさんはこの子が可愛いと思う」と何気なく言ったら、プイッと頬を膨らませて露骨に機嫌が悪くなった。
「ごめんごめん、あなたがいちばん可愛い!神さまに誓う!」と言ったら、ニヤーッと笑って、「でしょ?」と言った。
自己、コーテーカン?そだね、いつのまにか植え付けられるレットーカンはいらないねぇ。
すっかり歯から話はずれたけれど、なんとか頑張ります!くぐり抜けます!
(という締めくくり方。笑)
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