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私と『ロンバケ』
今、書店に並んでいる「レコード・コレクターズ4月号」は大滝詠一先生の『A LONG VACATION』特集である。今日3月21日は毎年恒例の大滝詠一先生の日。この特集に倣って私も『A LONG VACATION』の思い出を書いてみる。
僕は90年代の音楽の洗礼を受けて育った。その代表格がCHAGE and ASKAである。その経験は三子の魂百までよろしく未だにASKAを追いかけ続けている。91年の『SAY YES』から音楽体験が始まっているということは結局幸せなのか不幸なのかは分からずじまいでどうでも良くなったのだが、91年の音楽から始まっていることで抱く“違和感”の思い出の話をしたい。
何って昔の曲の“音の薄さ”である。それこそチャゲアスのデビュー曲の『ひとり咲き』を初めて聞いた時の“違和感”。音楽性の変化というのももちろんあるがそれ以上に“楽器が鳴ってなくない?”という感じがあった。(その味わいや時代背景はもちろん年齢を重ねるに至り深まり今やその頃の音楽も大好き)
『万里の河』というチャゲアスのヒット曲が1980年で私が生まれた年である。時代に晒された名曲である。であるが故に91年の音楽体験から始まった私には“違い”が目立つ音の少なさ。この曲を今風に演ったらどうなるんだろうという想像は小さいながらずっとあった。
という前段の下、チャゲアススタートの音楽体験は大学時代に大滝詠一先生に辿り着いた。『幸せな結末』のヒットでもちろん知ってはいた大滝先生だったが初めて買ったCDは『A LONG VACATION』である。当時ざわざわしていた20周年記念盤だ。この時に聞いた『君は天然色』の衝撃は今でも忘れられない。
2000年代初頭の衝撃である。
前奏の、空から降ってくるようなピアノやギターのアンサンブル!!!
音が降ってきた!!!
痺れた。一発で心を撃ち抜かれてしまう完璧な音。この『君は天然色』は生きてゆくにつれあらゆる場面で聴こえてくることになる。
トータルアルバムとしての完成度はもう色んな人に語り尽くされているのでもういいだろう。自分の中でも無人島へもっていく10枚に必ず入る作品だ。
そう、何より驚いたのがこの作品がリリースされたのが1981年だということだ。『万里の河』で感じた“違和感”の正体が音の少なさだったことはさっき述べた。『A LONG VACATION』はほぼ同時期の作品でありながら音の“分厚さ”しか感じなかった。
この違いはなに?でもこれを追求することはしていない。結局どっちの音も好きになっちゃったから。大人ってこの受容性が魅力って今は思うから。
でも、『A LONG VACATION』を聴くとあの時の逆の“違和感”を思い出さずにはいられない。
あなたは本当に1981年生まれですか?
さて、今日はあの音が降ってきた衝撃の『A LONG VACATION 20th』から20年。今はこの文章を40周年記念盤を聴きながら書いている。
今日も“音が降ってきた”前奏を聴きながら♪
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