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今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(第二期)(13)

サリサリストア

キチママがコロナにかかり自宅隔離をして14日間が経過した。

「もうあなたからの仕送りはいらない」とタンカをきったキチママであったが、無職のキチママが私の経済支援なしで生きていくことはできないことは明白であったし、気にも留めてなかったのだが、案の定その数日後からお金を無心する連絡が度々きていた。

感情的になると自分で言動をコントロールすることができない。今までこんなことはいくらでもあったが、今回は長い、長いメッセージで前回私に言ったことについての謝罪をしてきた。キチママが私に謝るなんて、いっしょに暮らして6年ほどになるが、数回しかない。だから何か裏があるんだろうなと思ってたら、そのあとキチママから「最後のお願い」がきた。どうやらキチママはまだサリサリストアをやることを諦めておらずそのための運転資金がほしいということだった。

サリサリストアとは、日本で言えば駅のキオスクのような小さい小売り店で、フィリピンにはこのサリサリストアがどこにでもあり、比較的簡単に個人事業主がスタートできるビジネスだ。

キチママが言うには、今まで経済的に頼ってきた姉が非協力的だということ、叔母から引き取った子供たちを養っていくために仕事がほしいが、コロナにかかって外では働けないことが理由だった。

正直、キチママにこれ以上お金は渡したくなかったが、外に出て仕事をしてまたコロナになったり、子供たちの世話をしなくなったりになるよりだったら、自宅でできるサリサリストアで一日中店番をやってもらったほうが幾分マシだ。

それにサリサリストアは儲からないとしても、常に食品やスナックなどストックしておくことで娘にいつでも食べさせてあげることはできるだろう。

そう考えて、今までずっとサリサリストアをやるためのお金を払うことを拒んできたが、今回を機に資金を出してあげたのだった。

今回サリサリストアの資金を払う上で条件にしたのが、ボホール島の実家に仕送りしている金額や叔母から引き取った子供たちの年間の生活費や学費、その他おじさんや兄の一郎の小遣いなどかかっているコストを全て教えてもらった。


計算してみると、予想した通り月々の子供への養育費でも全く収まらない金額だと言うことがわかった。

キチママが別居してから月にお金を払っているが、毎月養育費を払ったすぐあとにお金が足りないと言ってそれ以外にかなりの金額をキチママに払っているのだが、キチママへ支払う月々の金額が月を追うごとに大きくなっていたので何に使われてるのか、これでようやくわかった。


もう一つの条件として、キチママの家にワクチン接種するまで行くつもりはなかったので、娘を1週間に1回うちに泊りで連れてくることも約束させた。

ヤヤさんが休みの日に子供二人を見るのは大変だと思うし、かといって感染対策を全くしていないスコーターエリアに行くのは自分の健康上リスクが高いので、娘を私の家に来させることのほうが安全だと思ったからだ。


キチママは私から出した条件を飲み、私が払ったお金を使い今住んでいる家でサリサリストアをオープンしたのだった。

ただ、その後も何度もまたお金の話をしてきて、全然「最後のお願い」ではなかったかことは言うまでもない。

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