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今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(第二期)(6)


息子の誕生と洗礼式

実は二人目の子供ができた時、正直驚いた。


なぜなら避妊器具を入れたばかりで、まさか妊娠すると思ってなかったからだ。


今思えば、騙されたんじゃないかと思ってる。キチママはずっと子供を欲しいと言っていたが、正直キチママは母親としてほんとダメだと思っていたし、妊娠中に精神状態が不安定になり何度もビンタされた経験からこれ以上子供を作ることを反対していたのでキチママの提案で避妊器具を入れることにしたのだった。


それからすぐコロナでフィリピンがロックダウンして家から一歩も出られない状態が2ヶ月ほどあったのでその間にキチママとは仲がよくなったり、悪くなったり繰り返していたのだが、そのときにどうやらできてしまったようだ。

しかしできてしまったものは仕方がないし、生まれてくる子供に罪はないので、精一杯父親としてできることをしようと、今は腹は決まっているが、そんな二人目の子供が生まれたのはキチママが犬を飼いたいからという理由で家を出て行ってから1ヶ月後だった。

まだフィリピンは当時厳しい規制があったため、病院に会いに行くことはできなかったが、キチママが子供を家に連れて帰ってきたので、会いに行った。まだ小さい、赤ん坊がピンク色のベビーベットの上でスヤスヤと眠っていた。このベビーベッドは娘が産まれて時に上司が買ってくれたものだった。


息子が目を覚ましてからさっそく抱っこした。娘が産まれたばかりの時は正直落としたらどうしようとか、どうやって抱っこしたらいいかわからず、あまりだっこできなかったが、私も父親として経験をつんできたからか、今回はそんなことがなかった。

息子を抱っこしながらソファに腰掛けていると、娘がその横に座って優しく微笑んでいる。やっと家族が揃った。そんな気持ちになったのを覚えている。ちょうどフィリピンは4月から5月かけて1番暑い季節。こんな時期に生まれて、さぞ暑いだろうなと思うようなそんな蒸し暑い日だった。


その息子の洗礼式があったのは、キチママが家を飛び出して息子を出産してからちょうど3カ月後のことだった。

フィリピンは8割がカトリック教の国で、もちろんキチママや私の娘もカトリック教なのだが、家族で教会にいくということは今までなかったが、それは自分が仏教だからというわけでもなく単にそこまでキチママが熱心な信者ではないからだろう。

ただし、今日は違う。息子がカトリック教になる洗礼式の日だ。


洗礼式は教会で神父さんにやってもらうんだが、神様にお祈りをささげたあと、子供の額に水をかける灌水礼(かんすいれい)という儀式を行うが、たいてい子供が生まれてから数か月~1年の間に行われる。

娘のときはちょうど1歳の誕生日に行われたが、息子の場合生後3カ月にあたる7月に娘の誕生日と同じ日に行われた。なぜ娘の誕生日と同じ日かというと、大勢の人を集めるためにいっしょにやったほうが安く済むからだと思う。

その日は朝から教会に行って洗礼式を行い、午後からは例のごとく盛大なハウスパーティーを計画していたのだが、今回は前回と違ってキチママの親せきや友人が多いというのもあり、かなり人が集まると言っていたが、実際に30人以上が集まってどんちゃん騒ぎをしていた。

当時はコロナで厳しい外出規制やマスクやフェースシールド着用義務があった時期であったが、そんなの関係ないという感じの人たちが30人近くところせましとせまい家に入っているのだが、ソーシャルディスタンスも何もあったものではなかった。

正直なところ、ちょうどフィリピン国内で感染者が増えていた時期だけに、こういうパーティーには自分も含め、免疫力がない赤ん坊を参加させたくなかったのだが、パーティー会場であるリビングの飾り付けや食事の準備を全てヤヤさんやバランガイキャプテンの奥さん、それにキチママの従妹とその友人たちが総出でやってくれていた。

だから前日から参加した自分のとしては言い出しにくかったし、面子を一番大事にするキチママにそんなことを言ったらケンカになることは目に見えてるので、今回はお金だけ払ってあとは何も言わずパーティーに参加したのだった。

パーティーは終盤を迎えたころ、キチママが「お姉ちゃんがホテルに部屋を取っててみんなでそこに泊まるからすぐ準備して」といきなり言ってきた。

このお姉ちゃんというのが、以前お金のことで揉めて絶交していた人だったが、いつの間にか仲が戻っていたようだ。

教会での洗礼式にはいなかったがハウスパーティーに遅れて途中から参加しておいてまだパーティが終わってもいないというのに、キチママや子供たちを自分が泊まる市内の高級ホテルに連れていくというのもキチガイな話なのだが・・。

わざわざパーティーに参加してくれた人たちも残っているのに、その人たちを会場において自分たちは高級ホテルに移動というのも、どうも申し訳ないのだが、そんなことはこの人たちからすればどうでもいいのかもしれない。私たちはそんなパーティに参加している人たちをおいて、その場をあとにした。

ホテルについてから、屋上にあるプールも行ったがその日はあいにく風が冷たく泳ぐには寒すぎたので私も娘もちょっとだけプールで遊んだ後で部屋に戻っていた。

姉はファミリールームをとっていたのだが、姉の子供やその友人とその子供、そしてキチママと二人の子供たち、そして叔母の子供と9名が寝るにはさすがに狭すぎだった。


それにコロナでレストランもやってなかった為、近くのファーストフードでピザでも注文しようという話になったので、私が次の日仕事があるという言い訳を理由に帰ろうとすると、キチママもついてきて結局うちに泊まって翌日帰っていったのだが、

ほんと計画性のない人たちだなと思っていた。

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