No.012 田中 絵莉奈 (通所型生活介護施設/支援員)
【小さな頃の夢も胸に/みんなに知って欲しい】
1.どうして福祉の仕事を選びましたか。(法政現福に入学したきっかけは何ですか)
(現代福祉学部を選んだ理由)
昔から子どもが好きだったので、保育士や幼稚園の先生になりたいなと思っていました。
しかし、中学生の頃に職業体験で保育園に行ったとき、職員さんがとても忙しそうで、「私には向いていない」「保育士にはなれない」と思ってしまった。この時点で早くも夢を失ってしまいました(笑)
その後は、とくにやりたいことはありませんでしたが、大学の進学を考える時期に、友人から相談受ける事が多く、話しやすいと言われたことを思い出しました。
指定校推薦を受けることも考えていたので、人から相談受ける仕事が将来的に出来るような大学でかつ指定校推薦の中でなるべくレベルの高い大学を探した結果、この学部に出会いました。
臨床心理士には大学院に行かないと取れないと分かっていたけど、心理も学べるし、この学部でやってみようと思いました。
そしてもう1つ。実は、この学部を知ったことで、児童分野の仕事を知りました。児童相談所や児童養護施設とかですね。
もちろん、相談を受ける仕事をしたかったというのが一番大きい理由になりますが、元々の子ども好きが後押しして、大学でまた勉強してみようと思ったのも入学のキッカケになりました。
児童分野での仕事も選択肢に加えて入学となりました。
(福祉の仕事を選んだ理由)
大学4年間で福祉にハマった。この一言です。福祉が良いなって。
先輩の影響を受け、大学生活ずっと福祉でした。サークルもバイトも。
今の仕事に就いたのは、ガイドヘルパーの経験が大きいです。
電車で大声を出してしまったり、突然走り出すといった方に対して、周りの人の目がとても嫌でした。
ですが、私自身、ガイドヘルパーをする前は、そういう場面を見ると、周りの人と同じように障害を持つ方々のことを見ていました。
急にしゃべりかけてくる人に対して恐怖心があり、話しかけないで欲しいとも思っていました。
でも、ガイドヘルパーを始めて、その方を知ることで、楽しいから声を出したり、うれしくなって走り出したり、その行動の理由が見えてくるようになりました。
なぜそのような行動をするのか理解出来るようになりました。
その時に、周りの目は、知らないからだけなのかも知れない。私自身は知らなかった事で、そういう目を持ってしまっていた。
知ることで怖さがなくなり、そういう目が少しでもなくなるのかなと思いました。
このことがきっかけで障がい分野に進むことを決めました。
障がいを持つ方と地域を繋げることで、障がいをもつ方達を知る機会をつくれれば良いなと思って。
【ご利用者の“出来る”や”表情”が増えていく】
2.あなたの仕事について教えてください。
通所型の生活介護施設で支援員として働いています。
入職後、障害者支援施設のデイサービスに半年間、小舎制の入所施設で半年間勤務し、その後今の施設に異動して、5年目になります。
ご利用者の支援をする他に、職員の割り振り(シフト作り)や、地域作業所連絡会への出席、法人内のイベント等の実行委員(地域に出て行くイベント)、MTGは事業所内と系列事業所が集まるものがそれぞれ月に一回あるのでその為の資料作成など、正直、業務量としてはかなりあるなと感じています。
とは言いつつも、日々楽しいことはあります。利用者の出来ることが増えていくことが感じられるのは嬉しいですね。
最近では、朝の挨拶が出来るようになった利用者が印象的です。発する言葉が増えたり、あとは、私にしか見せない顔があると気付いたとき。
私に見せる表情や笑顔の数が増えて、表情が柔らかくなっていくのが分かるのは、一日一日を同じ空間で過ごしているからだと思いますし、何より、関係性が出来てきている証拠。
まぁ、5年という期間がそうさせるのかもしれませんが。(笑)
【支援者のスタンスについて考えさせられた】
3.大学での学びが仕事で生きていると感じるのはどんなときですか。
まずはサークルでの学びです。キラキラ星(児童養護施設)と、ふたば(学童)という、同じ児童でも背景が異なる児童と関わった事で、親がいない=さみしいというのは間違っているのかもしれない。親といてもさみしい子はいるという事を知りました。
何を基準にその子が楽しいのか、さみしいと思うのかを、考えるようになりましたね。あとは多くの子どもはやっぱり親が好きなんだということを教わりました。
今の仕事でも、どんな人も自分の親が好きという前提意識を持って、親も含めて利用者と関わるようにしています。
また、一度関わったら継続的に関わることは大切にしていました。「どうせ、いずれ来なくなるんでしょう?」と、「人が離れていく」という経験を子どもにして欲しくなかったから。
実習は児童相談所と知的障害者通所施設(生活介護)に行きました。
児童相談所では、ケースワーカーの忙しさを目の当たりにして無理だと思ってしまった。終業後の会議とか。でも今思えば、終業時間の会議なんて・・・ね。笑
正直、児童相談所で働きたいと思って、実習に行けたからこそ、現実の忙しさあを目の当たりにしてギャップを感じてしまいました。
一方で、知的障害者通所施設は仕事に就くキッカケになりました。「人の懐に入り込むのがうまいよね」という職員から言葉をもらったことが大きいです。
実習期間は短かったけれど、多くの利用者と関われたことや、気に入った人にしか渡さないという折り紙を利用者からもらったのはうれしかったし、自信がついた。自分の活かせる能力なのかなと思いました。
またその施設では制服がなく、なるべくきれいな格好(お出かけするような)で職場に来るという方針がありました。
当時は衝撃でした。最初はなぜ?これから仕事なのに?と思ったけど、制服に着替えてこれからお世話します!というのも変な話だなと思いました。
みんなできれいな格好して過ごすというスタンスが、自分の中でスっと入ってきて納得出来た。同時に、こういうところで働きたいなと感じました。
「支援」が障がいを持った人の世話をしてあげるわけではないということや、「障がい者」も私たちと同じであるという関わり方を知ることが出来た実習はとても大きかったです。
【地域との繋がりを構築したい】
4.いま興味を持っていることやテーマは何ですか。
地域に出て行くことの難しさを痛感しています。働き始めてから5年経ちますが、全然出来ていない。
ガイドヘルパーの経験から、地域の人に障がいを持った人を知って欲しいという思いで障害分野の仕事を選んで入職したはずなのに。
自分の思ったことが出来ていないのはなぜか?最近とても考えるし、今後は地域に出てしっかりと段階を踏みながら取り組んでいきたいと思います。
【少しでも多くの人に知ってもらいたい】
5.今後の目標を教えてください。
地域の人達が私たちの作業所や法人を知ってくれて、さらに「障がい者」について、多くの人に考えてもらえれば良いなと思います。
障がい者=かわいそうな人達じゃない。
私たちが、ただ毎日笑って、つまんないって顔して、クソ!って怒ったりしながら、過ごすのと何も変わらない、普通の人だということを。
障がいを持っていたって、私達と何も変わらない人たちだということを地域の人にも知って欲しいです。
そういう架け橋になるのが地域作業所連絡会だと思っています。
連絡会が主催するイベントにご利用者と参加すること、地域の交流の場をしっかりと活用するところから始めたいです。
※ちなみに、すでに段階を踏んで進んでいて、「今度初めて全員(ご利用者、職員)で参加するんだ!」と笑顔で話してくれました。
また、障がい者のことを知って欲しいという思いは、共通して持っている職員は多いので、その連絡会に参加している法人の職員(特に若手を)中心に、職員同士の繋がりを強くしていく為に、職員研修を計画しているとのこと。
やっとスタートラインに立ち、やりたいことが出来てきているので楽しみです!