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GWスペシャル にしなり!番外日常編

 俺は肝杉、カメラマン志望の美大生だ。
今日はモデル兼彼女のカズミちゃんと西成に出かけてエモい写真を取るぞー!うっひょー!

カズミ「肝杉くぅん♡インスタ映えするように撮ってねぇん♡」
うっひょお~ビンビンしてきた…

迷惑系YouTuber「撮影させてくださーい!」
ホームレスA「休日なるとああいう馬鹿おるからいやや」
ホームレスB「殴ってこよか?」
「あ、近づいてきてる!撮影協力ありが…」
彼はYouTuberをやめるきっかけを得るには十分なぐらいリンチされた。

そのひ「うわっやだなぁああいう面白半分で来るの…」
くらし「全くそんとおりや」

そのひ「そういえばくらしさんってどうしてホームレスの人を避けてるんですか?」
くらし「逆、避けられてるんや」
「…なんか悪いことしたんですか」
「まぁ関東人っぽいそのひちゃんには話しといてもええか…ここにも一応カーストってもんがあんのよ。んで生活保護受給者は一番下、分かった?」
「あ…」
「えぇねんえぇねん、片足ないからホームレスなんぞしても死ぬ未来しか見えん。生きるためにはしゃあない」
「私もくらしさんが手を差し伸べてくれなかったら倒れてるし生きててくれて本当によかったです…へへ」
「褒めても金は出ないで?ひひ」

二人はコインランドリーで洗濯する間に安い定食屋に行こうと計画しており、いつも通り洗濯するはずだったが…

カズミ「薔薇はこう持てば可愛いかな?」
肝杉「いいねいいねぇ!!!最高!」
洗濯出来そうになかった。通りでいつもより空いていたわけか…

くらし「オイ!邪魔や!」
「「ひっ!」」
くらしが松葉杖を振り回すふりをすると二人は怯んだ。
「け、警察呼ぶぞ!チンピラ女!」
「あんたら…関東もんか?」
「わ、悪いかよ!」
「やだぁ、カズミこわぁ~い」
わざとらしく怯える彼女を見たそのひは過去の自分と被ってたので内心げんなりした。

くらし「あんなぁ…悪いことは言わへん。はよ帰ったほうがええ、というか似たようなとこなら三谷か寿町があるや…いや、そもそもドヤ街に行こうとすんなや!はよ帰れ!危ないで!」
正論である。
肝杉「分かってねぇなあんた、西成が一番知名度あるだろ。それにインスタ映えの為に来たってんのにいきなり帰るわけねぇだろ!」
「ユニバとかもっとええとこあるやろに…何度も言わせんな、危ないから帰れ!」
松葉杖をガンと叩きつけたくらしはバカップルを睨みつけた。

そのひ(くらしさん関東人嫌いなんだというかやっぱ怖い…いやでも注意してあげるだけ優しい方かぁ)
一連をぼんやり眺めていたそのひだったが突然くらしに掴みかかろうとする肝杉にぶつかり、足を滑らせて手に持っていた洗濯物をカズミにぶちまけた。

「ギャーーーーーーーーー!!!!!!!」
「どうしたんだカズミ!うわっくっさ!」
カズミは洗濯物の臭いで今にも泣きそうだった。
くらし「おい!この子ぶつかって今足の骨粉砕骨折しよったで!」
そのひ「いやいや…」
彼女がありもしない怪我を否定しようとすると遮られた。
「ん、んなわけねぇだろ!馬鹿かデメぇ!」
「カズミのお気に入りの服が汚くなったんですけど!弁償してよ!」
「ええで、その代わり治療費500万は最低でも払ってくれたらな」
くらしは本気で松葉杖を殴りつけようとする素振りをするとバカップルは逃げていった。

くらし「ふぅ…あんぐらい言わんと洗濯すらままならんかったわ」
そのひ「あ、あの…なんで私には優しくしてくれたんですかね…?関東の人嫌いみたいでしたけど…」
くらし「訳アリって感じバリバリしよってたし何よりそのひちゃんはあんなビッチみたいなのよりも何億倍も可愛いからなぁ!」
何かをはぐらかされた気がするそのひだったが早いところ洗濯物を済ませて二人は目的の定食屋に向かうことにした。

店主「いらっしゃい!今日も二人は仲良しそうでえぇなぁ」
くらし「当たり前やん!それよりカツ丼2つ!」

二人の元にカツ丼が来るとくらしは先程の鬱憤を晴らすかのようにガツガツ食べた。
そのひ「あ、あの二人帰りましたかね…」
くらし「ああいう行動力があるのは多分まだおる、まぁ二度と面は見たかないが…ゴホッ!」
「カツ丼は逃げないのでゆっくり食べてくださいって…」
くらしをなだめながら食べるそのひのカツ丼にはあまり味がなかった。

「よっしゃそろそろ終わっとるやろ…行くでぇ!」
「は、はい…」
店を出ると近くであのバカップルと老婆が喧嘩していた。
「何カメラ向けてんねんこのブ男!」
「っせぇよババァ!カズミちゃんが西成の人と撮りたいいうから撮ってやったんだ!寧ろ感謝しろよ!」
「おばあちゃんゴメンねぇ~きぃくん空手やってたから怒らせないであげてぇ?」
「こ、このガキ共…」

「まーだやっとらぁ…」
「ほっときましょうよあんなの…」
肝杉「あ!さっきの!」パシャ
二人は近づいてきた肝杉によって撮影されてしまった。これでもしバレたら…そのひの顔は真っ青になったが反射的にカメラを地面に叩き壊してしまった。

「俺のライカがぁー!てめぇ、これいくらしたと思ってんだ!おい!お化け女!弁償しろ!」
「弁償!弁償!」
バカップルはそのひを煽る。彼が物破損なんぞで殺人犯が炙り出せた警察やマスコミのいやらしい目線まで被害妄想したその時、先程の撮影のだしにされていた老婆が杖で男を殴った。
「いってぇ!」
「きぃくん歯が折れてるってば!何考えてんのこのキチ◯イババァ!」
「弁償すんならこっちが先約取ったで、まぁ撮影料で5億は取るけど…」
周りに人を集めた老婆はそのひを見つめ、ウィンクした。
「この嬢ちゃん見逃さないとどうなんか分かっとんね?」
「ひぃ~!」
「あ、きぃくん置いてかないでよ!まって…!」

バカップルが逃げていくのをよそ目に老婆は周りに解散を促し、二人に頭を下げた。
「いやぁお嬢ちゃんやるねぇ、スカッとしたのは久しぶりや」
「そ、そんなことありませんって…見て見ぬふりしてしまったし…あわわ」
「結果がよきゃええねん!お、バカ共がカメラ落としとるで。これなんやっけ梅さん」
「ライカとかいうとったな…爺さんが昔持っとった高級品やわ!直したらこりゃ売れるでぇ!」
くらし「そのひちゃんやるやん、でももうこんな無茶しちゃダメや。ホンマ危ないからな」
「それよりトメさん、ほんまにありがとうございます。この子普段は大人しいんすけどキレたら何するか分からん爆弾娘でしてなぁ」
何かに気づいたくらしは慌てて頭を下げた。
「し、知り合い…?」
「目ぇ悪いから分からんかったけどこの人はトメさん、んー生活保護仲間?」
「生活保護でも関東もんなんか舐められたらホンマ終わりやし目が悪いんは分かっとったからええって、頭あげぇ」
その後、二人は居酒屋で奢られたが洗濯物を忘れかけてた。

帰りに玉出で追加の酒を買った二人は乾杯した。
「いやー!今日は付き合ってくれてほんまありがとなぁ、足かたっぽ無いから全部洗濯ってなると大変なんよ」
「いいですってそれぐらい。それよりあの二人早く帰ってくれないかなぁ…」
「忘れろ忘れろ!てか今日みたいな無茶はスカッとしたしトメさんが助けてくれたからよかったけど今後はやめといてな!ひひ!」
「す、すみません」


一方その頃
肝杉「バカ共が…データはもうとっくに等にバックアップしてたっつーの」
カズミ「ねぇ~でも今日サイアクだった!」
肝杉「明日USJだし機嫌直してよカズミちゃん!ね!」

黒服の男「おいお前ら!」
「ゲッまたかよ…」
「もう帰りたいんですけどぉ~?」
「ダメや、今日ワテらのこと撮ったよな」
「な、ななな…何の話ですか…」
「すっとぼけてもダメやで、ちゃあんとシャッター音聞いとったからなぁ」
「あんたらなんか知らねぇよ!」
肝杉の正拳突きが黒服に炸裂した。
「きぃくんマヂかっこいい~!きゃ~♡」

しかし建物の影から鉄パイプ、ドス、鉄バットをもった明らかにヤバいスーツの男達がぬっと出てきた。
「残念でしたぁ~!」
「てめぇ死にてぇんだってな」
「女は泡、男は海に沈めたれ!」
肝杉は恐怖で脱糞した。
「きぃくんマヂ?サイテー!」
「最低なのはオメェもだよアバズレちゃん」
「離してって!誰か助けてぇ!」
「無駄だって、取りあえず事務所来よっか」

そのひ「なんか悲鳴聞こえませんでした?」
くらし「どうせここで誰かAVでも見てるんやろ」
「いやでも生々しかったですよ」
「まぁよくあることや、心配なら警察呼んだろか?」
警察、そのワードにそのひは怯えた。
「い、いや、やっぱりAVの音ですよね!いやぁ最近のレイプモノって演技すごいですよねぇ!」
「…自分で何言ってるか分かっとるん?酔っ払いすぎちゃうんか…?」

くらしは目が悪い分、他の感覚はよかったので悲鳴を上げた相手が誰だったのかは分かったが散々な仕打ちを受けたので警察を呼ぶ気は毛頭なかった。

それ以来、あの二人がどうなったのか誰も知らない。




余韻が冷めるあとがき注意



GW休みじゃないので俺にとってGWのGは地獄
スランプ来たかと思ったけどちょうどいいネタがあったしどうしても小説もどきだと日常編みたいなの書けないから書いただけ。
GWやだぁ~!!!!!!!!!!!!

あとにしなり!はきらら系みたいな感じだし書いた本人も西成行ったことないからこの作品の西成は別次元のもんだと思っていてください。

高いよ