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AI時代に生き残るホームページとは

AI時代に、ホームページは必要か?
結論、必要。でも、形は変化する。

こんにちは!TEFUDAの岸本です。
『デザインを、みんなのTEFUDAに。』をテーマに、企業のデザイン支援や、デザイナー・クリエイターへの情報発信をしています。

AIの世界のはじまり

みなさんもご存知の通り、AIの世界が異常なスピードで大きくなっています。

AIの仕組み自体は十数年前からあったものの、ここ最近で急激に変化が生じたのは、様々な生成AI、ChatGPTをはじめとした「AI技術の民主化」だと考えています。

今までGoogle検索をして、時間をかけていたリサーチが数秒で完了してしまう時代。そんな時代に、ホームページは必要なのでしょうか?

ホームページは"入口"から"出口"に

僕はそんな時代が進んでも、ホームページは必要だと考えています。ただし、その形は確実に変わります。

具体的には、
① 人間がAIに悩みを相談
② AIが人間に解決方法を提示
③ 人間は解決方法を確認、それを実現できる会社やツールを相談
④ AIが会社やツールをいくつか提示
⑤ 人間がAIに提示された会社やツールを確認し、最終決定をする
といった流れが大きくなります。

もちろん、AutoGPTなどツール作成までを担当してくれるAIまで登場していますが、精度が上がってくるまでにはもう少し時間がかかりそうです。

この考え方でいけば、これまではGoogleで会社やツールを検索し、ホームページが"入口"になっていたものが、今後はAIに候補として提示され、人間が最終的に意思決定をするための"出口"に位置することになります。

このようなフローになった場合、大切になってくるのは2つ。
④AIが会社やツールをいくつか提示することと、⑤人間がAIに提示された会社やツールを確認し、最終決定をすることです。

「AIアクセシビリティ」という考え方

まずは④の際、いかに候補に入るかが大事になります。

基本的にはその前のインプットに依存をするため、時と場合によって提示される候補は変わるので、候補に確実に入る方法は存在しません。

ですが候補に入った際、いかに上手に説明させるかが重要になります。

例えばユーザーが、自社の採用に特化したホームページを作るのにピッタリな制作会社を聞いた場合、いくつかの採用ホームページの候補をAIが出してくるとします。

(現在はまだ提示の精度が低かったり、海外の事例が優先的に表示される感覚がありますが、今後精度が向上すれば、日本のユーザーに対しては日本の事例、というふうにもなってくるでしょう。)

その時、採用ホームページに特化した制作会社を経営しているのであれば、その制作会社は採用に特化していること、他社に比較してどういった点で優れているかということを、文章で明記しておく必要があります。

これは人間に対してわかりやすく説明するというより、AIにとってわかりやすく説明する、という点で重要になります。

生成AIの場合、質の高いインプットが質の高いアウトプットに繋がります。そして、ChatGPTのようなAIモデルは、特に文章でのインプットに優れているため、ホームページ内の文章にきちんと明記しておくことが重要だと言うことです。(ある意味、SEO対策のようなものが必要なのかもしれません、、)

自分の会社やプロダクトのページを作ろうとするビジネスマンは、その内容や特徴を、簡潔で過不足のない文章で明文化することが大切になります。

クライアントの依頼を受けて制作を担当する制作会社・クリエイターはきちんとh2タグ、h3タグ、pタグといったようにどこにどんな情報があるのか、構造的にもわかりやすくする必要があります。

こうすることでAIアクセシビリティを高めることができると考えています。

やってはいけないこと①

GPT-4の発表の際、紙に書いたプロトタイプをコードに書き起こせることが明らかになったり、STUDIO AIのような自然言語を入力してホームページを構築していくような世界が、徐々に現実になりつつあります。

そんな世の中でも、やってはいけないことがあるのでは?と思っています。
まず一つ目は、全てをAIに任せてしまうことです。

裏を返せば、構成やワイヤーフレームから、コピーやデザインのディティールに至るまで、AIにすべて任せることは可能だということです。

もちろん、AIを使うことは便利で、むしろ使うことによってきれいに情報を整理してくれたりします。適切に質の高いインプットができていれば、そのアウトプットの質も高くなるかもしれません。

ただここで言いたいのは、人間が考えたり、感じたりすることをやめ、全てをAIに任せて制作を行うことは危険だという風に考えています。

適切なインプットをしなくても、優秀なAIは一見質の高いアウトプットを出してくれます。しかし、確率で言葉の鎖をつないでいく今のChatGPTのようなモデルでは、広い確率の中ではより一般論的な答えを導き出してしまいます。

みんなが同じモデルのAIを使用しているので、インプットが曖昧なまま使うことによって、そのアウトプットはありきたりで同質的なものになってしまいます。

つまりそうして出来上がったものは、AIにとっても人間にとっても、"普通”なものになり、選ぶ理由がなくなってしまうのです。

やってはいけないこと②

AIアクセシビリティを高め、全てをAIに任せずに作ったホームページは良いホームページと言えるのか。

もう一つ、やってはいけないことがあると考えています。
それはAIに傾倒し、人間を切り捨てることです。

AIアクセシビリティを高めることが大事だという仮説に反するようですが、そうではありません。

AIアクセシビリティを上げること以上に、人間にとってわかりやすく、人間が選ぶ理由を作れるかどうか。これが大事だと考えています。

AI時代のホームページの流れにおいて、「⑤人間がAIに提示された会社やツールを確認し、最終決定をする」ということを先に説明しました。

確実に世界は変化し、Google検索をせずともAIが候補を出してくれたり、気になる会社の特徴をわかりやすく教えてくれたとしても、最終的に決定するのは人間です。

人間が人間として、人間の世界を生きる限り、その世界の最終決定権は人間にあるというのが僕の考えです。(つまりAIは人間が人間の世界のために生み出したものであり、最終決定権は持たない)

よくビジネスの場ではロジカルシンキングを求められ、合理的な選択をすることが求められます。ですが合理性においては、到底AIには及びません。大抵の場合ロジカルの邪魔をするエモーションを、AIは持ち合わせていないからです。

ですがいくらロジカルに考え、合理的な選択肢があったとしても、「なんか良い!」と心動かされ、別の選択をしたことは、誰しもあるのではないでしょうか。

最終決定を人間が行うからには、そこには「心が動かされる」エモーショナルな仕掛けによって、選ばれる理由をつくることが必要です。ここにAI時代を生き残る、大きな力があると考えています。

まとめ

かなり長くなってしまったので、まとめます。笑

AI時代を生き残り、会社・プロダクトを選ばれ続けるものにするホームページ制作のポイントは、

  • AIアクセシビリティを高めること

  • AIにすべてを任せて同質的・普遍的なアウトプットは避けること

  • 最終決定者の人間の心を動かす、エモーショナルな部分をつくること

です。

AI技術が進み合理的な選択肢を簡単に見つけられる世界になれば、非合理でエモーショナルな選択をすることが人間の役割になるかもしれない。説明不可能なものの価値が高くなる時代になるかもしれません。

これはすべて現在までのAI技術を主観を含んで見た、いちデザイナーの僕の視点に過ぎません。エンジニア視点であったり、少し時間の経った後の視点では大きく変わっているかもしれません。また数カ月後、変化した世界からもう一度振り返ってみたいと思います。


TEFUDA 岸本直樹

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