しんぶんきしゃⅠ【創作文】
「そんな格好の人が新聞記者な訳ないでしょ」
腰のゴムが伸びきったジャージに、ロックバンドのライブTシャツ。「NINNAH」。確か界隈では有名なパンクロックのバンドだったような気がする。目の前で眉をひそめている女性はパンクというより昭和歌謡が似合いそうだった。
「そんなに、ですかね…」
6年間の新聞記者人生の中で、ここまではっきりと言われたのは初めてだった。確かに、記者といえばスーツ姿で髪もセットし、熱心にメモを取っているイメージがあるかも知れない。ただ、全員がそんな訳