航海の始まり

私の手元に一冊の本がある。書名は「追跡」。副題は「戦艦ビスマルクの撃沈」。著者:Ludovic Kennedy,訳者:内藤一郎,早川書房から昭和50年に発行された初版。なぜこの本が私のところにあるのか,そのいわくについてはさておき。

そしてここに,もう一冊の本がある。書名:PURSUIT~The sinking of the Bismarck~,著者は同じくL.Kennedy。Cassell Military Paperbacksの2001年版。お,英国で印刷されたものだ。

原書は,1974年にHarperCollins Distribution Servicesから発行されたハードカバー本であるはず。著者はWWII中に英国海軍で駆逐艦乗りをしていた。戦後は人権派ジャーナリストとして名を馳せ,1994年にはナイト爵を受けている。

件の本は,著者が従軍中,HMSターターに乗艦しビスマルク追撃戦に参加したときの体験を踏まえて書かれている。私が今まで読んできた海戦の戦記物としては,もっとも優れたもののひとつだと思う。

私をWWIIの海戦史に引き込んだ最初の一冊。でも,こういうものを読んでいるとは,これまで誰にも話したことがなかった(話せないよねー;)。今,その沈黙を破り,語り出す私は,大海に乗り出す一隻の艦。(2014.12.31)

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