見出し画像

欧州狼考

アナグマのヨーロッパ各国語での呼び方を比べて楽しんだので、狼でもやってみる。
※動物としてのオオカミは、今ではだいぶ分布域を狭めているけれど、かつてはローロッパ全域に分布していた。

まずは西・東ゲルマン語から。
英語:Wolf
フリジア語(フリースラント語):Wolf
ドイツ語:Wolf
オランダ語:Wolf

次にバルト・スラブ語を。
リトアニア語:Vilkas
ラトビア語:Vilks
ロシア語:волк「ウォーク」
ベラルーシ語:воўк「ウオウク」
ウクライナ語:вовк「ヴォウク」
ポーランド語:Wilk
チェコ語:Vlk
スロバキア語:Vlk
クロアチア語:Vuk
ボスニア語:Vuk
スロベニア語:Volk
ブルガリア語:вълк「ヴゥク」
セルビア語:вук「ヴゥク」

そして北ゲルマン語。
デンマーク語:Ulv
スウェーデン語:Varg 「ヴァリィ」(と聞こえる)
ノルウェー語:Ulv
アイスランド語:úlfur
※ここまで概ね似ている(素人考え)。語頭の子音にはラテン文字のV、W、Uが来る。
※スウェーデン語だけが周囲とは異質だ。ラップランドのサーミ語に由来するのだろうか。
※追記。後で調べたら、サーミ語の狼は「gumpe」だというから、違った。
ラテン語:wolf
※ゲルマン語から入ってきた名称ではないかと思う。

続いて、ロマンス語では。
フランス語:loup
イタリア語:lupo
スペイン語:lobo(E.T.シートンの小説「狼王ロボ」の由来)
カタルーニャ語:llop
ガリシア語:lobo
ポルトガル語:lobo
ルーマニア語:Lup (アナグマについては周囲のスラブ語に似通っていたのに、狼についてはロマンス語に近い)
※アナグマの名とは違い、互いによく似ている。

ヨーロッパのその他の印欧語では。
ギリシャ語:λύκος「リーコス」(「リュコス」とよく訳される)
アイルランド語:mac tíre
スコットランド・ゲール語:madadh-allaidh
ウェールズ語:Blaidd
※ばらばらだなあ。特に、ケルト諸語は隣接した地域なのにそれぞれ違う。

続いて非印欧語では。
ハンガリー語:farkas(アナグマの名称ではスラブ語に似ていた)
フィンランド語:susi
エストニア語:hunt
バスク語:otsoa
※これもそれぞれ違う。

チュルク語、コーカサス諸語でも、狼の呼び方はいろいろ。
トルコ語:Kurt
アゼルバイジャン語:canavar
ジョージア語:მგელი(ムゲリ?)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?