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欧州アナグマ考(1)

私が今通っている果樹園にアナグマが出没しており、それをトレイルカメラで撮影したりして観察している。
これまでアナグマについて関心を持ったことはなかったが、良い機会なのでその生態や、アナグマにまつわる文化をいろいろ調べてみた。
そうしたら、アナグマ(ヨーロッパアナグマ:Meles meles)が全域に分布している欧州から発信されている情報が、圧倒的に多い。
手始めに、これが各言語ではどう呼ばれているかをGoogle先生に調べてもらった。

まずは印欧語から。

西ゲルマン語群。 英語:Badger
フリジア語(フリースラント語):Badger
ドイツ語:Dachs(ダックスフントの由来)
オランダ語:Das ラテン文字BまたはDから始まる語だ。
※ブリテン島の英語以外の言語(ケルト語派)については後述。

次に北ゲルマン語群。北欧各国。
デンマーク語:Grævling
スウェーデン語:Grävling
ノルウェー語:Grevling
Gから始まる、似通った語。

バルト・スラブ語派ではどうか。
ロシア語:Барсук「バルスーク」
ポーランド語:Borsuk
リトアニア語:Barsukas
ルーマニア語:Bursuc
ハンガリー語:Borz
ここまでがだいたい似ている。 「最も古い印欧語のひとつ」リトアニア語も、アナグマの呼び名については周囲とあまり変わらない。
チェコ語:Jezevec
スロバキア語:Jazvec
ブルガリア語:Язовец「ヤーゾベッツ」
セルビア語:салетати「サーラタティ」
スラブ語のなかでも、ロシア語等とは別の語源らしいものがいくつかある。

ギリシャ語:Ασβός「アズボース」
イタリック語派ではどうかというと、
ラテン語:melis(属名の由来)
フランス語:Blaireau
イタリア語:Tasso
スペイン語:Tejón
これは違いが大きい。不思議なのは、古くはヨーロッパ共通語だったラテン語の、アナグマを指す言葉を継承している言語がどこにもない。

ブリテン島(とその周辺)の、英語以外の言語であるケルト語派では、 アイルランド語:Broc スコットランド・ゲール語:Broc ウェールズ語:Moch Daear「地べたの豚」 ウェールズでは豚にされてしまっている;(でも、あの鼻は豚っぽいかも♪)

ヨーロッパの非印欧語ではどうか。
フィンランド語(ウラル語族フィン・ウゴル語派):Mäyrä
エストニア語(同上):Mäger
※ハンガリー語の系統も上の2言語に属するけど、アナグマの呼び方は周囲のスラブ語に似ている。
バスク語(孤立語):Azkonarra
ジョージア語(南コーカサス語族):მაჩვი(発音できない;マチィヴィ?)

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