AI翻訳が急速に発達し続ける時代に英語を学習するメリットはあるのか。これからの英語学習について考える。
はじめに
AI翻訳が急速に発達していく時代に英語を学習する時のメリットを考えてみました。
①音声による会話で、スムーズなコミュニケーションが取れる。
AI翻訳により、デジタル上のテキストでの会話では、共通した言語で話す時と同程度のスムーズさが確保されますが、リアルタイムの音声による会話ではそうは行きません。
通話や対面での会話のスピードはテキストの会話より遥かに早いです。AI翻訳を挟む場合、ラグが非常に気になることになります。
ここでいうラグは2種類あり、技術の問題で発生するラグとそうでないラグです。前者は、AIが会話文を聞き取って翻訳処理する際に発生する処理時間です。これは技術の進歩により解消されていきます。
しかし後者のものは、日本語と英語の性質上、絶対に解消不可能なラグです。
以下の日本語文とそれを訳した英語文を見比べてください。
私は大学生ではありません。
I am not a college student.
語順が違う場合、1文が終わるまで1文の意味は全く確定できません。
私は大学生...
↑この時点では、私は大学生なのか、私は大学生ではないのか確定しないのです。もしくは私は大学生ですか?という疑問文である可能性も捨てきれません。(そんな文は不自然ですが笑)
...ではありません。
↑ここに来てやっと「私は大学生ではない」と確定し、AIは原文を英語の翻訳文にしたときに「I am」の後に「not」が来るということがわかり、「I am not a college student.」という翻訳が完成させます。その文が終わるまで、その文の翻訳文を出力することは難しいです。
そしてこの翻訳文を音声で出力する場合、当たり前ですが、日本語の原文と同程度の再生時間が掛かります。デバイスの画面に文字として表示する場合でも読むための時間が掛かります。
つまり通話や対面など音声によるコミュニケーションに、最低でもおよそ2倍の時間がかかることになります。これに前述した翻訳ソフトの技術的なラグが加わります。これは非常に不便です。
また複数人で話す場合は、1対1の会話よりさらに不便なことになるのは自明でしょう。
ただし、一定以上の英語力が無い人の場合は、翻訳ソフトに頼った方がスムーズにコミュニケーションができます。
②正確性がある。
当たり前ですが、AI翻訳は正確性に欠けます。年々、精度は改善されていますが、一切の間違いがなく、原文のニュアンスを正確に翻訳ができるようになるというのは非常に年月がかかるでしょう。特に日常会話は省略が多く、スラングなどが混じるかもしれません。また、文学的な表現や映画やドラマのセリフなどは、大体の意味が伝わっても不自然では楽しめません。
翻訳機を通して会話をする場合、誤訳されない、丁寧な文を作ることが求められるでしょう。
ただし、一定以上の英語力が無い人の場合はむしろ翻訳ソフトに頼った方が正確です。
③翻訳文をチェックできる。
貴方がもし英語が喋れるとまでは言わなくても、ある程度英語を勉強した経験はあるというなら、日本語を英語に訳した時に誤訳がないかどうかある程度確認できるのではないでしょうか。例えば日本語をアラビア語に翻訳した時は、全く翻訳文のチェックができないので非常に不安だと思います。それに比べて英語はある程度は自分でもわかるので、安心して翻訳機を使用できていると思います。
海外に移住できる。
寿司職人がアメリカに行ったら年収が500万から8000万になったという事例があります。もちろんここまでの収入アップは極端な例ですが、移住によって賃金が大幅に上がると言うのは現実的な話です。
日本は現在、少子高齢化、人口減少が進行しており、南海トラフ大地震などの時限爆弾も抱えています。日本がナンバーワンの時代もすでに終わりました。日本の将来がどうなるかはわかりませんし、期待したところですが、日本が急激に衰退するという可能性は否定できません。そうなった時に英語が喋れればより良い環境を求めて海外に移住するという選択肢が取れます。日本にいながらリモートワークで海外の人と仕事をして高収入を得るということもできます
英語を学習するメリットのまとめ。
①と②では実質的に、AI翻訳ソフトを使うデメリットを挙げました。上での話を考えると、海外に留学する場合、海外で働く場合、海外で暮らす場合など、長期間にわたり対面での英語のコミュニケーションが必須になる選択は、自らの英語力があってのみのものです。つまり自らの英語力によってのみ様々な選択肢や機会が増えることでしょう。
補足にはなりますが、①と②の理由により翻訳機を通して外国人とコミュニケーションをとる場合、その人と深い仲になることは難しいと思います。やはり、そこに言語の壁は残るでしょう。あとは文化の理解などなどありますが。
ただし、英語の勉強をしていても英語力が一定以上に届いてない場合は、翻訳ソフトに頼った方が良いことになります。
これからの英語学習について考える。
英語学習はどう変わる?
自動翻訳技術の発展により書物を翻訳する効率は飛躍的に向上するため、英文読解能力の需要は下がり、今後はより話す聞くといった英語学習が重要視されていくでしょう。
また、AIを英語学習に活用することも一般化していきます。
・英作文の添削をAIにさせる。
・AIと英会話をする。
今後、英語を勉強した方が良いのか。
上述したように、一定以上の英語力が無いのであれば、AI翻訳ソフトに頼った方が全面的に良いのです。
つまり中途半端な英語力の価値は段々と無くなっていきます。せいぜい大学入試の際に役に立つくらいでしょうか。
そして先ほどから私が言う「一定以上の英語力」とは、当たり前ですが、AI翻訳ソフトを使用した際より正確でスピーディーなコミュニケーションができる程度の力です。
辿々しい英語で喋っても、「いや、お前は翻訳機使えよ」となってしまいます。
最後に
上述したようにAIにより英語力は今より陳腐なスキルになっていきます。しかし、これは英語力に限った話ではないと思います。あらゆる分野でAIが成果を発揮するようになっていく時代は、何も英語に限らずあらゆる分野のスキルは陳腐なものになっていくので、英語学習者がAIの進化を気にしすぎる必要はないのではとおもいます。何を勉強してもAIの影響は受けるし、意味がなくなる可能性を秘めています。例えばひよこの性別を鑑定して仕分ける仕事があり、この"ひよこの性別の鑑定ができる"というスキルを持っていれば高収入を得られたのが今までの時代でした。でも今は技術の進化で機械での仕分けが実現されつつあり、このスキルは完全に無意味になったのです。
その点、英語学習はAIが進化しても、タイムラグなしに直接会話できる、海外移住できるというメリットが失われることは決してないので、まだマシかもしれません。
つまりAIを理由に英語学習をやめる人は、何を勉強してもAIを理由に辞めてしまうと思います。
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