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親子が親と子に別れるとき

先日息子が7歳の誕生日を迎えました。
6歳から7歳にかけての1年は、濃厚で変化に満ちたものだったように思います。

パンデミックによる休校と遊び場所の激減に伴い息子のストレス症状が爆発し、家族でカウンセリングを受けることになった初夏。
また秋口から始まったオンライン&自宅学習を通して見えてきた息子の特性と、私の考え方の変化については過去記事でも触れました。

並行して息子の、私や夫に対する接し方にも変化が現れるようになってきました。
以前は幼稚園でたっぷり遊んだ後でもよく公園へ連れて行くようせがまれたものでしたが、ここ半年ほどは私から誘っても、誰か知っている友達がいるなら行くけど、そうじゃないなら行かないという返答が返ってくるようになりました。

それでも、夫とはゴルフやテニスが練習できるのでよく二人で公園に行っていましたが、ここ最近はそれも断るようになってきました。(嫌がるというよりは、興味があまりないような反応をします。)

一方で毎週水曜日に予定している仲良しの友達と遊ぶ日は、数日前から指折り数えるほど楽しみにしています。
その友達の到着が遅い時は、むすっとした顔で、声も暗く、公園にいる顔を知った他の子供たちには見向きもせずに仕方なく、私と犬を散歩させて待つのですが、友達がくるのが見えた瞬間に顔を輝かせて走り出します。
こんな時は楽しく遊べる友達がいることを嬉しく思う反面、母親の限界を知り、寂しくもなります。

買い物についてこなくなったのは公園拒否よりもさらに遡ります。何か買ってもらえるなどメリットがあれば別ですが、夫が家にいる時はまず着いてきたがりませんし、夫が出かける時も同様です。

親離れの影が徐々に迫り来る気配を感じてはいたのですが、とうとうその実体を垣間見たのはある日のオンライン授業の終わりでした。

授業中は先生から指名されない限り、生徒は基本的にミュート設定にする決まりがあるのですが、授業の最後は全員ミュートを解除して一斉にバイバイをします。
その日もいつものようにミュートを解除して挨拶しようとする息子の後ろを通った夫が元気よく「バイバーイ」と言うなり、息子はミーティングを退席し、怒りながら夫を叩きました。

様子を見る限り予想はついたのだけど、落ち着いた後にわけを聞くと、やはり夫の「バイバーイ」がクラス中に聞こえてしまうことが恥ずかしかったのだということでした。 
とりあえず叩いたことはよくないこととして話をして、夫にも恥ずかしかったからもうしないで欲しいらしいということを伝えましたが、親の行動が恥ずかしく思えるほどに、息子と私たちはもう分離していたのかと驚きました。

というのも、自我の芽生えにともなって、これまで自分の一部のようであった親を他者として認識するのに、恥ずかしさという概念はつきものだと思うからです。

怒りや悲しみなどの感情は”私”と”あなた”の二者間だけのやりとりと考えることもできますが、”あなた”の行動に恥ずかしさを感じるということは、そこにさらに他の人間や世間などといった第三者の存在を意識する必要があるからです。

私自身がいつから親を別の人間として認識し始めたかははっきり覚えていませんが、母親の行動を恥ずかしいと思った出来事は今でも鮮明に覚えています。


小学校3年生ころだったかと思いますが、一輪車の練習のために訪れた屋外競技場の狭い審判席に二人で座っているカップルを不謹慎に思った母親が、人目があることを知らせたかったのか、突然カラスの鳴き真似をして大きな声をあげたのです。

正直この行動は今なお理解できていません。母は非常識なタイプの人間ではないので、もしかしたらカップルがイチャこきだしてたりしたのかもしれません。
でも当時の私からしたら、ただ座っているだけの人たちに対して、しかもなぜかカラスの声真似って、、絶対に自分ならしない行動を公共の場でとる母がただただ恥ずかしく感じました。

夫に対する息子の恥ずかしさも、クラスメートから変に思われるのではないかという第三者の視点があってのことだと思います。彼にとって両親は彼の一部ではなくなってきているのでしょう。

そうは言ってもすべてに冷めているわけではありません。夜中に起きると眠れなくて私に一緒に添い寝を頼んでくることもしょっちゅうですし、家では夫とも私ともよく遊んで、「見て!」「来て!」を連発する立派なかまってちゃんです。

食事中は手掴みだったり三歳児並みに遊び喰いをすることも珍しくないのに、そうかと思えば「プレゼントは嬉しいけど、人が自分のためにお金を使うのが申し訳なく思う」なんて言ったり、7歳児と言ってもその小さな体の中に、場面場面で色々違った思いを抱えているんだろうなと感じます。

完全なる自立や親離れはまだ先のことですが、私も息子を自分の分身ではなく、一人の人間として改めて認識して、お世話をしながらも敬意を忘れないような親と子の関係を築いていければと思います。

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