ゼロ知識で見た、劇団四季「オペラ座の怪人」
先日、KAAT神奈川芸術劇場(ホール)にて、劇団四季「オペラ座の怪人」を観劇した。
観劇自体は何度もあるが、劇団四季のミュージカルは完全初見。ついでに、「オペラ座の怪人」という物語も完全初見。マジのガチで真っ白な状態で行った。
そんな自分の中の辞書にある、真っ白な「オペラ座の怪人」のページへの記録は、<なんとも言えない感情>と綴ることになった。もちろん、いい意味で。
所感
ストーリーを振り返りながら、随所の感想を覚えているかぎりで書いていこうと思う。
座席は天井席で、後ろから2列目。それでも舞台のほとんどがちゃんと見えた。
惜しむらくは、舞台奥の演技がほとんど見えなかったこと!特に、怪人の出るシーンや泉まで歩いている人間たちのシーン、大階段のシーンだ。大階段なんて、絶対迫力のあるシーンだっただろうに、本当に惜しいことをした。
しかしながら、怪人がシャンデリアを落とすシーンなどは、しっかりと存在を確認できたことや、舞台装置を上からくまなく見ることができたのは僥倖だった。蝋燭が地面にあるシーンは、明らかに生えたように見えたけれど、どうやって演出しているんだろう?見る角度の問題?
ストーリーは、競売のシーンから。世界観はこんな感じか〜なんかイメージと違うな〜?とか思ってたらまさかの爆竹!!舞台上で爆竹!!!これがすごく新鮮だった。爆竹やってる舞台なんて見たことなかったので。(だいたいフラッシュ系統だと思う)
そこから、さすがに知っている曲がドン!と流れて、幕が開けると劇中劇。オーナーが割り込むまで、劇中劇だとは気付かなかった。また世界観変わった??くらいしか……完全に鈍っている。自分の中の何かが。
くるくる動く役者さんたち、スムーズに動く舞台装置。爆竹でびっくりしてるような人間なので、鞭でもびっくりした。ガチで叩いてる。(それはそう)
あと、中幕がブチ落ちてくるのも普通にびっくりした。怖いじゃん!!なのに「大丈夫大丈夫♪」のスタンスでいるオーナー、だいぶ金のことしか考えていない。こんなよくわかること、あるんだね……。
クリスティーの歌声が自信なさげなところから、大きく雄大になっていくところで、ぐーーーっときた。
そこから演後の楽屋のシーン、場展が一瞬すぎてえ?!?!ってなった。あまりに綺麗すぎる。幕の使い方とかが本当に綺麗。自分がもし舞台装置作る人間だったら、あのセットがバッと決まった瞬間に脳汁出そう。公演成功の夜に晩酌するところまで目に浮かぶ。
鏡に吸い込まれていくシーンも怪しくて素敵だったな。あのシーン撮り下ろしのブロマイドとか売ってそうなくらい素敵だった。
そこから船が優雅にスーッと動いていって、蝋燭がパパッと灯って(ここが本当にすごかった)、船が停まってくるりと裏を向いた時にもまた驚いた。クッションなんかい!!岩肌の船に見えてたのにそんなことなかった。視力の問題かもしれない。
怪人は音楽がうまいらしい。俺のために歌って欲しい、と言ってクリスティーを攫った。怪人がクリスティーを好きになったのは、怪人がオペラ座に住み着いていて、クリスティーの努力とか姿勢を好きになったからなのかな?それとも単純に顔が好みだったんだろうか?
ちょっと前後するが、怪人は顔が理由で誰にも愛されなかった。コンプレックスになっていたから、顔のいい人間を選んだのかもしれない。自分のコンプレックスを満たそうとして。そうなると怪人はずっと仮面のまま過ごすことになる……まあでも仮面のまま過ごして来させられたんだから、未来永劫そうだったとしても、今更違和感なんてないか。
そこでクリスティーは怪人の素顔を知る。怪人、ガード甘くない?
顔の醜さに驚いたクリスティー、激ギレしてくる怪人。呪いの言葉まで吐いておきながら、やっぱりクリスティーが好きだから、「クリスティーを主役にしないとお前ら全員不幸にするからな」とオペラ座の支配人たちを脅す。
支配人たちは屈しなかったけど、怪人が大暴れ。てっきり私はシャンデリアが落ちるのはオーラスの出来事だと思っていたけど、結構序盤でひでぇことするんやね……。
ここでまたびっくりポイントなのがすんんんんんんごいフラッシュ!!!!!今日日アニメでくらいしか見ないようなドぎつい閃光!!!!!そして幕!!!!!スピード感!!!!!!!
あのフラッシュはどこから焚いてるんだろう?全席目潰し攻撃を仕掛けなきゃいけないの、結構大変そう。自分が照明係だったらあそこで「オラッ!!」てフラッシュのボタンとか押してるのかな。フラッシュのボタンがあるかどうかは知らないけども。
休憩明け一発目のマスカレイド、良かったな〜〜。あれ、怪人じゃないか?!と遠目にもわかるほどの恰幅。すごいぜ。てか怪人一回負けとんのかい!!だからって大手を振って誰が入り込むかもわからんパーティー開くところは中世っぽいな、などと思った。復讐とか失敗してたとかのそういうリスクというか、別ルートのことあんまり考えてることなさそう。中世って(すごく失礼)
そこからはなんかもう、怒涛の展開であまり細かいことは覚えていない。
自分は幕間で同行者と、「結構怪人が自己中な感じなんだね」っていう感想を話していた。<オペラ座の怪人>は、怪盗みたいなイメージだったのだ。クールにでかいコトを起こして、人知れず去る。尻尾の先すら掴ませない。そんなような幻想。
だけど、蓋を開けてみれば、怪人は可哀想で変なヤツだった。顔に火傷を負って、発明家で魔術師で、って、見世物小屋みたいなとこで何でもやらされてたみたいな。そして檻から逃げ出して、オペラ座の地下に住んでいる。
劇中劇で入れ替わりの入れ替わりをしていた時、なんかやばいかも、絶対これ入れ替わったの怪人だろ、と思っていたらそうだったのでギャー!となったし、本来入れ替わるはずだった役者にはせいぜい口輪をさせているくらいかなと思っていたら、きっちり殺していたことにもギャー!となった。血も涙もない。
そして、怪人の池でエンジェル・オブ・ミュージックが流れた時ゾッとした。序盤の競売で出てきたオルゴールじゃないか!って。ラウルは「今でも愛を求めているのか……」みたいな台詞を言っていたような覚えがあるから、あの時縄にかけられたラウルは、クリスティーと怪人の会話の中で、クリスティーと同じように、怪人は愛に欠けていたのだと気づいたんだろう。
クリスティーの言った「あなたが醜いのは顔ではない。心よ!」というような台詞も、言われて信じられない怪人、という画も良かった。怪人ってまともに人間と接したことがなさそうだし、まとも”な”人間とも接したことなさそう。
その証拠?のようなものなのかな。顔が嫌いでキスしないんじゃない!という証明をするためにキスしたもんだと思ってたけど、よくよく思い返せば、「愛してる」と嘘をついてからキスしていたような気もする。
前者だと思っていた時は、その事実を行動で突きつけられて、行き場のない感情を持て余して、クリスティーに強く当たって帰れ!と言ったのだとばかり。「間違っていたのは……俺だったのか……?」という感じで、ラウルの縄を切ったのだと感じた。
後者なら、なんでラウルの縄を切ったんだろう?「愛している」と言われてキスをされたからもう満足したみたいな感じだったのかな?こちらの方にはあまり解像度が高くないので、何かもやが掛かっている感じもあり。
その後、わざわざ指輪を返しにきたところで、少し泣いた。それはあまりにも怪人が可哀想すぎる。でも、他人を顧みずに自分の好き勝手やって人も殺してるから、そんな人間にもらったものなんて、手元に残しておきたくない気持ちも分かる。突然ここで怪人擁護側の人格が形成されてしまった。
2人で歌を歌いながら、怪人を残して池から去るシーンは、形容し難い感情になった。
怪人はまた、自分の姿を消した。消えたシーンも驚いたけれど、残された白いマスクは、怪人の中の何かが変化した象徴であるといいな、なんて。
総括
そんなこんなで、いろいろな感情が生まれた舞台となった。
良いも悪いも言い切るには難しい、複雑で、奇っ怪な、愛の物語だった。
想像よりもいろいろな方向に振り切れる結果となったけれど、すごくいい経験だったと思う。またこのミュージカルを、今度はちゃんと平たい目線から確認したい!
書き漏らしたこと
音響が生演奏だったことにしばらくしてから気づいた愚か者。音量の”圧”で気がついた。生演奏、サイコー!!
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