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ママネミー

数年前、フレネミーという言葉を知った。
フレンド+エネミー、親友と見せかけて足を引っ張る、友達のふりをしながら裏で嫌がらせをするといった意味の造語。
「女性は怖い」みたいな文脈で語られていたと思うのだけれど、自分にそれは全く当てはまらなくて、同性の友達にはどれだけ助けてもらったか、人間不信を和らげてもらったか、感謝してもしたりない。

つい最近、これはむしろ自分の母に当てはまる言葉なのではないかと、ふと思った。
「あなたのため」「あなたには最高の環境を与えている」「あなたが羨ましい」そう言いながら、心の底で私のことを憎んでいたようにも感じるから。
絶縁に至るまで悩んで、ついに離れた後に、色々と思い出した。
「あなたは恵まれている」と私を洗脳し、世間的に有名な学校に通わせていることを誇りながら、随所随所で芽を摘んでくるというか、ダメ出しされていた。「頑張りなさい」と「私を超えるな」のダブルスタンダード。
結婚してからも、子供を産んでからも、母からの二律背反の攻撃は続いた。私のことを心配している顔をしながら、否定してくる。いわく、「そんな離乳食じゃダメ」「そんな服じゃみっともない」。
今ならくだらないと突っぱねられるけれども、初めての子育てを始めたばかりの私が、それにどれだけ削られたか。

母の場合、厄介なのは、自分でその深層心理に全く気付いていないだけでなく、何があっても絶対に認めないであろうことだ。

親とは恐ろしい。大抵の狂った行為も「あなたのため」で正当化されてしまう(余地がある)。
そして子供自身も、「親は自分のためを思って言ってくれているのだ」と、自分の正直な感情を押し殺そうとすることが多い。

「自分が子供の頃と違って、選択肢が多い」「経済的に恵まれている」「社会的に成熟している」等の理由で、自分の子供を羨ましく思うこと自体は、何も悪くない、自然な感情だと思う。
その感情に気付けるかどうかが大切なのかなと思った。
母でありながら哀しき怪物になってしまった我が実母を思い浮かべながら、せめて反面教師にすることとする四十路の朝。

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