呪い
最近、ペーパードライバー講習に通い始めた。
私が運転免許をとったのは、まだ二十代で、実家にいたので、父の車で練習させてもらった。父は外車好きで、その時もボルボだかフォルクスワーゲンだった。なぜだか無免許の母も同乗してきて、その時に私の心はボロボロにされた。
あんな言い方をするなら、むしろ運転させないで欲しかった。思い出したくもない。
一事が万事、私の両親はいつもそうだった。
親なら子が心配なのは当然だが、彼らの場合、心配をはるかに通り越して、私の自信をことごとく叩き潰した。
あなたに一人暮らしなんてできない、あなたに家事なんてできない、車の運転なんてできるわけがない。
それらは全て、四十代まで縛られていた呪いだった。
あなたは勉強はできるかも知れないけど、生活能力はないのよ。そんな脳内の声は、もう閉め出さないとならない。
私は結婚して、不得意ながら家事もやって、子供も立派に育っています。あなた達のことは、心の中で葬り去りました。
もう二度と、墓の下から出て来ないでください。
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