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毒の霧

実家に行った次の日から数日間、目が曇ってよく見えなくなった。ワンデーコンタクトなので、コンタクトレンズの汚れではない。メガネにしても、眼球全体に薄い膜が張っているようにかすんで、何をするにも煩わしく、数年ぶりに眼科に行った。
眼科で処方された目薬をさしていたら、二、三日で快癒した。

実家と関わると、体調が悪くなる。特に年末年始。お年賀がどうたら、お年玉がどうたら、弟夫婦との最低限の付き合いが云々、そういったことを言われるのが確定しているので、身構えてしまう。緊張が続くため、肩がこりすぎて頭痛になるし、舌も肌も荒れる。
もう長い事そのような体調不良に悩まされていたため、よって件の如し、絶縁状を突きつけて来た。
そうしたら今年、初めて心穏やかな年末を迎えられている気がする。イルミネーションもいつもより美しく見えるほどだ。

仕事やプライベートでおかしな人と遭遇することはたくさんあるけれど、関わらざるを得ない分、実家が段違いにきつかった。
外には広い世界が広がっていて、多様な価値観があるのに、あの人達だけが古代の国のように変わらない。自分達が正しいと思い込み、それを疑うこともせず、他者を批難する。
実の娘である私のことも、その凝り固まった価値観に巻き込んで裁く。母の口癖は、「そんなのおかしいわよ」。狂った人に言われていると思っても、正直、ダメージは受ける。

今後、色々と心境の変化はあるだろうけれど、四十年生きてきて初めて訪れた心穏やかな年末年始を、まずは噛みしめようと思う。

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