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第6話»フロントにて

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休憩を済ませると、奈美とイマドキは
再度フロントに立つことに。
イマドキは後輩ながら仕事ぶりにソツはない。
こちらに来たばかりの時は失敗の連続で
奈美も心配していたのだが
私がサポートに入り、丁寧に教えると
すぐに改善していくのも早かった。
要するに素直なのだろう。
何を成すにも大事な要素だと奈美は思った。
指導係りとしても教えがいがある。
こういう人材は大切にしなければならない。
私の叔父が経営者であることは
誰も知らないことになっているのだが
いちを耳に入れておこう。
奈美はそう思った。

さて、お店には色んな方がやって来る。
殆どの方は会員さんでメンバー扱いだ。
優遇措置が数多く取り揃えてある。
中でも好評なのがイートインスペース。
と言っても
軽食などをを出しているわけではない。
どうして、そんなスペースを
敢えて作ったかには訳があった。

それは
VIE LENTEは完全予約制ではないけれど
事前予約はとってもらうことになる。
そこで1番困ることは、遅刻である。
予約前後にある程度の余裕は込みでも
お幅な遅れでやって来るお客様は
やはり居る。しかもヘーキな顔して。
正直、顔の面を10㌢位削ってやりたい。
が、
などと言うオーラは1㍉も出しませんよ。

時間に遅れた場合は予約通りには
ならない。それは契約時に説明済みだ。
まぁ、当たり前なので素直に
聞き入れてくれる場合が殆ど、
と言いたいけど
やおらナンダカンダ言うお客様は
意外と居る。店としても融通は
聞く様にしたい。そんでもって
紅茶でも飲んでお待ち頂けますか?
となるわけですが……

予約時間に遅れても、それを「へっ」とも思わない
図太い方は、良く言えば実にマイペース。
他の会員さんの目など気にしない。
Goingマイ・ウエイだ。
気遣いの紅茶など出せば
ケーキ欲しいわねぇ、となる。
オープンスペースで出す訳ないのに。
しかし、ソイツは図太い想定外人だった。

フロント前のオープンスペースは広い。
その端に移動すると
手元の紙袋に手を入れガサガサと
容器を取り出した。
「丁度、貰い物のケーキがあったわ
此処で頂いても良いわよね。紅茶もあるし」
いや、お客様、それは、ちょっと。
スタッフが注意を躊躇している間もなく
手際よく口に運んでいた。
食ってるよ(-_-;)この人。

美味しそうにケーキを食べ終わると
満足そうに紅茶を飲み、くつろいでいた。
すみっコで食ったからには
多少の世間体は残っていたのだろうか。
しかし、事態はそれで終わらなかったのだ。
軽はずみな行動はどうやら伝染するらしい。
次の日から紅茶を出すと
ケーキをどこからともなく出すヤツが
出現仕出した。

そして事態は加速する。











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